2023/11/20
コラム
NEW『オシアコンクエスト』 200HG&200PG×『炎月 バクバクプラス』の使い分けで玄界灘のマダイ攻略
シマノインストラクター赤澤康弘の玄界灘鯛ラバ実釣レポート。NEW『オシアコンクエスト』 200HG&200PGと『炎月 バクバクプラス』の使い分けで玄界灘のマダイを攻略していきます。
プロフィール
NEW『オシアコンクエスト』200HGの感度で挑む
4月中旬、赤澤さんがやってきたのは、福岡県の北に広がる玄界灘。この時期、玄界灘では産卵を意識したマダイが群れになって回遊する。ベイトは、ボトム付近から中層まで幅広いレンジを動き回るイワシのほか、ボトムに生息する甲殻類とさまざま。これによりマダイはボトムだけでなく、海底から20m上、ときには40m上までベイトを追って浮いてくることがあるという。
赤澤「この時期の玄界灘攻略のカギは、マダイのレンジをどれだけ早くつかめるかですね」
ロケ当日は、福岡市内の伊崎漁港から「マリブエクスプローラー」(龍野船長)で出船。最初にやってきたのは水深100m前後のエリアで、到着時点で風が強くて潮も速い。くわえて風と潮が同じ方向なので、ドテラで流す船が風に押されて、潮よりも速く流される状況だった。
赤澤「鯛ラバのウエイトは120gからはじめてみましょう。底が取りにくいようなら150gにウエイトアップします」
ロッドは『エンゲツリミテッド』N-B610M-S/RIGHT、リールはNEW『オシアコンクエスト』200HG。ラインは『GRAPPLER8』1号で、リーダーは『炎月 真鯛LEADER』5号。そして鯛ラバは『炎月 バクバクプラス』120g(ネクタイは『炎月シングルカーリーS』。カラーはオレンジ)というセッティング。
赤澤さんは、NEW『オシアコンクエスト』の200HGと200PGの2機種を持参していたが、なぜ200HGを選んだのだろうか?
赤澤「HGはハンドル1回転の糸巻き量が78cmのハイギアモデルです。鯛ラバを回収して入れ直すまでのスピードが速くなるので、水深100mを超える釣り場で手返しよく釣りができます。くわえてHGはハンドルをゆっくり巻くことで鯛ラバの重み、潮の強さ、潮が変化したことを手に感じやすいんです。つまり、海中の変化がつかみやすい。今回のような海中の状況がよく分からないとき、私はまずHGで海中の様子をうかがいます。そのうえで鯛ラバを精密に巻きたいときにPGを使うというようにリールを使い分けています」
NEWタックルでマダイをキャッチ
釣り開始。船長からはボトムだけでなく中層も意識するようにとのアナウンス。赤澤さんは鯛ラバをボトムまで沈めると、すみやかに巻き上げに移行する。巻き上げるスピードは前述したように、かなりスロー。それは、海中の鯛ラバがリールによる巻き上げスピードに船が風で流される速度が加わることを考慮しているからだ。
赤澤「船と潮の速度がバラバラのときは、鯛ラバを引いているレンジが自分がイメージしている以上にズレていることが多いんです。今日はまさにその状況ですから、リールの巻きスピードでレンジを微調整する必要があります。逆にこんな状況でもボトムにマダイがべったり着いているなら、底取りをこまめに行なえば対応できます」
中層にマダイが浮くときは高活性で狙いやすいように思えるが、そのレンジがつかめないと一気に難易度が上がる。実際に赤澤さんのそばに設置した『探見丸-CV-FISH』には底から20mほど上にマダイの反応が映っていた。小規模の群れでとどまっているような映り方だと赤澤さん。つまりそのレンジをピンポイントで狙わなければならないのだ。
120gでは底取りしにくいので赤澤さんは鯛ラバを150gの『炎月 バクバクプラス』にして、ネクタイを『炎月 シングルカーリーM』(カラーはオレンジ)に替える。これで底が取りやすくなり、ネクタイをサイズアップすることでアピール力を高めることにした。
鯛ラバを底まで沈めてNEW『オシアコンクエスト』のハンドルから感じる、鯛ラバの巻き抵抗の変化を逃すまいと集中して巻く。この状況では、手に伝わる感触こそがレンジをつかむ頼みの綱である。
赤澤「ん? マダイが(鯛ラバの後方に)着きましたね」
何度かの巻き上げで前アタリをとらえた。巻き上げ時のハンドルの負荷に違和感があったという。赤澤さんのテクニックと経験、そして高感度の『オシアコンクエスト』200HGだからこそ感じ取れるアタリだ。そしてついに本アタリが出てロッドのティップを揺らす。赤澤さんは巻きを止めず、じっくり追わせてハリ掛かりを確信したところでロッドを曲げ込んだ。
赤澤「乗ってくるまでの時間が長かったから、ハリ掛かりがちょっと浅いかもしれませんね」
赤澤さんは、ファイトしながらハンドル横にあるスタードラグをスッと人差し指で回して少し緩めた。心地よいドラグ音とともに、マダイの力でラインが引き出される。
赤澤「こうしておくと、ハリ掛かりが浅かったとしても、ドラグのおかげで身切れやハリ外れを防止できます。これはちょっと小ぶりですが、なんとか掛けた1匹目! 大事に獲りたいですね」
