2025/04/18
コラム

鯛ラバゲームの「繊細」と「技巧」を極めたフィネスとは 明石・高松×赤澤康弘

基本となる鯛ラバゲームを知り、そこからあらゆる状況に対応して一匹を釣ることにこだわるアングラー赤澤康弘さん。時代の最先端にあるフィネススタイルは、【繊細】と【技巧】の二面性を持つ新しい鯛ラバゲーム。フィネスの釣りで重要な、タックルについて解説。
フィネス鯛ラバとはどんなものなのか?
人気の鯛ラバゲームだが、近年はアングラーの技量が高くなり、乗合船では釣り競うことによって釣果に大きな差が生じることもある。また、それまでは釣れなかったマダイが、繊細に釣ることで手にできるようになった。
鯛ラバゲームのエキスパート赤澤康弘さんは「釣れなくなる状況として想定されるのは潮が悪くなるということ」と、その理由をあげる。
その対処法としては、通常よりも鯛ラバをゆっくり見せる。小さくコンパクトなシルエットで見せて対処する。たとえば、今まで60gで底がとれていたところでも、潮が緩んだらより軽いウエイトして、ネクタイをもっと繊細にしてアプローチする。そういった釣りが、フィネス鯛ラバである。
また、もうひとつの考えとして、シャローにいるマダイを攻略するとき。水深が浅いゆえに光が届き、マダイがルアーに対してセレクティブになっているということがあるという。これを繊細なタックルを使い、ルアーを合わせ、さまざまな技術を工夫して釣る。つまり【技巧】。これもフィネス鯛ラバである。
フィネス鯛ラバとは【繊細】であり、ワザを効かせる【技巧】の釣りというわけだ。

フィネス鯛ラバのタックルや優位性について語るのは赤澤康弘さん。

ヘッドは炎月 バクバクTGのNEWウエイト、最軽量の35g。このウェイトが有効になるエリアもある。
フィネス鯛ラバタックルの特徴
鯛ラバロッドというと、一般的にはアタリを弾き難く、アングラーがリールを巻き続けることでオートマチックにマダイがフッキングすることを意図した乗せ調子のものが多い。だがフィネス鯛ラバは、使うタックルは繊細であり、これによりあらゆる情報をアングラーに伝達する。オートマチックな乗せの釣りとは異なる。そしてより釣った感動が得られるようになる。フィネス鯛ラバのタックルは、手に伝わる感度(=リールを巻いたときのハンドルに伝わる重み)だけでなく、ティップが繊細に反応し、視覚的な要素を高めた感度を追求しているものが良い。するとロッドは自ずとと軽いものが必要になる。
感度が向上し、常に水中の状況がアングラーに伝われば、釣りはより集中できる。
使うリールは小径スプールで回転性能の高いものが良い。軽いヘッドでもしっかりと、素早く沈めることができる。
赤澤さんはカルカッタコンクエスト シャローエディション 30HGをセレクト。
ラインは通常鯛ラバに使うものよりも細く、赤澤さんの場合はPE0.6号を使用。
日本一の鯛ラバ激戦区である明石エリアでは、100gの鯛ラバヘッドを使うところで、フィネスタックルを使った場合はワンサイズほど軽い70~80gが使える。

エンゲツ エクスチューンのフィネスモデルのプロトモデルを持つ赤澤さん。

カルカッタコンクエスト シャローエディションに夢屋のダブルハンドルアルミノブを装着。
フィネスモデルで目指したのは、徹底的な軽量化
「エキスパートは、技を使えるある程度の張りのあるロッドを好む傾向にある。しかし、張りがありすぎるロッドはアタリを弾く。やりとりにおいて怖さが出る。なので、リーリング中は水中の様子を細かく把握できる、あまり曲がらないしっかりとした感じを持ちながら、掛かってからはしなやかに曲がり魚に違和感を与えないようなロッドをデザインしました」と、赤澤さんは語る。
そしてその結果、誕生したのがフィネス鯛ラバロッド・エンゲツ エクスチューン フィネスモデル。赤澤さんが、長年欲しいと思っていたロッドだと言う。
またブランクスのデザインに留まらず、「軽さ=感度」という考えのもとに、徹底的な軽量化を図り、グリップもデザインした。重さはなんと90gアンダーとなっている。
参考
【24エンゲツ エクスチューンN-B610ML-S:141g】
【25エンゲツ エクスチューン F-B65L-S:84g】
従来のモデルのグリップは独特な形状で、エキスパートアングラーの要望を取り入れた。エキスパートは各々が構えやすいポジションや握り方で釣りをするため、それに対応したものになっている(=Xシートエクストリームガングリップ)。このグリップは重たい鯛ラバを潮が速いエリアで使ったときに、しっかりとホールドできるのがメリットだ。
新しいフィネスモデルで採用しているパーフェクションシートIVはトリガータイプであり、軽さにおいての感度にこだわり、Xシートよりも軽量化を図った。さらに軽量化のため、ガイド、ブランクスのソリッド部分のショート化を行っている。グリップエンドはカーボンモノコックだが、細く小さく、カーボンを薄くし、グリップにはコルク材を使って徹底的な軽量化が図られているのである。

