2024/06/18
コラム
相模湾のタチウオ〜相模湾平塚港出船〜
十数年、あるいはそれより前から相模川河口沖でタチウオが釣れることは珍しくなかった。ただ、水深200mの深場まで狙い、冬から春にかけて数カ月間にわたり好釣果が続き、江ノ島から真鶴までの乗合船が集結し船団ができることは、今までなかった。
INDEX
富所潤さんが訪れた平塚港・庄三郎丸では1月より出船、相模川河口から徐々にポイントを西に移しつつ、4月上旬の時点では国府津(こうづ)沖を狙っていた。そして雨とシケが続いて潮が濁ると、これまで水深200m前後に出ていた反応が160~100mへと上がり、広範囲へ広がり始めていた。
「いきなりきましたよ」
指示ダナ120~100mでの1投目。サーベルマスターリミテッド91HH170で省エネバイブレーションを始めてすぐ、富所さんが掛け、富士山をバックにリーダーを手に抜き上げる。
続く2投目。タナまで沈めてシャクり始めるとイワシを背負ったサーベルマスター船テンヤ60号と増しオモリ20号の重さが不意に失われる。即座にフォースマスター600のタッチドライブを強く押してフッキングモードを発動、巻きアワセを入れてしっかり掛ける。
「ものすごくタチウオがやる気で、しかも素直です。これは大きく誘いすぎるとリーダーを切られますよ」
テンヤをタナまで沈めたらラインを緩めぬよう、テンヤを下げぬように上へと誘う。
「タチウオを釣りにきているのに、タチウオから逃げるように誘うのもおかしな話ですが、こうしないと怖いぐらいの喰い気なんです」と、富所さん。
実際、後藤久船長に聞くとその通りだそうで、仕掛けを問わず、フワフワと誘っているとタチウオにラインを切られることが多いという。
なんとぜいたくな話か。
このままアタリ続けたらどうしようかと思うとアタリが減るあたりは所変われどタチウオらしいところ。9時を過ぎると徐々にアタリが減り、10時ごろから船長は船団を離れて水深100mに出ている反応を狙い、昼前に再び水深150mの船団へ船を戻す。
この間、船上でコンスタントに掛けていたのはテンヤの富所さんと、テンビン仕掛けのベテランだった。アタっても空振りしたり、喰いが浅くバレてしまうことが増えたことも含め、明らかに釣り人のテクニックがアタリの数に反映していた。
「朝の反応の良さは2020年の東京湾のようで、だれでも楽しめるものでした。昼にかけて難しくなりましたが、これは慣れない人でもチャレンジして攻略できる、いわば素直な渋さ。今の相模湾は、タチウオ釣りの面白さを存分に味わえますね」
初夏以降、相模湾のタチウオは終息するのか、それとも水深を浅くしつつ釣れ続くのか。
2024年が相模湾タチウオ元年と呼ばれるか否かは、今後の展開にかかっている。
FISHING TACKLE
【取材協力】相模湾平塚港・庄三郎丸
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