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2025/06/04

コラム

メンテナンス

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オフショア用両軸リールの日常メンテナンス

波しぶきが舞うオフショアは、精密機械であるリールにとって非常に過酷な環境です。シマノのオフショア用両軸リールは、通常の使用では海水の浸入によって大きくパフォーマンスが損なわれることはありません。しかし、使用後にそのまま放置すると各部に付着した塩が結晶化し、可動部の固着、腐食といった不具合が生じる恐れがあります。
リール本来の性能をキープするためには、日頃から簡単なメンテナンスを行うことをおすすめします。メンテナンスといっても、ボディを分解するような大掛かりなものは必要ありません。日常的なメンテナンスではリールに付着した塩分と汚れを落とし、必要箇所にオイルやグリスを注油するだけで十分です。

オフショア用両軸リールの日常メンテナンス

手順① 事前準備

釣行後はなるべく早く真水で洗浄し、固着の原因となる塩分をしっかり落とすことが重要です。洗浄前には「塩分や汚れを落としやすくする」「各部への水の浸入を防ぐ」との意味合いで、いくつかの準備作業を行います。

1.リールをロッドから外す
まずはロッドからリールを外します。ロッドに装着したまま洗浄すると、リールフット周りに塩分や汚れが残りやすくなります。

まずはロッドからリールを外します。ロッドに装着したまま洗浄すると、リールフット周りに塩分や汚れが残りやすくなります。

2.ドラグを締める
ドラグを締めて内部に水が入らないようにします。ドラグは洗浄と脱水が終わるまで緩めないようにします。LD(レバードラグ)タイプは必ずストライクポジションにレバーを合わせてください(写真右)。
ドラグを締めて内部に水が入らないようにします。ドラグは洗浄と脱水が終わるまで緩めないようにします。LD(レバードラグ)タイプは必ずストライクポジションにレバーを合わせてください(写真右)。

ドラグを締めて内部に水が入らないようにします。ドラグは洗浄と脱水が終わるまで緩めないようにします。LD(レバードラグ)タイプは必ずストライクポジションにレバーを合わせてください(写真右)。

3.電池キャップの浮きがないか確認する(※カウンターリールの場合)
カウンターリールは電池収納部のキャップに浮きがなく、きちんと閉まっているかを確認します。キャップの開閉は付属のバッテリーキャップレンチにて行います(写真右)。
カウンターリールは電池収納部のキャップに浮きがなく、きちんと閉まっているかを確認します。キャップの開閉は付属のバッテリーキャップレンチにて行います(写真右)。

カウンターリールは電池収納部のキャップに浮きがなく、きちんと閉まっているかを確認します。キャップの開閉は付属のバッテリーキャップレンチにて行います(写真右)。

手順② 洗浄

準備作業が終わったら、シャワーなどの流水でリール本体に付着した塩分や汚れを洗い流します。特に海水を含んだPEラインを巻き込むスプール周り、海水が溜まりやすいリールフット周り、クラッチやスプールロック切り替えボタンなどの可動部分は念入りに洗浄してください。
洗浄時の留意点は、「温水や洗剤は使わない」「高圧洗浄は避ける」ことの2点です。温水や洗剤を使用してリールを洗浄すると、グリスやオイルが流れてしまう恐れがあります。高圧の流水で洗浄すると、ドラグ内部へ水が入り込んでドラグ機能が低下することがあります。同様の理由で水の中に漬け込むことも避けてください。洗浄は適度な水圧の水道水で行うよう心がけてください。

1.全体の汚れを落とす
まずはリール全体にまんべんなく水を掛けて塩分や汚れを落とします。

まずはリール全体にまんべんなく水を掛けて塩分や汚れを落とします。

2.リールフット周りの汚れを落とす
リールフットは特に海水が溜まりやすい部分。塩分が残ると腐食の原因となるので、しっかりと洗浄します。

リールフットは特に海水が溜まりやすい部分。塩分が残ると腐食の原因となるので、しっかりと洗浄します。

3.スプール部の汚れを落とす
スプール周りは巻き込んだラインの奥まで海水が入り込んでいることがあります。ハンドルをゆっくり回しながら、スプール全周の汚れを落とします。

