2025/08/12
コラム
多様なルアーをイメージ通り操り狙え。夏の東京湾のクロダイゲームで川上靖雄が新しい「ブレニアスXR」を使いこなす。
新しく登場する「ブレニアスXR」には個性の強いラインナップが展開されており、今回は「Urban beam」と名付けられたショア専用モデルを使った実釣の様子を紹介したい。アングラーはフィールドモニターの川上靖雄。厳しい残暑の影響が残る東京湾で、どのようにしてこのロッドを使いこなしていくのだろうか。
INDEX
人気が高まる東京湾のクロダイゲーム。実釣は真夏の暑さ厳しい季節に行われた。
東京湾で楽しむショアの釣りといえば、シーバスをイメージする方も多いだろう。しかし、それに迫る勢いで人気を博しているのがクロダイだ。近年、東京湾ではクロダイの個体数が増加傾向にあり、専門で狙って楽しむアングラーも増えている。
シーバスとはまた違った繊細さを求められる高いゲーム性に強烈な引きが魅力のクロダイ。今、ブームとなりつつある東京湾のクロダイゲームにはぜひ注目していただきたい。
今回、川上さんが実釣したのは2024年の9月8日。まだまだ残暑が厳しい時期で、汗が滴るような気温の中での実釣となった。そんな影響を受けて川上さんは「水温が高すぎるせいか、ルアーへの反応が悪いように感じます。どうやって貴重なバイトを引き出していくか考えて実釣していきたいですね」とのことで、まずは東京湾の湾奥河川の河口エリアで実釣することとなった。
年々人気の高まる東京湾のクロダイゲーム。今回は夏の時期に実釣ロケを行った。
台風通過後の川の影響を確かめる川上さん。上からクロダイの姿も見られてこの後の展開に期待が高まった。
台風が通過した後の影響はいかに。アタリはあるもののショートバイトに苦戦。
こうして明るい時間帯にポイントを下見していく川上さん。そうするのも、このエリアでは1週間前に台風が通過したため、その影響を確かめていた。水の濁り具合や漂流物の有無を確認していくと、時折クロダイの姿も見られて影響は小さくさほど気にならない様子。しだいに狙いも絞れていき、やがて干潮前後のタイミングで実釣を開始していくこととなった。
この日の川上さんは、クロー系のワームをフリーリグで狙ってボトムを中心に攻略していく。使っているロッドは「ブレニアスXR S810ML/M」で長さを活かした遠投性能が魅力のモデルだ。「これで沖にあるブレイクや潮目のポイントを重点的に狙います」とのことで、キャストを繰り返していると小さいながらもアタリをとらえた。
しかしこれはフックアップに至らずその後もショートバイトが頻発するような展開に。こうして潮のタイミングが上げに変わった時にポイントを移動し、引き続きワームでボトムを中心に探っていると、コツコツというアタリが手元に届いた。
川上さんは落ち着いてルアーを送り込み一呼吸おいて鋭くフッキングを決めた「ヒット!ようやく乗りました」と少し気持ちを落ち着かせる川上さん。キャッチしたのはグッドサイズのキチヌだった。「ショートバイトに悩みましたが、ようやく1匹キャッチできました。遠かったけど嬉しいですね」とのことで、こうしてさらなる釣果を求めて次回の実釣に備えることとなった。
期待に反してショートバイトが頻発するなかで待望のヒット。遠投した先でもロッドがしっかりとフッキングパワーを伝達してくれる。
1匹までが長かったと川上さん。ボトムを丁寧に探って見事にキチヌをキャッチしてみせた。
ショア専用モデルともいえるロングレングスが魅力。繊細さとパワーを兼ね備えた設計の重要性。
ここで、川上さんが使用した「ブレニアスXR S810ML/M」の特徴について触れておきたい。このロッドの最大の特徴は、なんといってもロングレングスであるということ。この長さは、ブレニアスシリーズの中でもこれまでなかった長さで、遠投性能を重視したいときには特に高い効果を発揮する。
またシーバスロッドにはこの長さのロッドも存在するが、こちらはクロダイ専用設計のモデルということで、ワームからプラグまで幅広い用途に対して1本で高次元に扱えるのが特徴だ。「シーバスはリトリーブの釣りが主体ですが、クロダイはボトムからトップまで軽いルアーを繊細に操る必要があります。そこが大きな違いで専用設計ならではですね」と川上さん。
牡蠣瀬を繊細に攻略するための感度や自重の軽いトップウォータープラグを丁寧に操るための操作性、そして強烈な引きに対応するためのバッドパワーを兼ね備えているのが、シーバスロッドとの大きな違いと言えるだろう。「もちろんシーバスロッドでも楽しめますが、専用ロッドの方がより高いゲーム性を味わえます」と川上さんが教えてくれた。
川上さんが使用したロッドは「ブレニアスXR S810ML/M Urban beam」というモデル。3ピース設計で持ち運びやすさにもこだわっている。
別日に千葉方面のエリアで実釣。今度はトップウォータープラグが中心の展開に。
日付が変わって今度は9月17日のこと。ボトムを攻略してキチヌをキャッチしてから約10日間がたったタイミングでの実釣だ。今度はプラグを使った釣りを中心に展開していきたいと川上さん。同じ東京湾でも千葉に面するエリアの流入河川をポイントに選んだ。
釣り場の状況は満潮で、今は潮位こそ高いものの、これから下げ潮が効いてしだいに潮位も下がっていくという状況だった。釣り場を観察していると、浅瀬でクロダイが数匹まとまって回遊している様子が見られる。
