2024/05/16
コラム
外房大原港出船のイサキ。鈴木新太郎直伝イサキ釣りの作法。
![外房大原港出船のイサキ。鈴木新太郎直伝イサキ釣りの作法。 外房大原港出船のイサキ。鈴木新太郎直伝イサキ釣りの作法。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/MV.jpg)
「毎回、必ず載せるべきだと思うほど、釣り座のセッティングは大切です」
イサキ釣りで鈴木新太郎さんが最も強調するのが釣り座の配置。この配置を理解・実践できていないとイサキ釣りでことあるごとにつまずくという。
シャクリの作法
「シャクリ」はただのコマセまきにあらず。誘い、間、タイミングなどが集約されている。
「たかがコマセ、されどコマセです」
イサキ釣りの名手としても知られる鈴木さんは、どれだけ経験を積んでも「基本と作業」をないがしろにしない。
その土台となるのが釣り座であり、最も大切な作業が「シャクリ」だ。
アドバイザーとして日々イサキ船に乗っている鈴木さんは、イサキが思うように釣れない人と、そんな人がどうすれば釣れるようになるかを何百、何千例と目にしている。
![【大前提の作法・釣り座のセッティング】 【大前提の作法・釣り座のセッティング】](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/01.jpg)
【大前提の作法・釣り座のセッティング】
風上(船首側)に竿とロッドキーパー、風下(船尾側)にコマセ桶。これは右舷、左舷、右利き、左利きで変わることはない。探見丸は最も風上に。
※写真は目の前に岸壁があるため竿をロッドキーパーに立てかけています。通常はロッドキーパーに竿を固定します。
![大原イサキはカラーバリの空バリ仕掛けが主流。ハリス1.5号で40cm級まで上げる。 大原イサキはカラーバリの空バリ仕掛けが主流。ハリス1.5号で40cm級まで上げる。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/02.jpg)
大原イサキはカラーバリの空バリ仕掛けが主流。ハリス1.5号で40cm級まで上げる。
![2点掛け、3点掛けなどのステップアップも、釣り座のセッティングができていればこそ。 2点掛け、3点掛けなどのステップアップも、釣り座のセッティングができていればこそ。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/03.jpg)
2点掛け、3点掛けなどのステップアップも、釣り座のセッティングができていればこそ。
![イサキ釣りは午前のみ。梅雨から夏の大原沖はナギの日が多い。 イサキ釣りは午前のみ。梅雨から夏の大原沖はナギの日が多い。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/04.jpg)
イサキ釣りは午前のみ。梅雨から夏の大原沖はナギの日が多い。
「コマセカゴを調整して、仕掛けを投入して、指示ダナを守ってコマセを振る。それでも釣れない人は、シャクリがブレていることが多いんです」
その「ブレ」の原因として多く見られるのが、竿尻を脇挟みにして力んでシャクっていること。そんな人には、竿尻を肘に当てるように構えてシャクるようにアドバイスすると、目に見えて改善するそうだ。
力みなくブレないシャクリができたら、ここからはイサキとの駆け引き。
まず50cm幅でシャクって、喰わせる間、つまり止めを5秒として、指示ダナを探ってみる。
海中をイメージすると、アミコマセが流れ出た先に、アミそっくりなカラーバリ仕掛けがフワフワと漂い、イサキが近寄って捕食する。
これでアタリがなければ、止めを7秒、10秒と長くしたり、潮が速いと判断したら、コマセを多くまくとイサキが仕掛けから遠ざかってしまうため、コマセを少なく小刻みに出すべくシャクリの幅を30cmなど狭くしてみる。
シャクリはコマセを出す動作であると同時に、仕掛けを動かす、あるいは止める誘いでもあるから、コマセの出る量は最小限でいい。釣れないからとコマセを多くまくのは逆効果になる。
イサキ釣りでは、これら自分が「シャクリ」で描いたイメージを、どこまで海の中と一致させられるかがカギであり、面白さだと鈴木さんは語る。
「シャクリのテンポを工夫してアタリを出させる面白さは、やればやるほど魅了されます。単なる数釣りでなく、自分の描いたリズムで釣ることを楽しんでほしいと思います」
そしてイサキを掛けて取り込み、再投入する際に最も大きく影響するのが釣り座のセッティング、ということになる。
朝一番、釣り座に着いたときに道具をどう配置するか。鈴木新太郎流・イサキ釣りの作法は、出船前に帰結する。
![指示ダナ下限では速いピッチでシャクって小~中型に喰わせず、タナの上限へエサを追わせて大型の確率を高める。その説明どおりに釣り上げた大型イサキ。 指示ダナ下限では速いピッチでシャクって小~中型に喰わせず、タナの上限へエサを追わせて大型の確率を高める。その説明どおりに釣り上げた大型イサキ。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/05.jpg)
