2023/09/11
コラム
広島沖の鯛ラバゲーム 夏の大鯛攻略を赤澤康弘が解説!
鯛ラバが人気の地、瀬戸内海・広島エリア。マダイの魚影が豊かな地であるが、それでもよく釣る人と釣れない人は存在する。さらに中鯛、小鯛が釣れている中で、大鯛を確率良く仕留めてくる人もいる。そんな広島エリアの釣果を得るカギ、大鯛をキャッチするためのポイントを赤澤康弘さんが解説してくれた。
広島大会での釣果予測とマダイキャッチへのカギ
鯛ラバファンのために開催され、今年で第7回を迎える「炎月×フリースライド鯛ラバCUP」。2023年7月30日に広島大会が開催され、中鯛、大鯛がキャッチされ盛り上がった大会となった。この大会は、3枚の総重量で競い合うというルール。そのため数を釣り、より大きなマダイに入れ替えていく方法もあるが、やはりその中で大鯛を仕留める技も必要になる。今大会のサポートゲストである赤澤康弘さんは、大会当日は一人でも多くの参加者を船に乗せるという理由から、選手と一緒に乗船せずに大会本部で待機。参加艇の船長からの情報、選手からの海上からの情報を得つつ、自身の経験から予測。広島沖の大会開催時の攻略法を教えてくれた。
7月末時点での広島沖のマダイフィールド
広島沖には様々な鯛ラバフィールドがある。島が多く、複雑な流れを作り、マダイのポイントといっても広く点在する。その中でどこを攻めるのか? これは船長が得た情報と勘によるところ。
「ポイントは平郡島周辺のエリアが、今は(7月末時点)良いようです。この夏場の時期に釣果が出るエリアです。年により良いエリアが変わることもあります。ただ、今回の大会参加艇はグループ船で、常に情報交換をしているので、出船時にどのあたりに反応が濃いかなどを熟知しており、釣果を得られる確率が高い船といえます。そんなことから瀬戸内海エリアの中でも、この広島エリアは、数、型ともに出るのだと思います」
平郡島エリアの状況とマダイのコンデション
船長の話では平郡島エリアでは、前日に船中50枚ほどのマダイがキャッチされたという。
「水深は70mほど。マダイが捕食しているのは、船長の話だとエビやカニ、虫系などの底物、または場所によってはイワシなどが捕食されているとのこと。そのため底物を捕食しているポイントではボトム付近がタナ。イワシの反応が見られれば、その回遊タナを探る必要があります。今の時期は、産卵が終わりマダイたちも回復している時期。回復している個体は、どんどんイワシなどのベイトフィッシュを追って捕食します。まだ完全に回復していない個体は、ボトム付近で食べやすい底物を捕食している時期だと思います」
底物ベイト、イワシベイトの状況下でどう攻略するか?
まず、ベイトの反応、マダイの反応に関しては、船長からアナウンスがある。その中でどのように鯛ラバを動かすのか?
「底物を捕食しているポイントでは、もちろんボトム付近がタナ。底付近をゆっくりとした動きで探るのが良いと思います。またイワシなどの反応が出れば、そのタナ付近も探る必要があります。動きはボトム周辺と違い、少し速い動きのほうが、マダイが反応しやすく、効率よく探ることができるといえます。ちなみに平郡島エリアは底物のエサが豊富なエリアです。その中でイワシの反応があったからといって、全てのマダイがイワシを捕食するわけではないので、ボトムをしっかりと探りつつ、イワシのタナも探るのが良いでしょう」
どのベイトにマダイが着いているのか、その都度アングラーは判断し、巻きスピードを調整することが大切。そのようなことをしっかりとやることが、より釣果を得ることができるコツだと赤澤さんは言う。
当日の状況と攻略法
大会当日、ポイントに入った選手から「潮の流れが緩く、アタリが遠い!」という連絡が入った。これに対して、赤澤さんは大鯛のチャンスだという。
「潮の状況により、釣果が左右されることも多いですが、今朝は潮が緩いという情報が入りました。ただ、潮がガンガン流れる時というのは、これまでの経験から小型から中型の30~50cmのマダイが数多く釣れることが多いです。一方、潮が緩い状況の時は、ポツリポツリと良型、大型が釣れることが多い。これまで大型が釣れた時は、潮止まり、または潮が流れ出すタイミングで、まだ流れが弱い時に多かったです。今回は、そんな潮なのではないかと思います」
実際、その後に81cmの大鯛がキャッチされたとの連絡が入った。
「ただこの緩い潮は、ずっと続くわけではない。時間によって動き出す。瀬戸内海は、潮の流れがどこかのタイミングで発生します。その潮の流れの発生で、中型、小型の枚数が伸びてくる展開になると思います。瀬戸内海、広島沖では、潮が流れている時はテンポよく探り、中型、小型を狙っていき、潮が緩み始めたら大型を狙うということを心掛けると、良い釣果に恵まれます。潮が緩い、動き出したといったことを感じながら、やり続けることが大切です。『潮止まりだから釣れない!』『アタリが少なくなったから‥‥』といって探るのをやめてしまわず、しつこく探り続けているアングラーに大鯛が来ることが多いです。」
釣り座による攻略法
今回の大会では、クジ引きで釣り座が決定される。船はドテラ気味で流されるため、ラインが船下に入る釣り座と、ラインが払い出してく釣り座に分かれる。その中で、どう鯛ラバヘッドをチョイスするのか?