上がってきたのは40cmクラスのマダイ。ワンチャンスを逃さずに丁寧な釣りを展開して本命を手にした。
その後もマダイのレンジは刻一刻と変化する。底かと思えば中層に浮くこともあり、赤澤さんはそのたび『オシアコンクエスト』200HGがもたらす高い感度を頼りに、手の感触に集中して鯛ラバを巻いていく。1匹目と同じように違和感のような前アタリをとらえ、しっかり本アタリへつなげて2匹目のマダイを手にした。これはフックの掛かりがとても浅く、ファイトしながらドラグを調整したからこそ取り込めた1匹だった。
赤澤「私は鯛ラバを巻き上げるときは、マダイがハリ掛かりするまである程度ドラグを強めに設定しています。これはフックがマダイの口を貫通する力を作るためです。でも、強めのままだと2匹目のマダイのようにハリ掛かりが浅い場合や、ハリが口ではなくマダイの顔に浅く掛かっているとき(外掛かり)は、身切れによるハリ外れの原因になることがあるんですよ。そこでファイト中にドラグを緩めることで、逃さないようにしています。NEW『オシアコンクエスト』はスタードラグのサイズが前モデルより若干大きくなっているんですが、これがいい。ファイト時のドラグ調整が非常にやりやすいんです」
『炎月 ゲキアツカーリー』でサイズアップ
厳しい状況はその後も続く。風はまったく弱まらないうえに、潮止まりから期待した下げ潮も想像以上に速いものだった。赤澤さんは「潮が動くだけいいですよ」と、中型を切り捨て、サイズアップを狙うべく鯛ラバの構成に手を加える。『炎月 バクバクプラス』150gはそのままで、ネクタイをNEW『炎月 ゲキアツカーリー』(カラーはオレンジ)に替えてアピール力を強める。
赤澤「ネクタイとしてはこれまでにない、1mmという厚みです。その厚みが海中ではしっかり水をかき混ぜて強い波動を生み出します。速い流れの中でもその強波動が離れたマダイにもアピールして引き寄せてくれます。ただし、厚く長いので40cmクラスまでのマダイでは食い込みが悪くなってしまいます。ですが、一気に大きなものも食い込むほど活性がいいマダイ、50cm以上の大きなマダイに狙いを絞るなら効果的です」
まさに大物狙いのゲキアツネクタイである。こうして赤澤さんは、船長からのアナウンスと『探見丸-CV-FISH』をチェックしながら、マダイのレンジから鯛ラバが外れないよう、リールのハンドルに掛かる負荷に集中して流れの中を泳がせる。
赤澤「ん? マダイが鯛ラバの後ろに着きましたね」
巻き抵抗の中にムラが混じったと赤澤さん。あとはうまく追わせて本アタリへつなげるだけだ。
赤澤「よし! しっかり食いました!」
じっくり追わせて、マダイがネクタイを深く噛み込む重みがロッドへ乗ったところで、ゆるやかかつ力強くロッドを引いてフッキング。ドラグ音からこれまでよりサイズが大きそう。赤澤さんはすぐさまスタードラグを回し、ベストな状態にしてファイトを展開。危なげなく50cmオーバーのマダイを釣り上げた。
赤澤「狙い通りの1匹でしたね!」
『炎月 ゲキアツカーリー』の強いアピール力、そしてNEW『オシアコンクエスト』200HGの精密な巻きで食わせた技ありのマダイだった。
食わせのNEW『オシアコンクエスト』200PG
下げ潮は緩むことなく勢いよく流れており、風も依然として強い。難しい状況のなかで、赤澤さんはマダイのレンジを見つけ出し、苦心しながら鯛ラバを通していくが、アタっても乗り切らないことが増えてきた。
そこで攻め方を変えるべく、ロッドはそのままにリールを『オシアコンクエスト』200PGに替える(ラインやリーダーは200HGと同じもの)。鯛ラバは引き続き『炎月 バクバクプラス』150gだが、ネクタイを『炎月 シングルカーリーS』にチェンジ(カラーはオレンジ)。
赤澤「アタっても乗り切らないのは、鯛ラバが泳ぐ速度が速いか、ネクタイが大きいからでしょう。PGはハンドル1回転が57cmのパワーギアモデルです。よりスローに巻き上げることが可能なので、食わせの間を長くすることができます。ネクタイも小さくして食い込みやすくしました」
200PGも『オシアコンクエスト』ならではの滑らかで軽い巻き上げが可能。赤澤さんは手元に伝わる負荷とその変化に集中しながら、マダイのレンジに鯛ラバを通していく。すると、前アタリをとらえると、続いて待望の本アタリ! そして乗せるまでの一連の動作を流れるようにこなしてヒット!
赤澤「よしっ! 食いましたね!」
掛かりにくかったマダイを、タックル変更、そして赤澤さんの巻きスピードと鯛ラバのボリュームの調整で見事に攻略! まさに技ありの1匹である。このあとも同じように200PGと『炎月 シングルカーリーS』でマダイを追加して、厳しい状況ながら5匹のマダイを手にして納竿となった。
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