指示ダナ下限では速いピッチでシャクって小~中型に喰わせず、タナの上限へエサを追わせて大型の確率を高める。その説明どおりに釣り上げた大型イサキ。
【シャクリで竿先がブレる原因は構えにあり】
![イサキ釣りで釣れない人は脇挟みでシャクっていることが多い。 イサキ釣りで釣れない人は脇挟みでシャクっていることが多い。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/06.jpg)
イサキ釣りで釣れない人は脇挟みでシャクっていることが多い。
![脇挟みは力を入れやすい反面、竿の可動域が狭いため竿を跳ね上げがちになり、コマセが不規則に出て喰わせたいタイミングで仕掛けが安定しないことが多い。 脇挟みは力を入れやすい反面、竿の可動域が狭いため竿を跳ね上げがちになり、コマセが不規則に出て喰わせたいタイミングで仕掛けが安定しないことが多い。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/07.jpg)
脇挟みは力を入れやすい反面、竿の可動域が狭いため竿を跳ね上げがちになり、コマセが不規則に出て喰わせたいタイミングで仕掛けが安定しないことが多い。
【シャクリの基本】
![竿先を海面に向けた状態で静止させ 竿先を海面に向けた状態で静止させ](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/08.jpg)
竿先を海面に向けた状態で静止させ
![水平でピタリと止める。コマセカゴが50cmほど動くイメージが基本。 水平でピタリと止める。コマセカゴが50cmほど動くイメージが基本。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/09.jpg)
水平でピタリと止める。コマセカゴが50cmほど動くイメージが基本。
【シャクリで竿先がブレないためには?】
![竿尻を肘に当てるように構えてシャくると、自然に竿の無駄な動きを止めようとするため穂先が安定する。 竿尻を肘に当てるように構えてシャくると、自然に竿の無駄な動きを止めようとするため穂先が安定する。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/10.jpg)
竿尻を肘に当てるように構えてシャくると、自然に竿の無駄な動きを止めようとするため穂先が安定する。
【コマセはいつ出ているのか?】
![下窓を全閉にしているため、上に動くときはコマセは出ない 下窓を全閉にしているため、上に動くときはコマセは出ない](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/11.jpg)
下窓を全閉にしているため、上に動くときはコマセは出ない
![シャクリ上げた直後など、下に動くときに上窓から出る。竿が大きくブレるほど、コマセは不規則に出てしまう。 シャクリ上げた直後など、下に動くときに上窓から出る。竿が大きくブレるほど、コマセは不規則に出てしまう。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/12.jpg)
シャクリ上げた直後など、下に動くときに上窓から出る。竿が大きくブレるほど、コマセは不規則に出てしまう。
![1シャクリでアミ10匹、パラリと出すイメージ。下窓全閉、上窓1/3~1/5開けで、タナを2回探って上げたときに残ってくるぐらいが目安。 1シャクリでアミ10匹、パラリと出すイメージ。下窓全閉、上窓1/3~1/5開けで、タナを2回探って上げたときに残ってくるぐらいが目安。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/13.jpg)
1シャクリでアミ10匹、パラリと出すイメージ。下窓全閉、上窓1/3~1/5開けで、タナを2回探って上げたときに残ってくるぐらいが目安。
![大型を釣ったときの指示ダナは13~10m。鈴木さんは10mで喰わせていた。 大型を釣ったときの指示ダナは13~10m。鈴木さんは10mで喰わせていた。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/14.jpg)
大型を釣ったときの指示ダナは13~10m。鈴木さんは10mで喰わせていた。
【鈴木新太郎のタッチドライブ活用術】
![ほぼ手巻きとなるイサキ釣りでは中間速設定はファイト速を[12]に設定、さそい速とスピードロックを[OFF]として使用する。さそい速から巻きアワセを可能にするフッキングモードは使用しない。 ほぼ手巻きとなるイサキ釣りでは中間速設定はファイト速を[12]に設定、さそい速とスピードロックを[OFF]として使用する。さそい速から巻きアワセを可能にするフッキングモードは使用しない。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/15.jpg)
ほぼ手巻きとなるイサキ釣りでは中間速設定はファイト速を[12]に設定、さそい速とスピードロックを[OFF]として使用する。さそい速から巻きアワセを可能にするフッキングモードは使用しない。
