2025/05/15
コラム

クロダイ釣りの名手・山本太郎さんの原点、若狭本郷の筏でNEWセイハコウ フィラートを曲げ愉しむ

チヌ太郎の異名を持つほどチヌ(クロダイ)釣りを極めた山本太郎さん。その山本さんが、前作よりも進化し、価格もリーズナブルになったセイハコウ・フィラートで実釣。使いやすさと操る楽しさを両立したこのモデルについて語りつつ、試行錯誤を重ねながら若狭本郷の筏釣りでクロダイを釣っていく。
開眼の地、若狭本郷に訪れる
2024年の11月下旬。山本さんが訪れたのは福井県・おおい町の若狭本郷。山本さんが19歳から通い、かかり釣り(筏釣り)を習得した場所である。ここでは晩秋にクロダイの20~30cm、カイズクラスの数釣りが楽しめる。この時期、エサはシラサエビを使うことが多い。ただ山本さんは今回、少しでも型の良いクロダイを求めてシラサエビだけでなく、オキアミ、サナギ、コーン、アケミ貝も用意して釣りに挑んだ。 若狭本郷のポイントは、一番手前から青柳、森ノ鼻、大浦となる。大浦よりも先は大島の筏エリアだ。今回は大浦の筏の一番後ろの列で釣る。水深は10m強。春先から初夏にかけて良型が回ってくる場所だ。 最初に山本さんはモーニング狙いを意識してタックルをチョイス。手にしたタックルは、モーニング狙いを意図したものであった。
【使用タックル】
ロッド:セイハコウ フィラート160 穂先F-2
リール:セイハコウ リミテッドRC83 LEFT
ライン:フロロカーボン2号
ハリ:チヌ4号

クロダイを愛し、クロダイに愛された釣り人、山本太郎さん。豊富な経験と実績による言葉には重みがある。

山本さんが50年以上も通う若狭本郷。今回は大浦の筏の水深がある沖側を選んだ。

最初に手にしたロッドはセイハコウ フィラート160 穂先F-2。
操作性が高く、使って楽しい新しいセイハコウ フィラート
今回、山本さんが使っているロッドは、新しくなったセイハコウ・フィラート。このロッドの特徴は、快適な操作性に加えて、ロッドの美しい曲がりによって趣を追求した点である。中・小型のクロダイとのやり取りでも、しっかりと曲がって楽しめる。それでいて大きなクロダイが掛かったときには、スパイラルXコアのブランクスにより、いざというところで踏ん張りが効く。これから、かかり釣りを始めたいと思っている人、もう一本竿が欲しいという人にオススメな中価格帯のロッドだという。 セイハコウ・フィラートの大きな特徴は、胴調子でありながら、操作性が高いこと。バット部から曲がり込み、美しい弧を描くロッドは視覚的にも楽しませてくれる。ターゲットとしているクロダイのサイズは30~40cmという中型クラス。しかし、ブランクスにネジレ強度、反発力に優れたスパイラルXコアを採用していることで、不意な大物にも対応できる。実際にテストの際には50cmオーバーの大型もキャッチしている。 長さは160、150の2アイテムで、カカリ釣りでの基本的なレングス設定になっている。 「手持ちの釣り、数狙いの釣りがメインの人には150、ラインの湾曲を大きく使って置き竿にするロングインターバルの釣りや深いところで宙切りを多用するなら160がオススメです」(山本さん)

ガイドはXガイド3Dチタンを搭載。ブランクスの曲がりに対してガイド部分の干渉が極めて少ない。

Vホールドパワーグリップは、サイドカット形状でエラストマー素材を使用。防臭性が高く、滑りにくく、ファイト時にもしっかりホールドできるデザインだ。

穂先2本が標準装備。F-1はやや先調子でオールラウンドに使え、F-2は柔らかく追従性が高い穂先だ。
殺気を消したモーニングが的中
早朝はモーニングと呼ばれる釣り方で攻める。モーニングとは、前日に入った釣り人のマキエを捕食するために徘徊しているクロダイを、ダンゴを使わずにサシエサだけで攻める釣り方だ(軽いオモリを付けるときもある)。 山本さんが最初に選んだエサはオキアミ。 風の影響で上潮が滑っている状況に対応するためG1のオモリを一個付ける。オモリとハリの距離は約40cmだ。 エサを着底した状態で、G1のオモリだけを底から浮かせ、そのテンションを穂先に乗せてアタリを待つ。 アタリが出ない時間が続き、ここで山本さんは「殺気が伝わる」という理由でロッドを手持ちから置き竿に変えた。 釣り方を変えて待望のヒット!やり取りの末に浮かんできたのはコンディションのいいクロダイだ。モーニングの戦略が的中した結果といえるだろう。