「今回のポイントでは、水深がそこそこ深いので、80~100g程度が良く、潮がガンガン動き始めたら、120、150gを使用したほうが良いと思います。ただ、釣り座によって使用する重さを工夫する必要があります。あまりにも船下に入るようなら、ある程度重いヘッドを使用してラインを立てる(より垂直に入れる)必要があります。一方、払い出し側では、しっかりとラインが立つウエイトを使用するか、あえて少し軽いヘッドを入れて鯛ラバを潮に乗せて飛ばして探るなどの作戦を立てることができます。いろいろと試すと良いと思います」
ちなみにこの大会で優勝を手にしたアングラーは、払い出し側の釣り座で、あえて周りのアングラーよりも軽いヘッドである45~60gを使用して大鯛をヒットさせていた。
ネクタイの傾向
どんなネクタイが良いのかも気になるところ。
「この海域の良くヒットするネクタイの傾向としては、昨日周辺のお店さんからも情報を得てみたところ、オレンジ×ゴールド、オレンジ×ブラックなどが強いという話でした。スタンダードなネクタイカラーです。形状としては、私の経験から言うと繊細な細い形状のものが良い時、波動がきっちり出るものが良い時というのがあるのですが、今回は帰港したアングラーから聞いたところ、後者のほうが良かったようです。炎月ストロングカリーだとか、新しくなった炎月シングルカーリーのMやSが今回は良かったのではないかと思います。僕なら、これらを選びます」
ちなみに優勝者は、軽めのヘッドに炎月シングルカーリーのSを装着し、全体のシルエットを小さくすることを考えて攻めたという。そして大鯛をヒットに持ち込んだと説明してくれた。
ボトム付近を探る際のスローのスピード感
結局、この大会当日はボトム付近での釣果が目立った。ただ前述したようにボトム付近はスローといっても、どのくらいのスピード感なのか分かりづらい。
「底付近をゆっくり丁寧に探っていった人が釣果を伸ばしたようです。シマノのカウンター付きのリールで、スピードメーターで表したら、3までのスピードが良かったでしょう。ちなみにこのような状況の中で、速い動きにしてしまうと小さいサイズが反応してしまう。大きいサイズを釣り上げた人は、やはりゆっくり巻いて、じっくり探っていたようです」
また探る範囲についての質問に対して「探る水深はボトムから5~10mだったと思います。ただ、喰いが立っている状況でなかったようなので、いきなりガツンとヒットする感じではなかったようで、巻いているとコツン、コツンとアタリが続きながら、巻き続けていると乗ってくる感じだったようです。アタリがあっても、辛抱しながらゆっくり巻き続けた人がヒットへ繋げられたと思います」とのことであった。
鯛ラバは、その時に何を食べているかというのを判断し、それにアジャストしていくことが釣果を伸ばすコツ。それらを船長からのアナウンスで判断し、攻める層、スピードを調整し、更にネクタイの形状によるアピールの強弱を選んで、それが状況にしっかり合えば釣果に直結するということだ。
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