タックルの作法
自分のイメージどおりに仕掛けを動かせる道具を。
![【エキサイトゲームCI4+73MH190】 【エキサイトゲームCI4+73MH190】](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/16.jpg)
【エキサイトゲームCI4+73MH190】
非常に細身でありながらシャクリやヤリトリでブレることなく、しなやかに曲がり込むカーボンフルソリッド仕様のゲームロッド。釣って楽しく、見て美しい竿。
![【フォースマスター600】 【フォースマスター600】](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/17.jpg)
【フォースマスター600】
「イサキ釣りはシャクリの幅や喰わせる間、つまりテンポを探っていくと、どんどん面白さが増していきます。そのときに大切なのが、竿にせよ、リールにせよ自分のイメージどおりに仕掛けを動かすことができる道具。フォースマスター600は電動リールでありながらイサキのような浅海の釣りにも手巻きで使いやすく、他魚種でも幅広く使える機能を満載しているので1台で釣りの幅が広がります。」(鈴木進太郎)
![【手巻きハイギア化&最大ドラグ力アップ】 【手巻きハイギア化&最大ドラグ力アップ】](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/18.jpg)
【手巻きハイギア化&最大ドラグ力アップ】
ハンドル1回転あたりの巻き上げ距離はコマセワークに影響する。ハイギア化されたフォースマスター600の巻き上げ距離は67cmで手巻きリールとほぼ同じ。シャクリのリズムに違和感がない。
![【NEWフォールレバー】 【NEWフォールレバー】](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/19.jpg)
【NEWフォールレバー】
落し込みのスピードを調整するフォールレバーはイサキ釣りでも活用できる。レバーを軽く締めておくと投入時のバックラッシュを簡単に防止、しかもハンドルの巻きごこちに影響がないため快適。
![【探見丸スクリーン】 【探見丸スクリーン】](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/20.jpg)
【探見丸スクリーン】
探見丸搭載船であれば探見丸の情報を手元に映し出せる。水深やコマセカゴの位置のほか、イサキ釣りでは反応が海底から浮いている様子がハッキリ分かる。※探見丸搭載船で使用可能。
![探見丸搭載船であれば探見丸の情報を手元に映し出せる。水深やコマセカゴの位置のほか、イサキ釣りでは反応が海底から浮いている様子がハッキリ分かる。※探見丸搭載船で使用可能。 探見丸搭載船であれば探見丸の情報を手元に映し出せる。水深やコマセカゴの位置のほか、イサキ釣りでは反応が海底から浮いている様子がハッキリ分かる。※探見丸搭載船で使用可能。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/21.jpg)
食の作法
イサキのお造り
~刺身と炙り刺しの食べ比べ~
![自家栽培の大葉にショウガじょう油でいただくのが新太郎流。ショウガ、合います! 自家栽培の大葉にショウガじょう油でいただくのが新太郎流。ショウガ、合います!](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/22.jpg)
自家栽培の大葉にショウガじょう油でいただくのが新太郎流。ショウガ、合います!
![1, まずは基本の三枚おろし。 1, まずは基本の三枚おろし。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/23.jpg)
1, まずは基本の三枚おろし。
![2, 片身は皮を引いてそぎ切り。尾の近くはざっくりと平切りで食感を出す。 2, 片身は皮を引いてそぎ切り。尾の近くはざっくりと平切りで食感を出す。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/24.jpg)
2, 片身は皮を引いてそぎ切り。尾の近くはざっくりと平切りで食感を出す。
![3, もう一方の身は皮付きのまま、やや厚めにそぎ切りして 3, もう一方の身は皮付きのまま、やや厚めにそぎ切りして](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/25.jpg)
3, もう一方の身は皮付きのまま、やや厚めにそぎ切りして
![4, バットの上に乗せてガスバーナーで皮目を炙る。 4, バットの上に乗せてガスバーナーで皮目を炙る。](/ja-JP/content/fishingstyle/article/saho/240516/img/26.jpg)
4, バットの上に乗せてガスバーナーで皮目を炙る。
【取材協力】外房大原港・つる丸
関連記事
RELATED COLUMN