前日に使われていることを予想し、モーニングに選んだエサはオキアミ。

上潮の滑りに対応するためG1のオモリを使用。

エサ取りが多かったので、アケミ貝を試してみる。

手持ちだと殺気が伝わる、という理由から置き竿にする。この狙いが奏功する。

モーニングで良型のクロダイをキャッチ。狙い通りの結果といえるだろう。
釣りをしつつ、夕方に備えてのマキエサを撒く
モーニングが終了すると、ダンゴ釣りでクロダイをしっかり寄せて釣っていく。エサはオキアミだ。
この釣りで山本さんが使ったタックルは下記の通り。
【使用タックル】
ロッド:セイハコウ フィラート150 穂先F-1
リール:セイハコウ リミテッドRC83 LEFT
ライン:フロロカーボン1.5号
ハリ:チヌ3号
マキエサには潰したアケミ貝を使用。アケミ貝の丸貝を食べる大型のクロダイを狙いのマキエサである。
なぜアケミ貝の丸貝なのか?エサ取り対策のツケエサは、サナギ、コーンがポピュラーである。アケミ貝が良型のクロダイに狙いを絞るツケエサであると言えるのに対して、サナギやコーンは幅広いサイズのクロダイからのアタリを得られるからだ。しかし、おそらく温暖化の影響による海水温の上昇にともなって、本来南方に生息しているエサ取りが増えてきたことで、サナギやコーンだけでは対応できなくなってきたと山本さんは言う。ときにはサナギを五つ刺しても一瞬でエサ取りに喰われるということもあるそうだ。
山本さんは時合を待ちつつ、まず25、6cmのカイズサイズを釣り、42、3cmのクロダイを追加。マキエサを追加しながら時合を待った。

かかり釣りの魅力は、繊細な穂先でエサ取りのアタリ、前アタリ、本アタリを見分けること。すべて穂先で読み取っていくことだという。

アケミ貝を割ってマキエサにしただけでなく、サナギ、コーンも使った。

午前中は喰いの悪い時間が続いたが、良型をキャッチ。
夕方の時合は宙切りで積極的に攻める
夕マズメのチャンスタイムには、中層でダンゴを割って落し込む宙切りで43cmの良型を追加。
ダンゴは宙切りをするために割れやすい硬さで握る。通常、底までダンゴを持たせるためには13、4回握るが、これを5回ぐらいにすることで割れやすいダンゴを作る。
釣り方は中層でダンゴが割れたらラインにテンションを保ちながら、チョイ出しクラッチを使ってスプールから少しずつラインを出していく。
だが、アタリがあっても乗らない。山本さんはエサをオキアミからボケに変更。すぐにカイズサイズがヒット。次にサイズアップを狙うため、撒いておいたアケミ貝の効果を期待して、やや大き目のアケミ貝の丸貝を落し込んだ。
そして殺気消しのため置き竿にして待つとヒット。掛かったのは狙い通りの良型だった。
新しいセイハコウフィラートについて山本さんは語る。
「スローテーパーなので竿がよく曲がって楽しい。性能、デザインが進化したにもかかわらず、価格は前作を下回る。ターゲットはあくまでも30~40cmクラスの中型のクロダイですが、時折ヒットする大型のクロダイの引きにも安心して対応できますね。」
そう語って、今回の釣行を締めくくってくれた。

握る回数を減らし、中層で割れるようにしたダンゴ。

アタリを出すため、チョイ出しクラッチを使って攻める

オキアミを使ってアタリがあっても乗らなかったのでボケにチェンジ。するとすぐにカイズクラスがヒット。

夕方の時合、昼のうちに撒いていたアケミ貝に寄ってきたところを、アケミ貝の丸貝をサシエサにして良型を手にした。
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