2025/04/16
コラム

NEWエンゲツSSシリーズ。赤澤康弘がおすすめモデル、ラインナップを解説!

しなやかさと扱いやすさをさらに追求し、鯛ラバの基本性能を搭載した新しいエンゲツSS。乗せ調子のフルソリッドとソリッドティップ、掛け調子、キャスティングの全10アイテムをラインナップ。さまざまなエリア、さまざまな状況に対応できるようになっている。今回はシマノインストラクター赤澤康弘さんが、そのアイテムの中で特におすすめするモデルを、実釣を通して解説。
多くのラインナップから選べるエンゲツSS


新しいエンゲツSSを携え、松山沖へ釣行。全10アイテムの中から、状況に合わせたおすすめのモデルを赤澤さんが解説。
鯛ラバの基本性能を追求したエンゲツSS。大きく分けると乗せ調子(フルソリッド/ソリッドティップ)、掛け調子、キャスティングの3シリーズで、全10アイテムのラインナップとなっている。幅広いアイテム数によって、アングラーは好みのモデル、自身にベストなモデルを選べるというわけだ。そんな数あるアイテムの中で、シマノインストラクターの赤澤さんは、どのような状況で、どのモデルをセレクトするのか? 実釣しながら解説する。
「今回は愛媛県松山沖で、新しくなったエンゲツSSシリーズで楽しみたいと思います。全国で一番使いやすい、汎用性があるというのが、N-B68のソリッドティップの乗せ調子のモデルだと思います。このMとMLモデル、そしてその他のモデルもあるので、それらも解説していきたいと思います」

汎用性が高いのはソリッドティップのモデル。繊細で柔軟ななソリッドの穂先に、しっかりとしたバットを備えたモデルとなる。
FIELD1:水深37〜45m・北東風2〜3m・晴天

実釣は37mのシャローからスタート。潮は速い。

繊細なソリッドティップ。N-B68M-S、N-B68ML-Sは、しなやかでありながら、感度を併せ持ったモデルだ。
実釣は37mからスタート。満月大潮のタイミングで潮が速い状況。赤澤さんは、シャローエリアにもかかわらず、90gの炎月 バクバクTG STをセレクトした。ネクタイは、朝の光量が少ない時間帯ということで、シルエットがはっきり出る炎月 シングルカーリー Mブラックラメをセット。タックルは、ソリッドティップの掛け調子のロッド・エンゲツSS N-B68M-S、リールはオシアコンクエストCT 200 MG、ラインはグラップラー 8 PE1号に炎月 EX フロロリーダーの5号というラインシステムだ。
「この時期(秋)のシャローのマダイは、サイズに恵まれないことが多いですが、数は多い。ちょっとパワーのあるMパワーのロッドをセレクトしました。今日は潮が速い。そしてこの時期のパターンは、底を探る釣りとなります。底から5m、6mほどゆっくりと巻いて探っていく感じです。ゆっくりの巻きでも潮の速さでネクタイは動いてくれると思います」
パワーのあるMモデルを選んだのは、速い潮の中で確実に重めの鯛ラバでボトムを取るためだ。
「N-B68M-Sのソリッドティップ&チューブラモデルというのは、ティップの戻りが速い。もちろんフルソリッドもティップは戻ってくれますが、ティップの俊敏性はソリッドティップ&チューブラモデルのほうが上回ります。そしてしなやかでありながら、感度を確保しながら作り上げたモデルになります。また今回のモデルは、大きな特徴としてテクニカルガングリップを搭載しています。中指が当たる部分が、絞られたデザインになっており、フィット感が高く、リールに指が近くなることで、握った時の安心感、ホールドが違います。また前方に膨らみがあり、そこに人差し指を掛けられることで、より安定したグリップを可能にしています。手首の負担軽減、疲労軽減にもつながるグリップです」
ちなみにテクニカルガングリップは左右共用。どちらの手で握ってもフィット感が得られるようになっている。



進化したXシート テクニカルガングリップを搭載。フロント部分に人差し指を掛けられる小さなトリガーが設けられ、疲労感の軽減とともに、安定力も増し、手首の負担も軽減される。
FIELD2:水深60〜80m・北東風2〜3m・晴天

深場に移動し、炎月 バクバクTG 120g(プロトタイプ)に変更。

しなやかなでありながらパワーも備えるN-B68M-Sで、マダイの動きをコントロール。慎重に寄せた。
深場に落ちる場所がマダイの反応が良さそうとの船長の判断で深場に移動した。そこでヘッドは、炎月 バクバクTG 120g(プロトタイプ)に変更。ネクタイは炎月 シングルカーリー。シングルカーリーは、これまでS、Mタイプのみだったが、Lタイプも登場し、それをセレクト。カラーは、太陽が出て光量が増えたことでオレンジドットを選んだ。
反応はボトム。すると探り始めてすぐにアタリが出た。そしてしっかりと乗せる。
「このロッドは、しなやかですが、バットがしっかりとしています」
ドラグを少し緩める。
「バーチカルでの釣りなので、ロッドに重みをしっかりと乗せながら、マダイが暴れるときは暴れさせて、徐々に寄せていきます。ロッドはじわっと曲がっていってくれます。挙動がゆっくりなので、アングラー側も対応がしやすいロッドだと思います」
無事ネットへと収め、その後「大きくなってね」と声をかけながら優しくリリース。
「今日のパターンは、ちょっとした砂や泥の山があって、だんだん浅くなり、そこから深くなっていくのですが、その深くなるところでマダイが口を使っている感じです。今、釣り上げたのはフックが1本しか掛かっていませんでした。喰いは渋いのかなと思います。この後は、さらにドラグを緩め、走らせながら慎重にやりとりしたいと思います」
2枚目のヒット


