2023/12/15
コラム
大分スタイルのライトな落し込み〜大分県杵築市納屋漁港出船〜
サビキ仕掛けでウルメイワシなど小魚を掛けて、そのままエサとして大型魚に喰わせる「落し込み」の本場・九州にあって、大分県は少々釣り方が異なる。
INDEX
エサはウルメではなく主にアジ。9月を過ぎて野っ原(平たんな場所)でアジが釣れるようになるとシーズンイン、瀬(浅場)に着いていたアジが水温の低下にともない深みへ移動するとターゲットも大型化、年末のブリ狙いでピークを迎え、翌春まで続く。
富所潤さんが大分県杵築市のSouya丸を訪れたのは10月初旬。例年なら深みの80~100mでアジが釣れ始め、ブリ、ヒラメ、カンパチ、オオニベなど大物の好期を迎えるはずが今年は海水温が高く、いまだにアジが深場にいない。
三ヶ尻治明船長はまずは浅場、水深30m台の魚礁へ船を回し、アジらしき反応で投入合図を出す。
釣り方はサビキ仕掛けの下に80号のアンドンビシを付け、コマセを振ってアジに擬餌バリを喰わせる。
船長のアナウンスするタナと探見丸に映し出される反応を見ながら仕掛けを下ろし、誘い上げると、富所さんが手にする「バンディット落し込みLight215」のしなやかな穂先が震えアジが付いたことを知らせる。すると間もなくバタバタと暴れ始めた。
そして一瞬止まったかと思うと竿が「つ」の字を描いて激しく突っ込む。構わずバットを持ち上げてアワせ、ビーストマスター2000で巻き上げを始めると竿はさらにタイトなカーブを描き、魚とのファイトが始まる。 上がってきたのはヤズ(ブリの子)。
大きさの割によく引いたと感心しつつ魚をリリースすると、今度はやや弱いアタリからしっかり喰い込ませることに成功。根に潜るような引きをかわして上げたのはキジハタだ。
「おいしい魚ですね。次はヒラメが釣れたらいいですね」
そんな都合よく釣れるわけはないと思いきや、まるでアジを噴き上げるようなダイナミックなアタリで喰ってきたのは、なんとヒラメ。
ほぼ空振りなしの出来過ぎな展開を楽しんだのち、船長は潮が緩むのを見計らって水深60~100mの魚礁へ船を進める。
ここでは魚礁の間を縫うように流す。再び潮が速くなるまでのわずかな間、魚礁に着いているカンパチやワラサ、オオニベを狙う。
すると、狙い通り明らかに重い、ゴンゴンと頭を振る、トルクフルな引きが訪れた。バンディット落し込みLight215をこれでもかと曲げ、ファイトを存分に味わって浮かせたのは3kgほどのネリゴ(カンパチ)だった。
「大分の落し込みはベイトがアジで、コマセを使うところなど関東に通じる点が多くあって、とても参考になりました。オオニベが釣れなかったのは心残りですけど……」
後ろ髪を引かれる思いで大分を去る富所さん。ちなみに、仕掛けに付けた水中カメラには、小ぶりながらオオニベらしきがアジを追い、喰い損ねる姿が記録されていたのだった。
FISHING TACKLE
【取材協力】大分県杵築市納屋漁港・Souya丸
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