2025/02/06
コラム
富所潤、新たなアオリイカフィールド秋田県男鹿半島でティップエギングを堪能
イカ先生こと富所潤さんが、近年新たなるアオリイカフィールドとして注目を集めつつある東北へ釣行。東北ティップエギング先進地、秋田県男鹿半島沖で秋のエギングを堪能した。ここでは釣果に恵まれた当日の様子を紹介すると同時に、エギやタックルの選び方、シャクリの入れ方、アタリの取り方、初心者向けのアドバイスなど、ティップエギングのノウハウを解説する。
東北のアオリイカとその魅力
イカ先生こと富所潤さんが東北を代表するティップエギングフィールドである秋田県男鹿半島沖に釣行。釣行を通じて、東北ティップエギング事情や、ティップエギングのノウハウを解説してもらった。
「東北のアオリイカは、以前はシーズンも短く釣れる場所も少なかったのですが、温暖化でかなり生息範囲が広がって、狙って釣れるようになり、遊魚船でちゃんと釣果が出せるようになりました」
男鹿半島以外も東北のアオリイカの生息域は広がり、青森、宮城、岩手などでも狙って釣れるほど数が増えているという。
「これから東北がアオリイカの新しいフィールドになっていくんじゃないかと思っています」
出港は午前5時50分。秋田県男鹿市・戸賀漁港よりソルトビーチ友栄丸での出船だ。男鹿は東北エリアでティップランをいち早く始めたエリア。イカが濃く釣果が期待できる場所。船は朝日を浴びてポイントへと進んでいった。
メインのエギ、セフィア アントラージュ3.0号
ポイントに到着した。メインで使用するのは『セフィア アントラージュ3.0号』だ。
「水深は14mです。釣りやすい水深ですね。アントラージュの3号をシンカーなしで使います」
アントラージュ3.0号は21gの一種類。重さは後付けシンカーで調整し、どんどん重さを交換していくのが釣果を得るために重要だという。アントラージュ3.0号には様々な機能が備わっている。
「パッと見て目立つのがフィンですね。直進性能がかなり上がっています。潮の速いところでもしっかりと直進してくれます。またまっすぐ落ちて回らないことで、リーダーがカンナを拾うこともありません」
3.0号ボディに3.5号サイズのカンナがついているのも特徴だ。
「決して小型狙いのエギではなく、キロオーバー、2kgそして3kgでも対応するように作ってあります」
カラーより重さに注目
ボックスにはカラフルなエギが詰まっている。
「色はいっぱいあります。ただ、あの色、この色がが良いかもと考える前に、重さを考えてください」
アントラージュ3.0号は単体で21g。風や潮が強くなったらシンカーをつけるが、この時、重くする方向にどんどん意識がいってしまう人が多いという。
「底が取れるなら、それ以上重くしません」
色よりも重さが重要。重さは底が取れる限り最軽量がいい。
初心者には長めのロッドがおすすめ
ロッドは『セフィア SS ティップエギング R-S72ML-S』。やや長めのモデルだ。
「最近は6フィート台のショートロッドが多くなりましたが、ミヨシのように足場の高いところでの使用や、波があるとき、初心者の方はロングロッドがすごく使いやすいです」
初心者にロングロッドが良いのは、エギが安定するからだ。
「長いロッドのほうがエギの安定感がいい。ショートロッドはエギの安定感が悪いのでイカが抱きにくくなります」
初心者の方は、最初はエギをステイさせるのが難しい。ロッドが長いほうが船の揺れや風や波、アングラー側の不要な動きなどを吸収してくれて、安定したステイを演出できるのだ。
リールは『ヴァンキッシュ C3000SDH』、ラインは『セフィア 8+』の0.5号、リーダーは『セフィア マスターフロロリーダー』の2号。富所さんは、全国、世界中、どこでもこの組み合わせでティップエギングを行う。
エギは安定性が重要
キャストして着底、数回大きくシャクリを入れてアタリがあり、ここでは乗らなかったものの、再び沈めてからシャクリを入れてステイさせると最初のヒットを得た。
「いきなりピュッと持っていきました。でも放されてしまい、もう1回シャクリ直したら、しっかり乗ってきましたね。教科書通りの一パイです」
続いてのシャクリ、そしてステイでサイズアップしたイカがヒットした。
「気持ちのいいアタリでした。シャクってすぐ、アタリが出ました。秋はステイさせた瞬間に抱いてくることが多いんで、安定性のいいエギを選ぶのがすごく大事ですね」
さらに船べりまで追ってきたアオリイカを発見。イカの目の前にエギを落とすと、何度か反応。最終的にはヒットさせた。
「アオリイカはエギを触って放してという動作を繰り返すことがあります。エギが安定していれば抱いて放しにくくなります」
しっかり止めるために