フィネスモデルの曲がり。硬いだけではもちろんNG。 アタリを弾かず、ファイト中に余裕をもって魚と対峙できることが重要だ。

フィネスのために35gヘッドも登場。下側のアイはブレードチューンなどアングラーが自由にカスタムできる。

張りのあるロッド+キャスティング用ベイトリールなので、もちろん鯛ラバのキャストも快適。
【技巧】のフィネス鯛ラバタックルが活きるエリア
フィネスという言葉のイメージは【繊細】という印象を持つ人がほとんどだろう。しかし、フィネスにはもうひとつの意味があり、それは【技巧】である。
日本一の激戦区といわれる明石エリアは、この【技巧】で、同船者に釣り勝たなければ釣果が上がらいという場所だ。【技巧】は、道具を最適化することからはじまる。つまり、そのエリアのアングラーが求めているタックルであることが重要なのである。
ここで使用した赤澤さんのタックルは下記の通り。
【使用タックル】
ロッド:エンゲツ エクスチューンF-B65L-S
リール:カルカッタコンクエスト シャローエディション30HG
ライン:ピットブル8+PE 0.6号
リーダー:炎月 EXフロロリーダー2.5号
ヘッド:炎月 バクバクTG STオレンジ60g
ネクタイ:炎月 シングルカーリーM ドットオレンジ
ロッド:エンゲツ エクスチューンF-B65ML-S
リール:カルカッタコンクエスト シャローエディション 30HG(夢屋アルミハンドルノブ)
ライン:ピットブル8+ PE2.5号
リーダー:炎月 フロロリーダー2.5号
ヘッド:炎月 バクバクTG STオレンジ70g
炎月 シングルカーリーL ドットオレンジ
秋は底から10mぐらいまでのタナを意識して釣っていく。釣り方はタッチ&ゴー。これは鯛ラバが着底したらすぐに巻きはじめるというもの。

毎日のように多数の船が浮かぶ明石エリア。日本一の鯛ラバ激戦区である。

明石のブランドマダイを手にする。タッチ&ゴーで釣った。
マダイとの距離が近いほど【繊細】になる
赤澤さんの地元である高松のエリアはマダイが年間を通じて釣れるフィールドだ。周囲が島に囲まれ、穏やかな海であり、水深も最大70mまでと浅い。狙う場所の水深も20~30mが多い。浅いだけにマダイがセレクティブなのが特徴。よく他のエリアから訪れたアングラーが、そのエリアで使っているタックルを用いて釣ると、地元のアングラーとの釣果に大きな差が生じることがある。それだけ特異なエリアともいえる。
ここで使うタックルは下記の通り。
【使用タックル】
ロッド:エンゲツ エクスチューンF-B65L-S
リール:カルカッタコンクエスト シャローエディション 30HG
ライン:セフィア8+ PE0.6号
リーダー:炎月 EXフロロリーダー2.5号
ヘッド:炎月 バクバクTG STレンジ35g
ネクタイ:炎月 シングルカーリーS ゼブラオレンジ
乗合船での実釣。上記のタックルをベースに、皆が底を狙っているときに、ヘッドを炎月 バクバクTG STオレンジ60gに、
ネクタイを炎月 バタバタカーリー レッドゼブラにチェンジし、水面近くでリアクションによって喰わせた。

島に囲まれた水域が特徴の高松エリア。

高松エリアは狙う水深が浅いことで知られる。

アピール度を高めてリアクションの釣りでキャッチ。狙い通りの一匹だ。
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