2025/01/29
コラム
カワハギ名手が求める納得の一枚とは〜三浦半島久比里出船〜
最近のカワハギは止まっているエサは喰い込むものの、船が流れたり仕掛けを早くサビくと魚信が途切れる。
鈴木孝さんはこの傾向を「横に追わない」と言う。つまり、カワハギからの魚信を察知したら、できるだけその場所に仕掛けを留めて喰い込ませることが肝要だと言う。
納得を感じる瞬間の作法
久比里から出船したこの日、相棒の佐々木健仁さんが実践した釣法はまさにその典型。狭い範囲に仕掛けを留めておくために、まずは仕掛けに中オモリを付けて安定させ、カワハギに吸い込ませることで数を重ねる。
しかし、潮がたるんでくるとともに掛け損じる場面が出てくる。
ここで佐々木さんが講じた一手が、中オモリを外して潮受けしやすい集寄を付けること。同じ重めの仕掛けでも潮の抵抗が大きい集寄はフォールスピードが遅く、動きに変化も加わるためアピールと同時に喰い込みが良くなるのではないかと推測した。
策はズバリ的中。この一枚は、自分で考え、思いどおりに釣った「納得の一枚」だった。
佐々木さんが底狙いで数を重ねる横では鈴木さんが苦戦していた。佐々木さんが探った後の魚、鈴木さん言うところのセカンドコンタクトの魚を相手にするため、魚信が少なく、喰い込ませるのも困難だと言う。大会などで泣きが入るシチュエーションだが、鈴木さんは席を言い訳にしない。
むしろ、コンタクト=魚信が少ない状況で、わずかなチャンスから引き出しを駆使して釣ることこそカワハギ釣りの醍醐味だと言う。当日も佐々木さんが投げているときは船下、逆の場合はキャストと、仕掛けが動いてくる線をずらしながら拾っている。
すると、キュウセンのオスが続けて釣れてきた。別段驚くことでもないが、鈴木さんは「こんなときはカワハギが浮いていることがある」と、オモリ一つ分仕掛けを浮かせる。その途端、底とは違う派手なアタリでカワハギが掛かってきた。
鈴木さんは推測を確信に、偶然を必然に変えるべく次投から20cmほどオモリを受かせると、再び宙でカワハギが掛かってきた。
他魚のアタリすら手がかりとしてしまう引き出しの豊かさ。もちろんこの一枚が「納得」なのだが、鈴木さんは「大きいのがくればさらに納得」とハードルを上げてしまうのだった。
佐々木さんはロングキャストを交えて底を繊細かつスピーディに。鈴木さんは底、宙、つまり横縦自在に。
この多彩な釣法を体現化していたのはたった1本の竿、ステファーノリミテッドM175。
「納得の一枚」に出会うためには、どんなシチュエーションにも対応できる「究極の汎用性」が最高の相棒になるということだ。
【ゲストからタナを推理する】
【仕掛けの動くスピードを変える】
【穂先の動きの「キレが良い」とは?】
タックルの作法
究極の汎用性がカワハギ釣りの幅と楽しみを広げてくれる。
食の作法
カワハギの昆布締め
〜旨みをギュッと閉じ込める〜
【取材協力】三浦半島久比里・巳之助丸
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