2024/07/09
コラム
イサキ釣り、追い喰いの真髄
追い喰い狙いの作法
多点掛けのカギはタナとテンポにあり
ついロッドキーパーと桶の間を離したくなるが、上写真ぐらい近くて良い。仕掛けを回収する際は桶にコマセカゴを入れて、桶の先、船尾方向に一歩横移動して取り込んでいく。この〝横一歩移動〟で劇的に取り込みやすくなる。
次にタナとコマセ。鈴木新太郎さんはタナ取りにおいて上限を狙うことが多い。たとえば指示ダナ11~14mなら11mを狙う。その理由はいくつかあるものの、一つは「先バリに喰わせたいから」。
シャクリは小さく、アミコマセを少量出し、コマセカゴの動きを最小限に抑えることが肝要。鈴木さんは竿先を海面に向けて下ろし、水平の手前で止めるようにシャープにシャクる。
「シャクった直後のアタリを取ろうと思えば、嫌でも竿先を止めます。そうすると、コマセカゴも止まります」
ライトゲームXR73MH195は鈴木さんの入力に対して素早く動き、ピタリと止まると波を吸収して安定する。
「喰った、これは先バリかな」
ここからは追い喰いを狙う。
鈴木さんは穂先から視線を逸らすことなくバルケッタプレミアム150のハンドルをデッドスローで巻く。
「仕掛けをゆっくり上げるとイサキは下の群れに戻ろうとして仕掛けが縦方向に張ります。先バリに掛かっていたとすれば、枝バリが動いて誘いになる、そうイメージします」
胴突き仕掛けのように幹糸が張って枝バリが踊り、魚の振動でコマセも出る、ゆえに追い喰いしやすい。
「これが枝バリに掛かると、先バリは横などに大きく動いてしまうので、イサキが喰いづらく、3点掛けになりにくいと思うんです」
ライトゲームXR73MH195の穂先が一段と強く絞り込まれ、2尾目が掛かったことを知らせる。鈴木さんはこの間、ゆっくり巻き続けている。
「3匹目喰うかなぁ」
そして1尾目が掛かってから3m巻き上げた時点で通常の巻き上げに移り、引きを味わって取り込む。
「結果が1尾でもいいんです。2尾ならやった、3尾なら大満足、そんな感じで楽しんでいます」
追い喰い狙いでも常に上へと仕掛けを動かすことで活性の高いイサキに追わせるうえ、3mでタナから大きく外れた時点で回収していけば手返しも遅くならない。ゆえに、鈴木さんは次の投入でもアタリが途切れない。
「追い喰いもテンポなんです。あくまでイメージですけどね!」
追い喰いのプロセスは上限にタナを取り、先バリに掛かる確率を上げ、デッドスローで3m巻き上げ。そしてトラブルのない回収と再投入……かくして、その真髄は出船前の釣り座セッティングへ帰結するのである。
【鈴木新太郎の多点掛け術】
【3点掛けしたときの探見丸映像と鈴木新太郎の狙いダナ】
タックルの作法
アタリや引き味をより感じることで答えが出てくる。
食の作法
イサキのなめろう
〜たたき加減はお好みで〜
【取材協力】外房大原港・富久丸
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