乗っ込みマダイ〜駿河湾沼津久料港出船〜

コマセダイにおいて魚探情報の有無は釣りの組み立て、戦略に大きく影響する。であるから、考える釣り人・松本圭一さんのコマセダイに「探見丸」は欠かせない。海中を覗き見て、作戦を立て、結果を見て次の策を練り、試し、悩む。結果が伴わない時のループを松本さんは「悶絶」と呼んで喜ぶ。
今回は魚群反応と松本さんの攻略法にフォーカスして紹介しよう。

【攻略1】の画像は朝一番の魚探反応。乗っ込みならではの浮いた反応だ。
魚磯丸でのタナ取りは
① 指示ダナより5～10m沈めて、巻き上げつつコマセを2回ほど振り
② 指示ダナに合わせる
③ 基本的には置き竿で待つ
松本さんの狙いは「上から誘い下げて喰わせる」こと。そのため付けエサを魚群よりも上に漂わせたい。
そこで指示ダナよりも高い位置にコマセカゴを留めて（高ダナ）、クラッチを使ってクイックに落し込む。
反応がなければスロー巻きで高ダナへ戻し、しばらく待って再び落し込み。仕掛けを上げてエサが取られていれば手返しを早く、またはタナを高く、あるいはハリスを短くする。
船中では後方、逆舷でマダイが上がるものの、松本さんはイサキのみ。そのときの反応が【攻略2】だ。
魚探に映っている魚はすべて真下にいるわけではない。そこで松本さんはハリスを長くするとともに下ハリスのガン玉の位置を調整しフカセることで、船の周囲を探る。つまり横方向を探るイメージだ。

朝方はマダイらしき反応が海底から10m以上浮いていた。松本さんはビシの位置を指示ダナより3m以上高くして待機、落し込みで誘う。さらにエサが取られることからハリスを12mから10.5mへと短くして上狙いに。

【クイック落し込み】
落し込みはスピードクラッチを使ってストン！と0.5～1m落とす。スローでもいいが、最近のトレンドはこちら

朝イチでマダイが船中2枚上がると次第にイサキが喰い出した。そこでマダイは船の周囲にいるかも……と予測して上ハリスを長く、下ハリスをフカセて探ってみる。

そして時間がたつと反応が途切れ、エサも取られなくなった。
ここで「魚がいなくなった」「時合が終わった」と思う人は多い。
しかし松本さんはチャンスと見る。
とはいえ特別な誘いはしない。するのは「放置」。誘いを入れた後は指示ダナにて置き竿で触らずに5分間ほど見守る「積極的に管理する放置」だ。
当日はこの手が実を結んだ。

時間がたつと反応が減り、エサを取られなくなる。海中ではマダイが泳ぎ、イサキや小魚が減りエサを食べられないのでは……と妄想。誘った後、5分ほど置き竿で待っていると……！

そして最後は浅場で浮いてくるマダイへの対応【攻略4】。朝は悶絶に終わったが、昼の浅場では喰わせることに成功。その手順は、浅いだけにマダイを脅かさぬよう慎重にコマセをまいて指示ダナで待ち、魚群反応が浮いてきたのを見てゆっくりタナを上げたらズドンと喰ってきた。

コマセ振りのために沈めるのもためらうほどの浅ダナ。指示ダナで待っているときに反応が浮いてきたため、2～3m巻き上げていくと……！

釣れない人はこの3つがおろそかになっていないか、今一度、思い返してほしい。
OK。該当しなければ、コマセダイで思う存分悩んで、大ダイとめぐり逢ってほしい。それでは、幸運を祈る！

フォースマスター600のタッチドライブスピードロックをON、中間速設定をOFFにすると、タッチドライブを押した分だけ増速、離すと減速する。松本さんは竿を下ろすときだけタッチドライブを押し、竿を持ち上げるときは指を離してリズミカルにポンピングを行うことでマダイを浮かせる。