2018/08/02
コラム
新釣法“フォールタイラバ”で挑む玄界灘【後編】
初日(前編)は、時化で出船中止のため急遽実釣前“フォールタイラバ誌上講座”を開講。2日目(後編)は、鈴木さんのフォールタイラバゲームを実釣検証する。レクチャーのとおり、フォールタイラバは玄界灘の大型真鯛を魅了するか!? 「目標は80cmオーバー!」
フィールド紹介/玄界灘(福岡県)
九州北西部の福岡県、佐賀県、長崎県にまたがる海域で、大陸棚に対馬暖流が流れる日本有数の漁場。ソルトでは青物や真鯛狙いのオフショアゲーム、対馬をはじめとする離島の遠征フィールドとして人気だ。今回は福岡市中央区の伊崎漁港から出船。
DAY2 フォールタイラバの集魚効果を検証する実釣がはじまる
朝マヅメは重めのフラットバクバクを高速フォール。強アピールで高活性鯛にアピール
– 実釣前日のレクチャーで鈴木さんは「フォールタイラバはフォールでも喰うが、フォール中の集魚効果が重要」と力説。2日目は、フォールタイラバの有効性を実釣検証する。
「昨日まで吹いていた北寄りの風が収まって、昨夜から南風に変わった。今日はフォールタイラバが楽しめそうですね」
– 船は、ヤフオクドームを間近に臨む博多湾伊崎漁港から、午前5時出船。約1時間ほどでポイントに到着した。水深は65m前後。
「まずはフォールでアピール力のあるフラットバクバク。ただ、朝イチは活性の高い真鯛がいるかもしれない。素早く落として、いち早く自分の鯛ラバに気づかせたいので重めの100g。カラーは、春の玄界灘で実績の高いオレンジ系から試してみます」
– ヒラヒラッとスライドしながら水中へ消えていくフラットバクバク100gのフォールスピードは意外と速い。
「潮が流れてないですね。ドテラ流しの船で、ほぼ真下の底に着きます」
– 昨日の解説によると、ラインが立つバーチカルな釣りができるときは、フラットバクバクが向くということでした。
「それは、潮がある程度流れていればの話し。今は、潮が軽く感じます。これではフォールでも巻いても喰わせるのは難しいでしょうね。船長が6時半が潮止まりと言っていたので、チャンスが訪れるとしたらその後でしょう。今日は長潮。自分の経験でいうと、長潮、若潮の潮変わりのタイミングは大鯛が出やすいですからね」
真鯛のアタリがない状況で船中1尾目をキャッチ!いきなり目標達成!!
周りが釣れていないときは「人と違うこと」も重要
– 時刻が7時を回ると船中でレンコダイがポツポツと上がる。
「同船者は自分も含めて9人で、2、3人の方にバタバタッと釣れて、自分までは回ってきませんでしたね」
– ただ、同船者の方にも真鯛のアタリはありません。現在の状況は?
「水深は70m前後。上の潮は少し流れはじめたけど、底潮は動いてないですね。ほんとは底潮が動いてほしいんですけど。鯛ラバをタイガーバクバクの100gに替えてみます」
– フラットからタイガーへ。フォールのアピールを抑える?
「それもあるし、ちょっと試したいこともあって。おっ、早速反応しましたよ」 話しながらリールを巻いていると、サオを持つ手が確かな魚信をとらえた。 「ボトムから15mくらい巻いたらゴゴゴゴンッ、ドスンッといきなり喰いました」
– しっかりハリがかりさせると、炎月リミテッドB610M-S/RIGHTが絞り込まれる。
「鯛です。まあまあ大きそうですね」
– 抗う真鯛の引きをロッドの曲がりとドラグでいなし、鎮まるタイミングでリフトする攻防を繰り返すこと数分、水面下に桜色の大きな魚影が見えてきた。
「やっと喰わせることができた。目標は超えていそうですね」
– フォールでアピールして集魚。巻き上げで喰わせた?
「いや、巻きでもアピールしました。周りの人と違うことが効きましたね」
【ヒットパターン】着底後、回収並みの速巻きでバイト!