1枚目のマダイのヒットでワンフックのみのフッキングであったことから、喰いが渋いと判断。2枚目のヒットは、ドラグを緩くして、より慎重に対応。
解説していると、ボトム付近で再びヒットしてきた。
「喰いが渋く、先ほどのようにワンフックでのヒットの可能性もあるので、ドラグをさらに緩め、横に走ってもらって、多点掛けを狙いたいと思います。今回のロッドもN-B68M-S。乗せ調子なのでティップからベリー、バットの上の方まで、しなやかに曲がります。オートマチックに掛けられますね。またバット側の2つ目のガイドあたりまでは、しっかりとしていているので、大きい魚が掛かった時でも余裕をもって寄せてこれます」
可愛いサイズではあったが、きれいなマダイであった。しっかりと2つのフックが掛かっていた。
「今回使っている乗せ調子のソリッドティップのN-B68M-S、そしてN-B68M L-S、は、エンゲツSSの中でも特におすすめのモデルといえます。この2つのモデルは、シチュエーションが変わっても幅広く対応できるロッドだと思います。乗せ調子ならではのオートマチックにティップが入るしなやかさも持ちながら、しっかりとしたバット部分があります。真下に落ちるようなシチュエーションや浅い場所では、柔らかいロッドは楽しく、そしてバレにくいのですが、船底方向にラインが入るシチュエーションでは、柔らかいロッドでは曲がりきってしまい、アタリを取ったり、鯛ラバの操作が厳しい場合もある。乗合船では釣座を移動できないこともあり、そんな時にはしっかりとしたバットを備えているロッドが必要になります。バットパワーは、大きいのを寄せるためでもありますが、どんな状況でも操作しやすく、しっかりとハリを掛けることにも繋がります。追いアワセを入れてしっかりとフッキングさせる際にも、やはりバットパワーが必要になってきます。そういった意味で、この2本がおすすめです」


柔らかいロッドはバレも少なく、ファイトも楽しいが、ラインが船底に入る状況では、アタリを取りにくく、鯛ラバのコントロールもしにくい。そのため、ある程度のバットパワーを備えているロッドのほうが使いやすい。
N-B68M-S、N-B68M L-Sのどちらを選べば良いか



赤澤さんがおすすめする、乗せ調子のソリッドティップモデルの2タイプの使い分けは、水深と使用する鯛ラバで判断すれば良いという。
赤澤さんがおすすめするN-B68M-S、N-B68M L-S。それぞれのセレクトポイントは何なのか?
「よく質問されますが、これは水深、使う鯛ラバの重さで選べば良いと思います。水深が浅い高松などのエリア、水深が10〜15mのような浅い場所から、50m、60mほどまでは柔らか目のN-B68ML-S。水深があり、鯛ラバが80g、90g以上を使うシチュエーション、水深が70m以上などの場所ではN-B68M-Sが良いでしょう」
フルソリッドモデル

フルソリッドは3タイプ。ロッド全体で曲がる柔軟な性能によりバラしが少ない。今回のモデルは、ハイパワーXフルソリッドが搭載され、パワーも備える。
エンゲツSSの乗せ調子のモデルには、フルソリッドモデルも3アイテム、N-B66ML-FS、N-B66M-FS、N-B66MH-FSがラインナップされている。
「フリソリッドモデルは、ブランクスの中身が詰まっているモデルです。そのため一般的には重量が少し重くなり、チューブラと比べると感度が下がります。しかし、より柔軟で、竿全体で曲がる性能によってバラしにくいという特徴があります。曲がりでマダイの動きを吸収してくれるわけです。また掛かってから楽しさもあります。ソリッドティップとフルソリッドのどちらを選ぶかは、好みによると思います」
今回のモデルでは、新たにハイパワーXフルソリッドを採用し、従来モデルよりも粘り強さを装備。安心して大型のマダイとやりとりできる性能を備える。
「今回のフリソリッドモデルに関しては、少しレングスを伸ばした分、パワーを備えている部分を作ってあるので、柔らかさだけでなくしっかりとした性能となっています」
FIELD3:水深60〜80m・北東風4〜5m・雨天

