2024/07/29
コラム
鯛ラバを楽しみ尽くす in 玄界灘 ×赤澤康弘&中村彩
季節は秋の玄界灘。訪れたのは瀬戸内をメインに全国のフィールドで活躍している赤澤康弘さん。東京湾をメインに活動し、遊漁船の船長、中乗りとして釣りの経験を積み、鯛ラバの楽しさを伝えている中村彩さん。ふたりの鯛ラバ釣りの名手に、鯛ラバの基本と玄界灘の秋を攻略するためのコツを教えてもらった。
最初の投入で気をつけること
玄界灘は、ふたりにとっていいイメージしかないフィールドだが、一日の釣りを楽しむためには「ポイントに到着してから、最初の投入でミスをしないことが大切」と赤澤さんは言う。そのための赤澤さんのタックルを紹介しよう。
ロッド:エンゲツリミテッドN-B610M-S
リール:オシアコンクエスト200HG
ライン:グラップラー8PE 1号+炎月EXフロロ4号(リーダー)
ルアー:炎月バクバクプラス120g+炎月シングルカーリーM(オレンジドット)
朝イチはミスを防ぐため、トラブルが少ないシングルカーリーを選択。ネクタイは玄界灘で実績のあるオレンジをベースに、底にいるエサを捕食しているパターンを意識して、若干黒を混ぜたものをセレクト。
中村さんがリールはHGモデルを選択する理由
玄界灘は水深が深く重たい鯛ラバを使うという理由で、中村さんはMクラスのタックルを選択。タックルは下記の通り。
ロッド:エンゲツTT B69M-S
リール:オシアコンクエスト201HG
ライン:グラップラー8PE 1号+炎月EXフロロ4号(リーダー)
ルアー:炎月バクバクプラス120g+炎月ストロングカーリー(オレキン)半分にカット、炎月イカタコカーリー(ブラックレッド)
イカタコカーリーは波動が大きいので、それに合わせて、ストロングカーリーを弱くしてバランスをとるため半分にカット。HGのリールを選択した理由は、ラインが出たときの回収の早さを考えてのこと。手返しよく着底させて狙いたいという意図がある。また、テンションが抜けそうになったときも速く巻けるのでバレを防ぐこともできるからだ。
釣果を分けることもある、投入時の注意点
釣りをはじめるとき、投入時の注意点をふたりに聞く。
(中村)「投入の際に、ラインを手で引っ張って、ロッドに合ったドラグ設定ができているかを確認する。ハリが抱いてないかを確認し、海面で鯛ラバの動きを確認することが大事ですね」
(赤澤)「中村さんが言ってくれたこと以外ですと、投入時は、海中で鯛ラバを泳がせて、ネクタイをなびかせた勢いでクラッチを切って落とす。鯛ラバをキャスティングする場合は、着水後にロッドを立てて、手前にラインを引っ張って、鯛ラバを泳がせてから落とす。こうしてネクタイの絡みを防ぎます。これができるできないで釣果が大きく変わる。ネクタイが絡んでいると喰わないですから!」
リトリーブは等速巻が基本?
リトリーブの基本は等速巻き。その理由は、魚が追いかけてくるとハンドルを通じて指に掛かる負荷が軽くなったり、重くなったりするのが分かりやすいからだ。これによって、潮が効いているところも分かる。変化を知るために等速巻きが大事なのだ。鯛ラバを巻くときの注意点をふたりにうかがうと。
(中村)「巻くときの注意点としては、ドテラで流しているときは、船足(船速)を計算すること。船足が速いとルアーもその分速く動いてしまうので。特にゆっくり動かしたいときは注意が必要ですね」
(赤澤)「瀬戸内海などの内海で、船を立ててバーチカルの釣りをするときに、船が潮と同調して一緒に動いているときは、ノット数のスピードが速かったら、ネクタイは動いているという考えですね。ドテラとバーチカルは釣り方は異なりますが、どちらも常にネクタイの動きを考えてコントロールして釣ることが大切ですね」
どのレンジを中心に狙うのがいいのか?