ティップエギングは「落として、シャクって、止める、回収」の繰り返しをするだけの単純な釣りだと富所さんはいう。船をドテラで流しているときは足下が一番新しいポイントになるため、投げない方がいいなど、コツやノウハウはいろいろある。だが操作自体は単純。その操作の中でも大切なのは……
「ズバリ大事なことは、しっかりと止めることです。エギが止まらないとアオリイカは抱きません。釣果を増やすために、シャクリのバリエーションやエギの重さの交換とかもありますが、止める時に止める。これだけでも釣果は2割ぐらいアップするんじゃないかと思います」
エギを安定して止めるにはロッドの持ち方が重要。
「ロッドの持ち方は個人差があると思いますが、僕の場合は指の部分にふわっと乗せる感じです。船が波で動いたときでも、乗っけてるだけだから動きません。脇に抱えてアタリを待つのはダメです。船の動きを拾ってしまいます。そしてアタリを待つときは穂先に集中。だから穂先は白く色塗ってあるのです」
ステイとアワセ、そしてシャクリ、上達のコツ
ステイは長めにとるとよいという。長さは5秒から10秒。初心者ほどロングステイを意識するとよい。
そしてアワセはスパッとやる。聞きアワセで重みを確認すると、アオリイカがエギを抱き込みカンナに掛かりにくいので、アワセはスパッと入れるほうがいい。
リズミカルできれいなシャクリは、アオリイカをしっかり誘うことのほかに、ロッドティップへのラインの絡みを防ぐ。シャクリで竿を持ち上げるときに一緒にリールを巻く。上達のコツは?
「通ってください。それだけです。シャクリは同じ動作の繰り返しなので、やればやるほど上手になります。誰だって最初はできないものです。最初は誰でも初心者です。回数をこなして上手になっていくわけです」
シャクリの回数と数え方
シャクリの回数は、ラインが長く出ているときは糸フケを考えて多めにし、近距離の時は少なめにするのが基本。この時、ポイントは13m。これくらいの水深なら5回くらいという。ところが、実際には6回シャクっている。これは?
「PEラインは浮くので、最初L字に近い形で落ちていきます。そうすると最初の1回目のシャクリではエギが動かないんです。なので、エギの重みを感じてからの回数をカウントするのです」
シャクリの回数には、シャクリの大きさも関わってくる。
「シャクリの大きい小さいには個人差があります。僕は結構しっかりとシャクリを入れます。そうすると13mだったら4回ぐらいでいいかなと。逆にシャクリが小さい方は、ちょっと多めにシャクリを入れるとよいです」
セフィアSSティップエギング
使用しているロッドは『セフィアSSティップエギング』。今回のモデルはラインナップがしっかりしているという。標準的なレギュラーテーパー『R』は最もスタンダードな6フィート8インチの長さで、MLとMLが用意されている。ここにショートロッドの5フィート11インチと、ロングロッドの7フィート2インチが加わる。そして今シリーズで特徴的なのはファーストテーパーの『F』モデル。掛け調子のモデルとなる。Fは6フィート8インチと5フィート11インチが用意されている。持ち運びしやすいセンターカット2ピースなのも特徴だ。
また、ティップエギングロッドで重要な穂先部分には『タフテック∞(インフィニティ)』を使用し、白塗装が施されている。
「穂先のしなやかさが、しっかり出ています。アオリイカのアタリのいろいろな動きを表現できるのがタフテックインフィニティですね」
トリプルヒット
解説を終えたところで釣りを続行。選んだのは『002ブラック』カラーのアントラージュ3.0号。エギを沈め、6回シャクリを入れた後、約10秒のロングステイでのヒットした。
さらに日が上がって朝10時、選んだのは紫のフラッシュブーストカラー『001パープルケイムラ』。沈下後シャクって、ステイさせたらすぐヒット。上がってきたのは良型のアオリイカ。同時に別の乗船者からもヒットの声が上がった。
「ラッシュが始まりましたね。これも(ティップエギングの)いいところですね。オフショアは昼間にも時合が来るんで、すごくいいです」
そう話をしている間にも、乗船者にヒット。トリプルヒットとなった。
広く探ってヒットを拾う
とはいえ太陽が上がると「なかだるみ」の時間がある。そのような時は、広く探って拾い釣りする。
「拾い釣りのタイミングになってきたら、底取りには時間がかかりますが、投げてみるといいです。釣座が胴の間だったら目の前に、前の人は前に、後ろの人は後ろに投げる。扇状に広く誘って皆で釣ることができますよ」
そう解説していると、すぐにヒット。その後もヒットは続いた。
「秋田男鹿半島のアオリイカ、非常にたくさんのアングラーさんたちが楽しまれてます。アタリの取り方、シャクリの入れ方、ステイをしっかりやることによってアオリイカを釣ることができます。ぜひ試してください」
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