センター2ピースモデルを使用。


夢屋 ダブルハンドルアルミノブ60mm。潮が速い状況での巻き上げ、重たい鯛ラバを使用する時など、より力を入れやすい。
「今日(2日目朝)は雨模様で、風も少し強めで光量も少ないので、ネクタイは炎月シングルカーリー Lブラックラメを選びました。それとちょっと波があり、底も取りにくい可能性もあるので、ヘッドは炎月 バクバクTG120g(プロトモデル)をセレクトしています。ロッドはN-B68M-S2というセンターカット2ピースのモデルでやってみたいと思います」
ちなみにリールは、オシアコンクエストCT 200 MGで同じだが、ハンドルを夢屋 ダブルハンドルアルミノブ60mmを装着したものを選んだ。
「重たい鯛ラバや、ハードなフィールド状況で操作する時にはおすすめです。ノーマルより少し長いアルミのハンドルノブで、パワーもあり、海の中の状況が把握しやすくなります。またノブの付け根が厚めになっており、より握りやすくなっています」
2ピースのN-B68M-S、N-B68M L-S



センター2ピースでありながら、綺麗な曲がりが出るように追求されたN-B68M-S/2、N-B68M L-S/2。持ち運びしやすいモデルだ。
今回のエンゲツSSのソリッドティップ&チューブラモデルには、M、MLモデルともにセンターカットの2ピースモデルがラインナップされている。
「センターカット2ピースは、真ん中に曲がりがあることで、カーボンが重なり硬くなりますが、今回のモデルはシマノの開発陣がきれいな曲がりが出るように追求し、しっかりと曲がるようになっています。魚がかかった時の負荷がロッド全体に掛かる性能です」
センターカット2ピースはやはり持ち運びに便利。小さな車での移動、電車での移動を難なくこなす。仕舞寸法は約105mmとなっている。

センターカット2ピースでありながら、ロッド全体で曲がって引を吸収して上がってきたのは、ヒレがしっかりとしたきれいなマダイであった。
FIELD4 水深15m 北東2〜3m 晴天

レングスを短めに設定したC-S64M-T。胴の間からでもキャストしやすい。
今回のエンゲツは、1本だけキャスティングアイテムがラインナップされている。鯛ラバキャスティングは、水深が浅いエリアにおいて、手付かずのエリアを攻めることができる。また浅い水深の中で、広く探ることができる。
「シャローエリアに入ってきましたので、キャスティングモデルのC-S64M-Tを選びました。鯛ラバは炎月 バクバクTG45g、ネクタイは炎月 シングルカーリー Mレッドゴールドです」
ちなみにリールは、ツインパワー4000 PG、ラインはハードブル 8+の1号、リーダーは炎月 EX フロロリーダー4号だ。
赤澤さんは早速、アンダーハンドで鯛ラバをキャストしていく。
「今回のキャスティングモデルは、64の短い長さにしており投げやすくなっています。船のミヨシ、トモならストロークを取りやすく投げやすいですが、胴の間あたりは長いロッドだと投げにくい。そんな場所でも扱いやすいように、この長さで今回は作ってみました。短くなると硬くなるデメリットがありますが、今回のモデルはそこまで硬さを感じず、それでいて60g、70gの鯛ラバをキャストできます。チューブラで作ってあり、ティップにはソフチューブトップを採用しているため、非常にしなやかです」
また、今回の釣行では出番がなかったが、掛け調子のK-B66M-Sもラインナップされている。こちらは感度に優れたソリッドティップとなっており、マダイのファーストタッチを見逃さず、フッキングへと持ち込める性能。また、フォールでのアタリを捉える性能も備える。
2025年NEWモデルのおすすめポイント

初心者、中級者向けのエンゲツSSだが、今回のモデルは従来モデルからブラッシュアップされ、よりしっかりとした鯛ラバロッド性能を備えているという。「使いやすいロッドができたと思っています」
「今回、大型は出ませんでしたが、数多くの魚が出て楽しむことができました。エンゲツSSは、ラインナップの多さから、日本全国の様々なシチュエーション、その日の状況に合わせたモデルを選ぶことが可能です。鯛ラバロッドは、底を取る感度、アタリがあった時に魚に違和感を感じさせないティップの柔軟性、掛かった後に魚の突っ込みをいなすしなやかさが重要です。エンゲツSSは、シマノの鯛ラバロッドの中で、初心者、中級者の方に選んでもらいたいという位置付けとなっていますが、しっかりと鯛ラバロッドの基本性能を備えています」
ちなみに今回使用したリール、オシアコンクエストCT 200 MGは、新しいギア比を搭載したモデル。巻きのパワーを備え、巻いている時の感度も高く、ボディ剛性も高い。さらにカウンター、巻上距離アラーム機能も装備され、的確にタナを捉えることが可能だ。
「パワーがあり、ハードな海で使ってほしいですモデルですね」
さらに炎月 シングルカーリーのLサイズも新作となる。こちらは、玄界灘でのテスト時にかなりの釣果を残したとのこと。
「いろいろな海で大物狙いの時に使ってほしいと思います」

新しくMGギアを搭載したオシアコンクエストCT 200。PG寄りのパワー、感度を備えているという。

新発売となるLサイズの炎月 シングルカーリー。「0.6mmの厚さで、どこの海でも使いやすいと思います」
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