秋の玄界灘を狙うとき「マダイは季節的にはイワシが入ったらそれに付くけれど、基本は底から5~10mまでにいます」と赤澤さんは言う。
そのため釣り方は底を狙って、その反応から、底物捕食の傾向が強ければ、底の方をゆっくり巻いて、10回ゆっくり巻いたあとはスピードを上げる。その瞬間にリアクションで喰うこともある。
(赤澤)「基本的にはマダイが捕食しているものを意識して釣る。イワシなら浮く。底のものを捕食していたら、底から15~20mまでを繰り返して狙います。ベイトに対してリトリーブを決めていくのが有効だと思います。あと、基本的には、マダイは潮が緩むと上ずる。走ると沈みます。今回は最初に120gという、確実に釣りができる重さを選んで、これでラインがまっすぐ落ちていくようであれば少し軽くしていくのもあり。とりあえず、底重視で狙いつつ、20回ぐらい巻き上げて様子をみました」
ロッド選びでMLかMスペックかを迷ったときには
ロッド選びで、どのパワーを選んでいいのか迷ったときには、海域別で考えるのがいいと赤澤さんは言う。
(赤澤)「瀬戸内海では70gぐらいまでをよく使うので、ロッドはML。ティップ、ベリー、バットまで柔らかいのでアタリをはじかないのがいい。Mスペックはティップは柔らかいんですが、ベリーに向けて徐々に張りが出てくる。バットは多少たわむけど硬い。バーチカルで鯛ラバ150gを使うとき、最初からMLを使うとロッドが寝てしまう。その状態で魚が掛かると凄い力が生じてしまう。そうしたらサカナは違和感を抱いて鯛ラバを離してしまうので、Mスペックを選びます。100g以上、250gを使う海域では、パワーのあるMスペックを使うのがいいですね」
フルソリッドがいいのか、チューブラーがいいのか?
エンゲツのロッドシリーズには、フルソリッドとチューブラーモデルがある。
チューブラーというのはブランクスが中空のもので、一般的なロッド。そもそもがロッドの進化の過程で長いのに軽いロッドを製造するためにできものなので、その特性は軽いこと。また、ブランクスのベースとなるカーボンシートにはさまざまなものがあるので、これを組み合わせて理想的なロッドを作ることができる。また中空なので感度がいい。ただ中空なのでロッドの負荷の限界がすぎると真円のロッドがつぶれ、やがて破綻する。つまり折れる。
フルソリッドは、根元から先までカーボン繊維でできていて、中空ではない。そのためツブレがなく、折れにくい。テーパーを緩めればロッド全体を曲げられるので、魚の引きに対して竿全体でいなすファイトができる。ビギナーでも扱いやすく、バレが少ないので、多くの魚を手にしたい人向けだ。
リールのサイズとPG、HGのどちらを選べばいい?
赤澤さんにリール選びについてうかがうと、ギア比については、汎用性が高いのはPG。PGはいろいろな海域に対応するので「1台選ぶとすればコレ」と。HGはギア比が高いので水中の変化を感知しやすいのが特徴。サイズについては、海域、鯛ラバの重さによって異なるが。100番手はバーチカルだと70m、70gまで、150番手はドテラで70mまで(ダブルハンドルで鯛ラバ100-120g、パワーハンドルは120-150g)。カウンター付きは海中の状況を知りやすいので、ビギナーだけでなく、狙うタナを絞った釣りをしたい上級者にもおすすめだ。
(赤澤)「玄界灘でもパワーハンドルなら150番手のHGでいけるが、おすすめは200番手。水深100mまでで鯛ラバ100-200gに対応する、玄界灘で一番使えるサイズ。感度優先ならHG、巻きの強さを優先するならPGですね。玄界灘でも風、海がハードなときや水深100m以上、鯛ラバ160-250gなら300番手。それと、流行りのディープドテラなら300番手を選びます」
赤澤さんは300番手ではHGを使う。番手の大きさゆえHGでも問題なく巻けるという理由からだ。
鯛ラバのヘッド選び。玄界灘でおすすめのチューニング
玄界灘のヘッド選びは、基本は100-120g。赤澤さんは朝イチの投入ではミスをしたくないので、確実に底がとれる120gを選んでいる。
炎月のヘッド形状による使い分けは、バクバクプラス(ラウンドタイプ)は水抜けがいい。扱いやすく、釣果が出やすい。タイガーバクバク(スクエアタイプ)は巻き抵抗が強いが、アピール力が高い。潮の効きが悪いときに有効。一発大物狙いで実績があるのは、タイガーバクバクだという。
また、玄界灘ではオレンジ系が人気があるが、虫エサを捕食しているときには、濃いグリーンのネクタイが効く。「玄界灘はポイントが大きいので、ハイアピールを意識するといいですね」と赤澤さん。また、大型マダイ狙いには通常のネクタイの3倍の厚みがあり、ハイアピールのゲキアツカーリーが有効で、赤澤さんは半分にして大き目のチューブを使って固定している。
関連記事
RELATED COLUMN