スプール周りは巻き込んだラインの奥まで海水が入り込んでいることがあります。ハンドルをゆっくり回しながら、スプール全周の汚れを落とします。

4.クラッチ周辺の汚れを落とす
クラッチの隙間は特に塩ガミしやすい箇所です。ゆっくりクラッチを動かしながら隙間に入り込んだ汚れを落とします。

クラッチの隙間は特に塩ガミしやすい箇所です。ゆっくりクラッチを動かしながら隙間に入り込んだ汚れを落とします。

5.スプールロック切り替えボタン周辺の汚れを落とす
スプールロック切り替えボタン周辺も塩によって固着しやすい部分です。ここもボタンを動かしながら隙間に入り込んだ汚れを落とします。

スプールロック切り替えボタン周辺も塩によって固着しやすい部分です。ここもボタンを動かしながら隙間に入り込んだ汚れを落とします。

手順3 脱水&乾燥

洗浄が終わったら脱水・乾燥作業に入ります。洗浄後は可動部を動かしながら水気を切り、その後リールに残った水滴をタオルなどの乾いた柔らかい布で拭き取ります。このときスプレータイプのエアブローの使用は避けるようにしてください。エアブローを使うと防水構造の奥に水が入り込む恐れがあり、またグリスやオイルまで吹き飛ばす可能性があります。
乾燥は「日陰での自然乾燥」が鉄則です。早く乾かそうと直射日光下で乾燥させたり、ドライヤーで熱風を当てたりするとリール内部の蒸れにつながります。乾燥は風通しのよい日陰で行い、一日に一回はハンドルやクラッチなどの可動部を動かすと、隙間に残った塩分や錆びによる固着を防ぐことができます。

1.ハンドルを回して水気を切る
水洗いが終わったら、ハンドルを回しながらスプールやハンドル周りの水気を切ります。

水洗いが終わったら、ハンドルを回しながらスプールやハンドル周りの水気を切ります。

2.可動部の水気を切る
クラッチレバーやスプールロック切り替えボタンなど可動部を動かしながら、隙間に入り込んだ水気を切ります。
クラッチレバーやスプールロック切り替えボタンなど可動部を動かしながら、隙間に入り込んだ水気を切ります。

クラッチレバーやスプールロック切り替えボタンなど可動部を動かしながら、隙間に入り込んだ水気を切ります。

3.ドレイン(水抜き穴)から本体内部の水が抜けていることを確認する
ドレインとはリール本体に入り込んだ水を抜くための穴のこと。リール後方のドレインは船上などでロッドを立てた状態で水を抜くためのもの(写真左)、リール下部のドレインはリールを水平にした状態で水を抜くためのもの(写真右)。メンテナンス時には下部のドレインから水が抜けているかを確認します。
ドレインとはリール本体に入り込んだ水を抜くための穴のこと。リール後方のドレインは船上などでロッドを立てた状態で水を抜くためのもの(写真左)、リール下部のドレインはリールを水平にした状態で水を抜くためのもの(写真右)。メンテナンス時には下部のドレインから水が抜けているかを確認します。

ドレインとはリール本体に入り込んだ水を抜くための穴のこと。リール後方のドレインは船上などでロッドを立てた状態で水を抜くためのもの(写真左)、リール下部のドレインはリールを水平にした状態で水を抜くためのもの(写真右)。メンテナンス時には下部のドレインから水が抜けているかを確認します。

4.柔らかい布で水分を拭き取る
リールを軽く上下に振って水気を落とした後、柔らかい布で残った水分を拭き取ります。エアブローを使うと防水構造の奥に水が入り込む恐れがあり、またリールに必要なオイルやグリスを吹き飛ばす可能性があるのでおすすめしません。
リールを軽く上下に振って水気を落とした後、柔らかい布で残った水分を拭き取ります。エアブローを使うと防水構造の奥に水が入り込む恐れがあり、またリールに必要なオイルやグリスを吹き飛ばす可能性があるのでおすすめしません。

リールを軽く上下に振って水気を落とした後、柔らかい布で残った水分を拭き取ります。エアブローを使うと防水構造の奥に水が入り込む恐れがあり、またリールに必要なオイルやグリスを吹き飛ばす可能性があるのでおすすめしません。

5.ドラグを緩める
洗浄前に締め込んでおいたドラグを緩めます。LDタイプもこの時点でドラグを緩めてください。
洗浄前に締め込んでおいたドラグを緩めます。LDタイプもこの時点でドラグを緩めてください。

