2020/05/22
コラム
四代目見参 百合野崇、巨チヌに真っ向勝負
霞んだ空と白煙で覆われその全貌を観ることが容易ではない桜島。
何か、ことが起きそうな雰囲気と裏腹に、錦江湾は波一つなく静かに釣り人を迎え入れてくれた。シマノクロダイフィールドテスター百合野崇さんは鹿児島県隼人港から第一亀丸の案内で弁天島へ渡礁。ここは錦江湾北部にいくつかある島の一つで、北西風の風裏にあたる。沖には養殖筏があり、岸からは遠浅が続き突如ドン深という起伏に富んだ地形をしていた。
NEW極翔硬調黒鯛見参
ちょうど潮目ができていたので分かりやすいポイントにまずマキエを10杯ほど打ち込みチヌを寄せる。ロッドは迷わずNEW極翔硬調黒鯛の1号5・3mを選んだ。
ロッドケースには06号も入っていたが、
「50cmオーバーのチヌやマダイが喰ってくる場所では1または1・5号です」
最近の傾向として磯でチヌ釣りをしていると80cmクラスのマダイが掛かることもある。グレ竿ならまだしもチヌ竿ではのされてしまう。
その点、極翔硬調黒鯛はパワーゲームを制するためバッドパワーを強化。肉厚なブランクスで重量が増したがグリップの位置を変え持ち重りを軽減しロッド全体に張りを持たせた。バランスの良いロッドに仕上がりラインの操作性の良さ、超遠投性など卓越した機能が際立つ。
錦江湾のロクマルに挑め!!
そんな極翔硬調黒鯛が活躍する場所、つまりロクマルと遭遇するチャンスのある釣り場として、長崎県五島の玉之浦湾や愛媛県の御荘湾、そして鹿児島県の錦江湾を挙げる百合野さん。初めての錦江湾を眺めホームグラウンドの九十九島とは違った雄大な景色に感慨深気だ。
喰ってくる大チヌに備えタックルバランスを考慮しPEラインは1号。
比較的浅い水深のためか、
「錦江湾のチヌはマキエに浮きやすくなるようです」と、高速スルスルを封印し、ノーガンでスローな沈下で底~宙層を狙う。
第一投目は仕掛けを投入しマキエを被せ、ラインを張るとすぐに反応が出た。
「えっもう!?」
上がってきたのは30cmクラスのメイタ。
1尾目はあっけなかったが、次の一投で錦江湾の洗礼を浴びることになる。
全体重をかけて突進を阻む
一投目から喰ってくることは多々ある。そのための先打ちマキエだ。
しかし、この後これまで培ってきたチヌ釣りの感覚を大きく覆す出来事が起こった。
マキエを打ち仕掛けを入れ、さらに追い打ちをすると、Xガイドが施された穂先を手招きするようにPEラインのカーブが沖へ向かう。ワンテンポ遅らせアワセを入れた。
次の瞬間、一気に胴まで曲げ込む猛烈な引き。釣り座から右前方には瀬がある。
地の利を知り尽くしたチヌはその瀬に一目散。そのパワーは半端なく糸鳴りすらも聞こえない。
「うぅー強い」という呻き声とともに全体重を掛けて竿を曲げて耐える。
ハマチでも掛かったかと思われたが弧を描いた竿は首を振るチヌ特有の振動を伝えている。
水深が浅いので深く突っ込むことはできないが横走りのスピードは速く、しかも重い。
チヌの力を吸収する竿の曲線は張りがあり反発力もある。右手でグリップエンドを支え粘り、耐え抜くと瀬ズレを回避できた。さすが、極翔硬調黒鯛である。幾多の記録更新を叩き出す孤高のパワーロッド。無事タモに収まったのは53cmのチヌだった。
タダモノではないパワー
すぐにオキアミを刺し同じポイントへ投入した。すると、すぐにラインが反応する。まるで行列のできるレストランのように順番待ちをしているかのようだ。
事実、アワセを遅らせた理由は、高感度のPEラインの振動を差し引いてのことだが、喉奥にハリが刺さっていた。
エサを口先で突いて用心しながら咥え込むというより、大きな口で丸呑みしていたのだろう。
ラインがピンと伸びた瞬間にアワセを入れる。早アワセでも乗った。
このチヌも右前方へ力強く走り出した。華麗な竿捌きというより思い切り仰け反り応戦。こんなパワフルな百合野さんはかつて見たことがない。右の瀬は回避できたが、方向を変え左方向へと猛烈に走り出したのだ。レコードクラスか、もしかすると青物か。固唾を飲んで竿を両手で押さえラインにテンションを掛け続けた。左前方は岸に近く浅いため抵抗虚しく沖で姿を現したのは、精悍な顔立ちの若いチヌだ。全長は57cmあったが体高がそれほどではなく、測ってみるまでは分からなかった。
「いやーここのチヌは強い」
一息つく間もなく百合野さんは第4投目で54cmを追加。歳無し3連発は腕をパンパンにさせた。
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