2024/12/19
コラム
失敗から学ぶ玄界灘の落し込み×高橋哲也〜福岡県神湊港出船〜
「大型魚が掛かった時、獲れるか獲れないかは運です。上がる魚は上がるし、上がらない魚は上がらない。
ただし、経験則から導き出される瞬時の判断により、運が少しだけこちらに向くことはあります。」
「たとえば、このヒラマサは掛けた直後、潮に乗って船底に潜り込む方向へ走ったためタメられない体勢になりましたが、探見丸を見て海底に根がないと分かったので少しだけドラグを緩めて走らせ、魚の向きが変わったところでドラグを締めて巻き上げ、根に潜られない安全圏まで持ってくることができました。
魚礁や根周りを狙う落し込みでは、大型魚が掛かっても糸を出すことはせず、一気に安全圏まで上げることが大切なのですが、今回は逆の判断をしたことになります。
この瞬時の判断は、過去に失敗したからできたもので、ほんの一例。たくさん逃して、たくさん失敗したから、その経験から、次にどうするのか判断できたと思います。
みなさんも、失敗していいんです。そこから何かを得て、少しだけ運をたぐり寄せてもらえたらと思います」
10月下旬の玄界灘。ヒラマサは来れば大きい、でも、大きいから獲るのが難しいという状況において、高橋哲也さんは推定9kg級、続いて8kgと2本のヒラマサを釣り上げた。
枝スとハリに過度な負荷が加わる落し込みサビキの構造は、そもそも大型魚を釣り上げることが難しい。加えて海底はブロック魚礁や沈船や自然の岩礁。ゆえに、大きな魚が掛かっても根に擦れて切られたり、ドラグを締めればハリスを切られたり、失敗することが多い。
高橋さんのスタイルは柔軟な竿と太掛けの組み合わせでドラグをきつく締めて、海底付近で掛けたら竿のクッションを使ってバラシを防ぎながら一気に引き離す方法。その動作も、当日の魚たちとのファイトも、過去の失敗から得た経験の上に成り立っている。
「落し込みはエサを掛けて喰わせるまでは竿を脇挟みで操作して、掛けてからは竿尻を足の付け根に当ててファイトしたほうが竿のクッション性やパワーを活かせます。
この姿勢をファイト中にスムーズに移行させるのも、経験で冷静にできるようになると思います」
道具の使い方はもちろん、竿やリールも、良いもの、自分に合ったものを使うことで運を少しだけたぐり寄せることができると高橋さん。
失敗にもとづいた経験と、良い道具で少しだけ『運』を呼び込む。
その謙虚さもまた、落し込みの作法かもしれない。
【脇挟みからスタンディングへ】
タックルの作法
運を少しでも寄せること、それが良いタックルの役割
食の作法
カンパチとイナダの漬け丼
〜ゲストも華やぐ贅沢海鮮〜
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