【ヒット鯛ラバ】炎月タイガーバクバク100g
「アタリがない中、同船者の方たちはみんなゆっくり巻いてました。誰も釣れないということは何か変えないとダメかなと思い、タイガーバクバク100gで底をとって、回収するくらいのスピードで巻き上げたら反応しました」。
この日の船中1尾目の真鯛をキャッチ。しかも83cmの大鯛だ。鈴木さんが大鯛をかけた直後、船長が鈴木さんの釣り方をアナウンスすると同船者の一人にも80cm級がヒット。時合はわずかだったが、偶発的ではなく再現性のある釣法だったことがわかる。
【実釣検証1】フォールタイラバの集魚効果
「反応がないときは巻きのアピールも変化をつけたほうが良いですね」
– フォールタイラバは、フォールの集魚効果が重要→有効なフォールを探すために色々試す→そのためには鯛ラバの使い分けも必要、というのが実釣前レクチャーの要点。実釣ではフラットバクバク100gからスタート。
「フォール中のアピール力が強く、水深に対して重めで速く落とす。狙いは活性の高い真鯛を集魚するためです」
– 真鯛の反応がなくても、オレンジゴールドからドチャートなどカラーチェンジだけで同じ鯛ラバで通しました。
「潮止まりで流れていなかったので、これは何に替えても難しいなと思いそのまま」。
– 潮がわりのタイミングでタイガーバクバク100gに替えた。
「同船者の方たちが、ゆっくり等速巻きで釣れない。もっと速く落として、もっと速く巻いたら反応するかを試しました。フラットよりタイガーのほうが巻き抵抗が小さく、速く巻けますからね。反応がないときは鯛ラバを使い分け、フォールも巻きも変化をつけることが重要です」
喰いが渋い状況であの手この手を試すが・・・
ロッドの使い分けやトレーラーの装着など攻め方は多彩にある
– 実釣は、潮がわりのタイミングで真鯛が反応。
「長潮、若潮は潮が動き出すタイミングで大鯛が出やすい」の言葉どおり、船中で80cmクラスが2尾出たが、その後、真鯛の反応がピタリと止まる。 「昨日まで吹いた北風の時化の影響ですかね。春はちょっとした時化で水温が下がって、急に喰わなくなることがあります」
– 同船者の鯛ラバには、冬が釣期のカレイがバイト。
「底潮まで水温が下がっているのかな」というと、ロッドを炎月リミテッドB610M-S/RIGHTから同B70M-S/LEFTに持ち替えた。 「右巻きから左巻きに。B70M-Sは掛け調子のロッドで、利き手でロッドを持って繊細なアタリをとって掛けにいきます」
– だが肝心のアタリがない。次の手はロッドを炎月リミテッドB610ML-S/RIGHTに持ち替えた。鯛ラバはフラットバクバク120gオレンジゴールドだ。
「水深70m。フォールは速く。でも巻きで泳ぎすぎないように乗せ調子の柔らかいロッドでアクションを吸収」
– 鯛ラバのタイプ、重さ、カラーを替えるだけでなく、タックルを使い分けて探り方を変える。それでも真鯛の反応はないまま、時刻は昼近くになろうとしていた。
「喰いが渋いですね。普段なら小型の鯛や根魚など、状況が悪いなりにアタリは出るんですけど・・・。魚探には(真鯛の)反応は出ているので、居ても喰わないだけ。今度はバクバクトレーラーを付けて試してみます」
– その狙いは?
「フォールスピードとアピール力を変えて、鯛の反応をみます」
炎月リミテッド RIGHT(右巻き専用)とLEFT(左巻き専用)の使い分け
「利き手で巻くか。利き手で持つかで選びます」
炎月リミテッドは、乗せ調子のB610ML-S、B610M-S、掛け調子のB70ML-S、B70M-Sがあり、それぞれにRIGHTとLEFTの全8機種をラインナップ。右巻き用のライトと左巻き用のLEFTの使い分けは?「速巻きや大鯛とやりとりする可能性が高い釣り場、ドテラ流しでラインをたくさん出して回収など、素早いリーリングや力強い巻きが必要なときは、利き手で巻くロッドを選びます。自分は右利きなのでRIGHT。小さなアタリをとるなど繊細な操作をしたいときは、利き手でロッドを持ちます」
スパイラルガイドも左右で螺旋方向が逆
炎月リミテッドのXシート エクストリームガングリップは、当然、左右別設計。スパイラルガイドもRIGHTとLEFTで螺旋方向が逆になっている。ラインが視界に入りやすいように巻き手側に倒れ込み、ラインマーカーの動きが把握しやすい。
【実釣検証2】フォールスピードとアピール力
“速さ”と“強さ”はトレーラーでも調整できる
– 同重量ならタイガーバクバクよりフラットバクバクのほうがフォールスピードが遅く、アピール力は強い。両鯛ラバを使い分けて、そのときに集魚効果の高い鯛ラバを探し出すのが、フォールタイラバでアタリの増やすためのセオリー。実釣では、そこにトレーラーワームを追加した。
「鯛ラバはゆっくり落ちてフォールアクションが大きいほど、アピール力が強いですよね。例えばフラットバクバクにトレーラーを付ければ、さらにフォールスピードを落とすことができます」
– トレーラーがフォール時に水を噛んで抵抗が増す?
