2020/09/25
コラム
本気度120% 百合野崇のGOTOロクマル 長崎県五島市玉之浦湾「仏崎」「弁天島」
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梅雨が明けたその日、シマノ磯フィールドテスターの百合野崇さんは博多から午後11時45分発の野母商船フェリー太古に乗り込み五島列島の福江港へ向かった。目的地は福江の南西部に位置する玉之浦湾だ。古くから名だたる名手が魅了され語り継がれてきた巨チヌの聖地。
見えチヌに期待が高まる
もちろん百合野さんにとっても憧れの場所であり、本気でぶつかるフィールドだ。
その証としてロッドケースにはリンカイ アートレータ、極翔硬調黒鯛とパワー勝負では負けない竿が準備万端。
稀代のチヌ釣り師を受け入れる福江の海も序盤から桁外れの魚影の濃さで圧倒してきたのだった。まず出港地の荒川港で百合野さんが目撃したのは、係留されている船の影から55cmクラスのチヌがウヨウヨ出てきて岸壁に自生している貝を無心に喰っている姿。こんな状況を目の当たりにすれば磯ならどれだけのチヌがいるのだろうかと陶酔してしまうのは無理もない。名前のついている瀬は過去にロクマルが釣れた実績があるというからさらに期待感が膨らむ。
一方、都丸の藤田船長は、「実際チヌはどこにでもいるんです。悪食で何でも喰います。しかし、いざ喰わせるとなると気まぐれだから狙って釣るのは難しい魚だと思いますよ」と慎重だった。
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玉之浦湾の瀬渡しは荒川港出船の都丸。荒川までは福江港ターミナルから車で約40分の距離にある。
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初めて見る玉之浦湾の景色に、いよいよその時が来たかと気合いが入る。
いきなりの洗礼
外気温35℃、水温25℃と過酷な条件は覚悟のうえで、仏崎に上がった。ここは潮通しの良い場所で沖に潮目がある。その潮がぶつかるポイントにマキエを打ち込む。濁り重視のマキエの煙幕が潮の流れを知る手掛かりとなった。
見渡す限り障害物はないのでリンカイ アートレータ1号を取り出し仕掛けを組んだ。一発があるだけに当然、太仕掛けだ。ハリスは2・5号まで準備していた。リンカイ アートレータは百合野さんがいつも使う竿で張りのある強さと柔軟な調子により、魚を沖で浮かせることができ、手前のシモリや藻の回避も楽。難所と呼ばれる場所でもスピーディに取り込むことができるから初めて竿を出す場所もオールラウンドに対応できる。
まずはセオリー通り、ノーガンでゆっくりとツケエを入れ込んでいく。魚の様子を見るために比較的長く流すと、アタってきたのはハマフエフキ。口笛を吹いているような愛くるしい顔に癒される。
しかし、ほっこりしたのは初めだけで、一投一尾でアタってくる状況に苦笑い。首をかしげながら、弁天島へ瀬替わりすることにした。
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60cm以上のチヌ、いわゆるロクマルを獲るにはそれ相応のラインが必要となる。PEラインはLIMITED PRO PE G5+ サスペンド イエロー 1号を巻いた。
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ハリスは状況に応じてファイアブラッド EX フロロ ハードタイドの1.7〜2.5号を使い分ける。
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リンカイ アートレータはチヌ釣り師の全幅の信頼に応える最高峰ロッドの称号。コアブランクス、ナノピッチ、タフテック∞、Xシートなど先進の機能を凝縮した。
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初めて竿を出す仏崎では沖の潮目を狙った。どこに沈み瀬があるか、カケアガリの場所はどこかなどが分からない場合でも、何かしらのヒントを手掛かりに次の展開を考えるのが百合野流。
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ロクマルの期待とは裏腹にハマフエフキが掛かってくる。
高速スルスル釣法で難局を切り拓く
次に弁天島の西側に釣り座を構えた。少し仕掛けを投げると水深18mほどで潮通しのよい場所だ。湾内らしくフラつく潮に高速スルスル釣法で挑む。この仕掛けの特徴は00浮力のウキを使うということに加え、サルカンのすぐ下のハリスにG3のガン玉を2つ付けることで二枚潮を素早く突破させることができる。その結果表層の影響を受けにくくなる。ガン玉の重量で仕掛けが安定するのでラインを張りやすく、マキエと同調する時間が長い点もメリットになる。
潮は上げの時間帯で、水量が増してくるタイミングともマッチした。辛抱強く打ち返していくとハマフエフキの姿が消えてくれた。ここで突如得体の知れない強烈なアタリに見舞われてしまう。おそらく夕まづめに回遊し始めたマダイだろう。いよいよ、何かが動き出した。
さて、一日中苦しめられたハマフエフキの猛攻が収まり、次に小ダイが喰ってきた。この展開はチヌが近くにいるはずだと、百合野さんの経験値が物をいう。
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夕まづめに差し掛かった頃、状況に変化が訪れた。何の前触れもなくロッドが締め込まれ、これを機にチヌの気配を感じ取る。
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ようやく1尾目を手にすることができた。この集中力はトーナメントで鍛錬されたものだといっていいだろう。
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チヌの顔が見られたことで、安堵とさらなる期待感に歓びを隠せない。
玉之浦湾の胸を借りるつもりで
次こそは本命のアタリのはずとラインを張って待つ。するとコツっと穂先にアタリ。ハマフエフキに似ているが、それよりもさらに慎重なアタリ方だ。竿先を少し持ち上げPEラインの動きを分かりやすくするなりジワーっとラインが張っていく。これは間違いないだろうとアワセを決めた。
48cmのチヌだったが、「いつもと感覚が違うなあ」と納得がいかない。
もう1尾追加したものの理想と現実のギャップにしっくりこない。いつもなら、4〜5尾釣れていてもおかしくはないのだ。釣り人が良い条件だと思っていてもチヌにとってはそうではないことがあるのだろう。玉之浦湾の胸を借りるつもりで、本気でぶつかっていく。
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次の1尾に勝負を賭ける。オープンベイルにしてPEラインの動きを注視。
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ラインが直線になりXガイドの穂先を少し持ち上げる。このアタリ、この瞬間を見逃さずにアワセを決めた。
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釣られていることに気づいてないのか、すんなり浮いてきた。と、思いきや急反転して抵抗する。これは油断できないぞ。
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釣り方は間違っていないようだ。それならば、まだまだこんなもんじゃないはずだ。
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