2024/06/19
コラム
乗っ込みにも通用するコマセマダイの大原則

「ビシが入ると反応が消えちゃうけど、待つと現れて、浮いてくる。でも、喰わない……」
腕組みして探見丸子機を見つめる松本圭一さん。画面にはマダイ、それも乗っ込みの大ダイならではの反応の軌跡が映し出されている。
乗っ込みマダイ狙いの作法
全てにおいて速やかで正確にマダイを驚かさぬように
タナは海面から30mから40、45mと変化するが、総じて海底から15~20m上。
海底付近にいるマダイたちを驚かさぬよう、指示ダナから5〜6mほど下げた位置でビシを止め、コマセを手際よく振り出してマダイを浮かせ、ハリの付いたオキアミを喰わせる。
しかし、ここ数日の剣崎、久里浜沖のマダイは、前記のとおり「ビシを落とすと離れるが、コマセをまいて待っていれば再び入ってきて、ときに大型の反応が浮いてくる」。

剣崎~久里浜沖らしい丸まるとした緋色鮮やかなマダイ。しかし、狙いは乗っ込みの大ダイだ。

それなら、待てばいい。
しかし状況は簡単ではない。昨今はエサ取り、それもフグ類が活発で、待てば待つほどエサばかりかハリも取られてしまう。
「コマセマダイはハリにエサが付いているかどうかが分かりませんから、どのタイミングでエサを取られるのかを測りながら手返ししていくことが大事です。エサが付いていない仕掛けでは、まず釣れませんからね」

探見丸に映し出される浮いた反応はいかにも乗っ込みダイ。いつ喰ってもおかしくない。

この反応は動かさずに待つ。がまんの腕組みである。

松本さんはハリのチモトに何も付けない。

付けエサをマダイに届けるべくガン玉で調整することも。
松本さんはフォースマスター600で素早く巻き上げては手際よく再投入、指示ダナから5m下げた位置でビシを止めると、タッチドライブスピードロックを活用しスムーズかつスピーディーにコマセを振り出し、タナにセットする。
「エサの付いたハリがタナにない時間は、マダイは釣れません。だから、その時間をなくしたい」
当たり前の大原則だが、これほど真剣に、どれだけ長く付けエサの付いたハリをタナに留めておけるか考えている人はいない。そう思えるほど、松本さんの動作と思考は集中している。
定石どおり、エサが取られれば手返しを早くし、残ってくれば遅くする。
「エサ取りが多いときは3~4分、残るなら5分と長くします」
ハリごとフグに切られれば即座に結び直し、手返しを遅めてもエサが残ってくればガン玉を付けてハリスの沈降速度と角度を変える。そして探見丸の反応を見ながら、待っても喰わなければ落し込みなどの誘いを入れる。
一連の判断や動作は松本さんのスキルとともに、探見丸とフォースマスター600の基本性能の高さと機能、そして舳(ミヨシ)20-270の海況に左右されない安定性と調子が大きく寄与している。
全てにおいて速やかで正確に、マダイを驚かさぬよう準備して「待つ」。
これが、乗っ込みダイ狙いの作法である。
【フォースマスター600 松本圭一のセッティング】
![ファイト速[OFF]さそい速[OFF]SPEEDLOCK[オート]、そしてフッキングモード[OFF]。押した分だけ巻き、離すと止まるセッティングだ。 ファイト速[OFF]さそい速[OFF]SPEEDLOCK[オート]、そしてフッキングモード[OFF]。押した分だけ巻き、離すと止まるセッティングだ。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240628/img/07.jpg)
ファイト速[OFF]さそい速[OFF]SPEEDLOCK[オート]、そしてフッキングモード[OFF]。押した分だけ巻き、離すと止まるセッティングだ。
【タッチドライブによる電動ポンピング】

コマセ振りでもやり取りでも竿をリフトさせるときはスプールを指で押さえる。

リフト頂点でタッチドライブを押して

道糸を巻き取りながら竿を下げていく。

下げ切ったらタッチドライブの親指をスプールにずらして

再びスプールを押さえて竿をリフトアップ。やり取りでは必ずドラグを緩く設定しておく。
【スピードクラッチによるクイックな落し込み】

スピードクラッチを押して離す。これだけで数10cmのクイックな落し込みになる。
【タッチドライブ強押し→LOCKで全速ロック】

上の松本さんのセッティングで全速力固定で巻き続ける方法。手返しに便利。
タックルの作法
コマセマダイで譲れないのは滑らかで調整しやすいドラグです。

【舳(ミヨシ)20-270】
極限のしなやかさと粘り強さを追求、ミヨシ調子とも呼ばれる動きと釣趣を受け継ぐ名竿。



【フォースマスター600】
コマセマダイは手巻きでも電動リールでも楽しめますが、電動はスピードとパワーによる手返しの良さ、回収の間に作業ができることなど長所が多くあります。ただし、スムーズなドラグであることが条件。フォースマスター600は多彩な機能を搭載していますが、コマセマダイではドラグが非常に滑らかで調整しやすく、しかも軽量であることが最も大きな長所となります(松本圭一)


【スムーズで滑らかなドラグ】
松本さんが最も高く評価するドラグは最大10kg、細かな調整が可能で滑らかに作動する。

【NEWフォールレバー】
オモリ80号まで対応するため落し込みも可能。手返しではバックラッシュ防止に重宝。ハンドルの巻きごこちに干渉することなく使用できる。

【ハイギア&パワーハンドル】
手巻きでの回収ややり取りではハイギア手巻きリールと変わらぬフィーリングとなる高ギア比と65mmハンドル搭載。

【MUTEKI MOTOR+】
巻き上げ速度とパワー、レスポンスに優れ手返し、やり取りともに余裕でこなす。

【探見丸スクリーン】
探見丸搭載船であれば子機がなくても探見丸の情報をカラー液晶で見ることができる。コマセマダイでは必須の情報。

食の作法
マダイのあら煮
〜濃い目のタレを絡めて味わう〜


1, 頭・カマ・中骨を適当な大きさに切り分け、湯通しして冷水にさらし臭みの元になる血合やウロコを取り除く。

2, 煮汁は酒 150cc / 水 150cc / みりん 80cc / 砂糖大さじ 4 / しょう油大さじ 4 を鍋にかけ、沸騰させてアルコールを飛ばす。

3, ②に①で用意したマダイを入れて煮立てる。

4, マダイに火が通ったら皿に上げ、汁のみを煮詰める。泡が大きくなり、とろみがついてきたら火を止め、皿に上げたマダイに煮汁をかければ完成。
【取材協力】三浦半島剣崎松輪港・一義丸
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