2023/03/24
コラム
食性に応じた最適なアプローチを。 干満差で付き場が変わる河川のクロダイを攻略する。
クロダイといえば、日本全国の幅広いエリアに生息する人気のターゲット。警戒心の強い魚である一方で、ルアーにも積極的に喰い付いてくることからゲーム性の高い釣りが楽しめるのが魅力だ。今回はそんなクロダイをブレニアスシリーズで嶋田仁正さんがテクニカルに攻略する様子をご紹介したい。
干満差のある河川。どのタイミングでポイントに入るか。
今回の舞台となるのは、秋の山口県岩国市の河川。盛夏を過ぎて水温が少しずつ下がり始め、クロダイにとっては深場を意識し始めるタイミングである。そうなると水深も浅くて気温の影響を受けやすい河川では狙いづらくなる印象であったが、タイミングを絞ることでヒット率を高められるとのことだ。「狙いやすいのは、下流側から魚が入ってくる潮の上げ始めと、ポイントが絞りやすくなる潮の下げ始めです」と嶋田さん。ポイントへはその時間帯を意識して狙い所を絞ることとなった。
エサに合わせてルアーを選ぶ。捕食しているレンジも見極めること。
ポイントに入るタイミングが決まったら、次はポイントの状況を分析しておきたい。そのポイントでエサとなっているのは、どんな生物なのか、さらには捕食している水深はどこなのか。細かいところまで釣りをしながら観察してみよう。特にクロダイは雑食性の魚であり、小魚や甲殻類はもちろん、エサ釣りをする人にとっては、人間も食べるコーンやスイカで釣れるというのは有名な話だ。この雑食性であるがゆえに、その時に何を食べているかが重要となる。1つの目安としては、小魚を追いかけている場合はミノーやバイブレーションなどのプラグ系で狙い、甲殻類を食べている場合はボトムを中心に攻められるクロー系のワームなどを使うと良い。仮に目の前にクロダイがいてもエサとルアーが合っていなければ、見向きもされないことがほとんどだ。
満潮から潮が下がるタイミングで。魚は深場に集まってきた。
これらを念頭においたうえで、実際の釣り場の状況をお伝えしよう。ポイントに入ったのは潮が下げ始めたタイミングで、これから水深が浅くなってくるタイミング。ベイトの状況はイナッコやサッパが泳いでおり、これらの魚がエサになることが予想された。「魚が深場に集まってきていますね。いい状況です」と嶋田さん。魚は水深が浅くなるにつれて深場へ集まっているようで、狙い所が絞りやすくなる。肝心なクロダイのヒットにも期待が膨らんだ。
目の前でボイルを発見。トップで水面を割るようなバイト。
ウェーダーを履いてラン&ガンを繰り返しながらめぼしいポイントを狙っていく。そして肝心なフィッシュイーターの反応が出たのは、岸沿いの底が掘れて少し深くなっているポイントで、壁際へ追い込むように捕食している様子だった。表層でボイルする様子も見られたことから、嶋田さんはルアーとして「ブレニアス ブリームペンシル 75F」を選択。水面を一定のリズムでドッグウォークしていると、スーッとクロダイ特有の背ビレが引波を立てるようなチェイスから、その魚はガツンとルアーを咥えて急激に反転した。「よし喰った!」。スリリングな展開に興奮したのもつかの間、横方向へ激しく走り回るクロダイ。ヒットに持ち込むための戦略性と、その後のやり取りの楽しさには他のターゲットとはまた違った楽しさと魅力が詰まっている。
クロダイの隠れた美しさ。ブリームゲームの魅力を再発見。
こうして無事にネットインしたクロダイ。夕日に照らされた魚体は、オレンジ色に輝きその縞模様も相まって独特な美しさを放っていた。このクロダイだが、魚体の縞模様やヒレなどをよく観察してみると、魚によって色の濃淡が違ったり、ヒレには複雑な色が入り混じっていたりと個体ごとに色や模様の個性が見て取れる。全国の幅広い場所で釣れる魚だからこそ、そういった1匹の特徴に注目してみるもの、またひとつの楽しみになるのではないだろうか。魚のことを理解して、そこに合わせて最適なアプローチでヒットにつなげていく。反応がわかりやすいがゆえに、この魚はルアーフィッシングの基本に立ち返らせてくれるターゲットであるのかもしれない。
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