洗浄前に締め込んでおいたドラグを緩めます。LDタイプもこの時点でドラグを緩めてください。

6.風通しのよい場所で陰干しする
風通しのよい日陰にリールを置き、自然乾燥させます。直射日光下での乾燥やドライヤーの使用は、内部の蒸れにつながるので避けてください。

風通しのよい日陰にリールを置き、自然乾燥させます。直射日光下での乾燥やドライヤーの使用は、内部の蒸れにつながるので避けてください。

7.固着や錆びを防ぐひと工夫
乾燥中、一日に一回程度ハンドルやクラッチなどの可動部を動かしておくと、隙間に残った塩分による固着や錆びを防ぐことができます。
乾燥中、一日に一回程度ハンドルやクラッチなどの可動部を動かしておくと、隙間に残った塩分による固着や錆びを防ぐことができます。

乾燥中、一日に一回程度ハンドルやクラッチなどの可動部を動かしておくと、隙間に残った塩分による固着や錆びを防ぐことができます。

手順4 注油&グリスアップ

リールが完全に乾いたら、必要箇所にオイルやグリスを差します。リールの性能を最大限引き出すために、オイルとグリスは必ずシマノの純正品をお使いください。
オイルとグリスの使用箇所は機種によって異なるので、お手持ちの製品の取扱説明書にてご確認ください。

必要なもの
日常のメンテナンスで使用するのは、シマノの純正の「リールグリススプレー」と「リールオイルスプレー」。このほか、余分なグリスやオイルを拭き取るためのキッチンペーパーやティッシュペーパー、ウエスなどをご用意ください。

日常のメンテナンスで使用するのは、シマノの純正の「リールグリススプレー」と「リールオイルスプレー」。このほか、余分なグリスやオイルを拭き取るためのキッチンペーパーやティッシュペーパー、ウエスなどをご用意ください。

1.ハンドルノブの回転部分に注油する
ハンドルノブの軸部に注油し、ハンドルを回してなじませます。
ハンドルノブの軸部に注油し、ハンドルを回してなじませます。

ハンドルノブの軸部に注油し、ハンドルを回してなじませます。

2.余分なグリスやオイルを拭き取る
ハンドルノブ軸部へ注油する際は、ハンドルノブにグリスやオイルが付かないようご注意ください。もし付いた場合はキッチンペーパーやウエスなどで拭き取ります。

ハンドルノブ軸部へ注油する際は、ハンドルノブにグリスやオイルが付かないようご注意ください。もし付いた場合はキッチンペーパーやウエスなどで拭き取ります。

3.メカニカルブレーキに注油する
メカニカルブレーキノブを外して内部に注油します。ここでも余分なオイルやグリスは拭き取っておきます。
メカニカルブレーキノブを外して内部に注油します。ここでも余分なオイルやグリスは拭き取っておきます。
メカニカルブレーキノブを外して内部に注油します。ここでも余分なオイルやグリスは拭き取っておきます。
4.ウォームシャフトにグリスをスプレーする
レベルワインダー仕様の場合、ウォームシャフトにグリスを1プッシュずつスプレーします。この後もハンドルを巻いてグリスをなじませます。

レベルワインダー仕様の場合、ウォームシャフトにグリスを1プッシュずつスプレーします。この後もハンドルを巻いてグリスをなじませます。

5.ドラグやドレインへの注油はNG
ドラグやドレインへの注油は、性能が低下する恐れがあるのでお控えください。
ドラグやドレインへの注油は、性能が低下する恐れがあるのでお控えください。

ドラグやドレインへの注油は、性能が低下する恐れがあるのでお控えください。

オーバーホールについて

以上の簡単なメンテナンスでも塩ガミによる固着や錆びを防ぐことができ、滑らかな回転が維持されますが、使い続けているうちにギアなどのパーツは摩耗してきます。
快適にリールをお使いいただくためにも、一般的な釣行ペースなら1年に一度、頻繁に釣行される方なら半年に一度程度、定期的にオーバーホールに出されることをおすすめします。また、うっかり海水に水没させてしまった場合も、オーバーホールに出していただくほうが安心です。
詳しくは0120-861130にお問い合わせいただくかシマノホームページをご覧ください。

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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