これを見て川上さんは「今日は大潮なので干満差が大きく流れも速いです、潮位が下がって魚のつき場が絞りやすくなるタイミングで狙っていきます」とのこと。その反面で「水深が浅くなってくると居場所が絞りやすいですが、クロダイへかかるプレッシャーも大きくなります。繊細なアプローチが重要です」と教えてくれた。
日付が変わって千葉に面するエリアで実釣。ここではトップウォータープラグを中心にクロダイを狙った。
牡蠣瀬に沿って回遊するクロダイを狙って繊細にルアーを操っていく。ルアーの操作性の高さもこのロッドの魅力のひとつだ。
届かなかったポイントへアプローチ。遠投した先でも硬い顎を貫くフッキングパワー。
そんな期待高まるポイントでは、ウェーディングをしながら狙う。ルアーは「ライズポップ 65F」を選択。ポイントでは下げ潮に川の流れも加わってルアーが速いスピードで下流へと流されていくので、アップクロスにキャストして流れを利用してドリフトさせながら、ポコッ。ポコッ、としっかりとポーズを入れながら、一定のリズムでポッピングさせて誘った。
さらに川上さんは「ここはボトムが牡蠣瀬にもなっています。これから潮位が下がるとはっきり見えてきますよ」とのことで、しだいに牡蠣瀬がはっきりと露出するようになるとクロダイの居場所も目視できるようになってきた。しかしそう簡単にヒットとはならず、思うように口を使ってくれないクロダイ。待望のバイトはあるものの、喰いが浅くて鈎掛かりしないことも多く、もどかしい時間が続いた。
そうこうしていると次第に潮位は下げ潮から上げ潮へ。先程まではっきりと見えていた牡蠣瀬もすっかりと水に浸かって潮位が高くなってきたタイミングだった。沖にあった牡蠣瀬のエッジを狙ってキャストを繰り返していた川上さん。
そしてクロダイの激しい捕食音が鳴り響いて一呼吸おいた後、バシッとフッキングが決まった。「よしヒット!遠くで喰いましたね!」と待望のクロダイとのファイトが始まる。ラインが牡蠣瀬に擦れて切れてしまわないよう「ブレニアスXR S810ML/M」のバッドパワーを活かしてグングン寄せてくる。こうして40cmクラスを無事にキャッチ。「ロッドの良さを存分に活かせた1匹でしたね」と技ありの1匹であった。
上げ潮に変わったタイミングで牡蠣瀬を狙うとクロダイがポッパーにバイト。すかさず鋭いフッキングを決める川上さん。
激しいファイトで楽しませてくれたのは良型のクロダイ。遠投性能を活かしてヒットにつなげた見事な1匹であった。
中規模河川でもロッドの性能を確かめる。バイブレーションで繊細に牡蠣瀬を攻略。
そして今度は、翌日の9月18日。朝マズメにエントリーしたのは、東京湾の旧江戸川エリアだ。今立っているところは、アウトサイドベンドで流れの影響で深くえぐれているポイント。さらに底には牡蠣瀬があって、干潮時には露出してよく見える場所であるという。「今度はバイブレーションで狙っていきましょう」と川上さん。取り出したのは「エクスセンス サルベージ70ES」でただ巻きを主体に水中に沈んでいる牡蠣瀬を攻略していくとのことだった。
そこで川上さんが意識したのは、水中の牡蠣瀬のギリギリを狙うこと。ルアーが浅いところを引いてくるとバイトの可能性が極端に下がり、攻めすぎると根掛かりしてしまうというテクニカルな要素が求められる釣り方だ。「このロッドは感度もいいのでこうした繊細な使い方も得意です」と川上さん。「専用ロッドならではの特徴だと」教えてくれた。
そしてこうした場所を攻めるときに重要なのがリトリーブスピードだ。時折ボトムを叩くものの、根掛かりしないよう遅すぎず速すぎないスピードでリトリーブする。今使っているサルベージは、重さのラインナップが4種類と豊富です。水深や流れの速さに応じて65ESや85Sを使うなどして使い分けられるのがよいと川上さんが教えてくれた。
こうしてしばらくすると狙い通りにヒット。牡蠣瀬をトレースするために少し遠投してキャストした直後のバイトで、しっかりとアワセを決める川上さん。こうしてキャッチしたのは40cmクラス。流れも加わって強い引きで抵抗するクロダイを安心してキャッチできた。
日付が変わって今度は中規模河川でも実釣。ここではバイブレーションで牡蠣瀬に着くクロダイを攻略する。
バイブレーションの早巻きで狙い通りに喰わせた川上さん。すかさず浮かせてラインブレイクを防ぐ。
テクニックを駆使して釣り上げたクロダイに喜びもひとしお。様々なルアーが繊細に操れるのはチニング専用ロッドならではですと川上さん。
ロッドの性能をいかんなく発揮した実釣に。まだまだ奥が深いクロダイゲームの魅力。
結果としては、9月8日の台風が通過した後の実釣から始まり、そこではボトムを中心に狙って良型のキチヌをキャッチ。さらに9月17日にはトップウォーターでクロダイをキャッチし、9月18日にはバイブレーションでもクロダイをキャッチしてみせた。
「いろいろな釣り方があるのがチニングの面白いところです。ですが確立されていないパターンも多く、まだまだ深堀りできるところがあるのが魅力ですね」と川上さんが教えてくれた。
これからますますクロダイ釣りの魅力が高まる様子がうかがえるような実釣であった。確立されていない部分も多いというので、自分なりのパターンを探して身近な釣り場でクロダイを専門に狙って楽しんでみてはいかがだろうか。
リーダーは牡蠣瀬の周辺を狙うために16lbを選択していた。前日のトップウォーターの釣りでは操作性を重視して12lbを選択して使い分けていた。
チニングはまだまだ未開拓な部分も多いと川上さん。ぜひ本格的なチニングにチャレンジして自分なりの攻略法を探してみてほしい。
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