2025/01/29
コラム
東京湾のテンヤタチウオ~三浦半島新安浦港出船~
ドラゴンが釣れ盛り一大ブームとなった東京湾のテンヤタチウオは、ここ2~3年ほどは好不調の波があり、とくに11~12月は低調になる傾向。
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しかしそれはテンヤが流行する2020年以前は当たり前で、走水・観音崎沖を周年狙う船は少なかった。
その中で、以前から釣れる時も釣れない時も、周年のタチウオ乗合を続けてきたのが新安浦のこうゆう丸だ。
「東京湾のテンヤタチウオは釣れていない」と多くの人が思っていた12月、富所潤さんが同宿を訪れてみると……。意外にも好調に釣れていた。
「船が少ないから割り当てが多い、だけではないと思いますが、想像以上の釣れ方ですね」
通い慣れたベテランはバイブレーション釣法をアレンジし、イワシをトリミングして細身のシルエットに仕上げたテンヤで順調に釣っている。
富所さんは中羽イワシをトリミングせずにサーベルマスター船テンヤ40号に装餌。いつもと同じく大きなエサで、サーベルマスターエクスチューンテンヤ91H164を手に、小さな振り幅の省エネバイブレーションで探る。
「確かに活性が低いわけではなさそうです。でも、1本目が釣れるまではドキドキしましたよ」
そう言って手にしたのは1m強の良型。やはり走水沖は型がいい。
朝方はアタリも多く、富所さんの入っている左舷は2~3人が同時に掛ける。しかしそれも徐々に失速してくる。
「何回かアタっていたのが、1、2回でやめてしまうことが増えてきましたから、竿を替えてみます」
次に富所さんが手にしたのはサーベルマスターエクスチューンテンヤ82M/MH178。東京湾テンヤタチウオのベテランも興味津々の、ソフトな穂先を持つテンヤタチウオロッドだ。
竿を替えても、富所さんの釣り方は変わらない。振り幅がやや大きく見える程度だ。すると、狙いどおりショートバイトで終わっていたタチウオが掛かるようになる。
そして10時半の下げ止まり前後、潮がよどんだ時間に全長110cm・指幅5本を軽く超える大型がきた。
「大きなエサを付けたテンヤは、確かに周りに比べるとアタリが少ないと思います。でも、やっぱり東京湾なら大型を釣りたいですよね」
大きなエサには大きな魚。この単純ともいえる釣りの不文律を信じ、アタリが少ない時間も通す富所さん。
かくして、この日、こうゆう丸で最大となる119.5cmを沖揚がり直前に釣り上げたのは富所さんだった。
「東京湾のタチウオが変わったという人もいますが、ぼくはそうは思いません。色んな釣法があって、どれがいい、悪いではなくて、それぞれを究めれば答えはしっかり出ます。もし変わったとしたら、それはタチウオではなく、釣り人が変わっただけです」
ブレない釣り人がドラゴンを釣る。確かに、東京湾のタチウオは、今も昔も変わっていない。
FISHING TACKLE
【取材協力】三浦半島新安浦港・こうゆう丸
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