「そう。水を噛む=波動によるアピールがプラスされます。トレーラーに何を付けるかで、アピール力の上げ幅も広がります」
バクバクトレーラー は低活性時に有効。ハリがかりを向上させる効果もあり
炎月バクバクトレーラーは4タイプあり、喰い渋るときに有効なイカゴロ(内臓)エキス配合。段差フックの長いほうのハリに付けるのが基本だ。「バクバクトレーラー は浮力があるので、等速巻きの斜め上昇軌道でフックが垂れさがらず、スカートと同調。フックをしっかり喰わせやすくなります。浮力、アピール力ともに一番弱いのがマイクロコイカーで、一番強いのがエビラバー。フラットバクバクの段差フックにエビラバーを1尾ずつ付ければ、現状で最大のアピールができます」
脱スカートのアピール力を抑えたセッティングもある
「スカートを外すことでフォールは速くなり、アピールを弱めることができます。シルエット的にはバチやアナゴのイメージですね。玄界灘でも実績の高いセッティングです」
のっこみ前の真鯛がたまる深場へ移動。アタリ増発を狙う
炎月リミテッドと炎月プレミアムPGは長距離のどてら流しでも有効
– 実釣を開始して約6時間経過。船中でもアタリは少なく、船長は大きく移動することを決断。水深100m前後のエリアに入った。
「のっこみ(産卵で浅場に上がる)前の真鯛が溜まる深場。サイズは選べないけど、アタリの数は増えるはずです。風が吹いてきて船の流され方が速い。タイガーバクバク150グラムでいきます」
– 炎月プレミアムのフォールレバーを最大限後ろに倒し、ブレーキ力ミニマムでラインを送り出してフォール。それでも着底までに間がある。
「水深97mで、着底時にラインは150m出てますね」
– 投入から底をとるまでに、それだけ船が流されたということだ。ドテラ流しで巻き上げと着底を繰り返すと、その距離はどんどん伸びていく。水中の様子はどうです?
「ボトムから7、8mは潮が軽い。流れてないですね。その上からズーンッと重い。二枚潮みたいになっています。底の魚は喰い気がないかな。アタリなし。回収。ラインが200mも出ている。こういうときも炎月リミテッドのXシート エクストリームガングリップは、ロッドを持つ手が疲れにくく、炎月プレミアムのPGは水圧がかかる鯛ラバを楽に巻けます」
「フォールタイラバでも喰わせ切れない真鯛はいる。その克服が課題であり、楽しみ」
船中1尾目、最大魚がフォールタイラバの威力の片鱗をうかがわせる
– 水深100m前後の深場を狙っていると、同船者が60cmクラスの真鯛をキャッチ。
「ボトムから10巻きくらいで喰ったそうです。おそらく潮が軽い層の上。時間的にも潮止まり前ですからね」
– 潮がわりのタイミング。80cmオーバーの再来なるか!?
「ボトムから15m上までをゆっくり巻いて探ってみます」
– 巻き上げとフォールを何度か繰り返す最中の着底直後に炎月リミテッドB610M-Sのティップがしなやかに曲がる。
「着底してすぐに喰った。大きくはないですね。この引きは、締め込まないから真鯛じゃないな」
– 上がってきたのは、良型のアオハタだ。
「本来は、こういうゲストのアタリがもっと出るはずなんですよね、鯛ラバは」 その後、真鯛と根魚らしきアタリが2回出るが、真鯛は船中5尾と調子が上がらないまま、沖上がり迎えてしまった。「昨日までの北風による時化の影響が大きかったんだと思います。真鯛の活性が低い。やる気のある真鯛が多いほど、フォールタイラバの集魚効果は生きてきます。フォール中にガツガツ喰ってくることもありますからね」
今回は、ゲストのアタリも少ない低調な海で、船中1尾目で最大魚という立派な結果。これはフォールタイラバの集魚効果と、鈴木さんの現場の状況に対応した釣り方によってもたらされたものだ。今後も鈴木さんのフォールタイラバゲームに注目だ。
タックルデータ
[ROD] 炎月リミテッド
「炎月リミテッドは、ブランクスにネジレ、つぶれに強いスパイラルXコアを採用し、軽くて高感度なカーボンモノコックグリップや、しなやかで強いソリッドティップのタフテック∞。そしてXシート エクストリームガングリップと、フォールタイラバゲームの精度を上げるための機能が満載。一度使うと手放せなくなる鯛ラバロッドです」
[REEL] 炎月プレミアム 150HG、151HG、150PG、151PG
「大きな特長は、前編で紹介したフォールレバーに、巻き上げとフォールのスピード表示ですが、リール本体は剛性が高く安定して巻きやすい。あとフォールタイラバで使える機能がレベルワインダーとスプールの連動。スプールから出るラインの位置とレベルワンダーが常に真っ直ぐでフォールがスムーズ。大鯛をかけても滑らかにドラグが効いて、細糸でも安心してファイトできます」
[LINE] タナトル8 0.8号
「タナトル8は8本編みのPEラインで、表面が滑らか。潮の抵抗を受けにくく水切れが良いから、水深があって流れの速いエリアでドテラ流しで釣るときに有利です。余分な糸フケが出にくく、イメージどおりにフォールさせやすい。感度アップにも繋がります」
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