2024/11/14
コラム
セフィア XTUNE ティップエギング S510ML+-S で攻略するバーチカルティップエギングin相模湾×富所潤
ティップエギングの可能性をさらに広げる、バーチカルティップエギング。エギングロッドとして基本性能を追求したセフィア XTUNEシリーズに2024年バーチカルティップエギング対応モデルS510ML+-Sが登場。この新ロッドととともに、「イカ先生」富所潤さんが春の相模湾を舞台に、徹底解説。フォール姿勢とジャーク後の安定姿勢にこだわったセフィア アントラージュ3.0号フラッシュブーストも登場。
バーチカルティップエギングへの誘い
イカ先生こと富所潤さんは、アオリイカからツツイカ系まで含むライトゲームのエキスパートだ。新型のロッドとエギとともにバーチカルティップエギングを今回は解説する。
「まだやったことない方、これからやってみたい方に解説したいと思います。新しいバーチカルティップエギングの楽しさ、ロッドのすごさ、エギのすごさを知ってほしいです」
富所さんが訪れたのは春の相模湾。船は神奈川県の腰越漁港の蒼信丸だ。
「今日はアオリイカを狙っていきます。釣り方はいつものティップエギングではなく、バーチカルのティップエギングです。バーチカルは縦に落とすという意味で、船を風にまっすぐに向けて、真下に落として釣っていきます」
水深15mのポイントでスタート。ロッドはバーチカル用のニューロッド「セフィアXTUNE ティップエギング S510ML+-S」、リールは「ヴァンキッシュC3000SDH」、ラインは「セフィア8+」の0.5号、リーダーは「セフィア フロロリーダー」2号を1.5m接続。エギは「セフィア アントラージュシーグル」S1の3.5号を選んだ。
バーチカルティップエギングの概要とエリア
通常のティップエギングは、船を風と潮に任せて流す「ドテラ流し」で行われ、釣り人は片舷に全員が並ぶ。これに対しバーチカルティップエギングは、スパンカー(船尾の帆)を立てて船を風と同じ向きにして、釣り人は両舷で釣る。したがって、エギを沈めたときラインは必ず真下にくる。
「船が風に向かってまっすぐ立っています。例えば、エギをポンと入れます。そうするとラインが真下に入ります。そして着底から1、2、3とシャクって止めます。何度シャクってもラインは常に真下です」
バーチカルティップランが可能かどうかは、エリアよりも船がやっているかどうかが重要だと言う。
「関東は元々、エギのシャクリ釣りの文化があったので、バーチカルに探る船があります。エギ単体でやっていいよという船があればできます。乗合船でシャクリの釣りとティップエギングと両方をやっている船もあります」
バーチカルティップエギングの実際
「釣り方は簡単です。エギを持ちます。ポンと入れます」
そう言ってエギを手前の海面に落とす。着底までベールを開いたままラインを送り込み、ラインの出が止まったらベールを閉じて3回シャクリを入れる。
「1、2、3。今日はちょっと浅いので回数は少ないです」
シャクリを入れたらロッドを下げて5~10秒くらいアタリを待つ。アタリがなかったら一回大きくシャクリを入れ、ふたたびベールを開いてエギを沈め、それまでの操作を繰り返す。
「(再度沈める前にロッドを)大きく煽るのは、もし近くにイカがいたりとかちょっと離れたとこにいたら、それにアピールする感じですね」
その後、エギをS1からS2に変更。二回目の底取りで、ラインが潮に持っていかれる感じが強かったからだ。そしてエギのチェンジ後、すぐにヒット。上がってきたのはちょうどシーズンのケンサキイカだった。
メリットとデメリット
富所さんは、バーチカルティップエギングのメリットをふたつ上げる。底の取りやすさと高ヒット率だ。
「底が取りやすいのが、バーチカルティップエギングの大きなポイントです。ドテラ流しで風があると、どんどん糸が出て底が分からなくなってしまいます。ですが、船の真下で釣りをするので、誰でも底が取れます。根掛かりも少なくなります。(ドテラで)風が強いとどうしてもポイントを流れるスピードが速くなってしまいます。(バーチカルなら)船をある程度とどまらせることができますので、ヒット率は上がりますよね」
デメリットはエギに不自然な動きをさせてしまいやすいこと。
「船をある程度とどめておく釣りになってくるので、船はクラッチを必ず入れます。そうすると船が前に出ます。そうした場合、真下にエギがあるので船の動きがエギに伝わり、イカが違和感を抱いてしまうことがあります」
船が動いたらロッドティップをサスペンションのようにして動きを吸収するとよいと言う。
ドラグセットとシャクリの注意点
ドラグのセッティングが緩すぎるケースが多いという。
「まずしっかりドラグを締めることですね。ドラグがかなり緩い方がいます。フッキングしたときイカが大きいと掛からないことが多いです。シャクリを入れているときにドラグが出るのはかなり緩いと思ってください」
もうひとつは上げすぎないこと。
「着底してシャクリを入れてアタリがないとエギを落としますけど、そこからまたシャクリ上げる方がいます。エギがどんどん上に上がってるんですよね。イカがいるエリアから、どんどんどんどん離れてしまっています。シャクリを入れてから止めてアタらなかったら必ずベールを開いて落としてください」
上げ過ぎは陸っぱりメインの人に多く、海面からエギを飛び出させてしまうこともあるという。初めてボートから釣るときは注意しよう。
ロッドの重要性
バーチカルティップエギングはロッドが重要だ。先ほどデメリットとして挙げた、船の動きがエギに伝わってイカに違和感を与えてしまうことと関係している。
「糸が立っているのでちょっとの動きがエギに伝わりやすくなります。だから竿先が硬いとどうしてもエギが安定しません。なので、ある程度竿先に軟らかさがあることが重要になってきます。ですが、竿全体が軟らかくなってしまうと、今度はエギ動かしきれません。しっかりとエギを動かすには硬めのバットが必要になってきます」
この相反する機能を詰め込んだのが今回使用したロッド「セフィア XTUNE ティップエギング S510ML+-S」だ。
「アタリを待つときはしなやかな穂先、しっかりとエギを動かせる硬いがっちりしたバットです。使っていただくと、シャクリの入れやすさとステイしたときの安定性が実感できると思います」
アントラージュ3.0号とエギの選択
船は江の島の西、湘南海岸のエリアに移動した。水深は20m。エギを新しい「セフィア アントラージュ3.0号フラッシュブースト」に10ℊのシンカーを付けたものに変更した。そして釣り始めてすぐ良型のアオリイカがヒットした。
「非常にコンパクトなボディ感。そして、フィンによってまっすぐフォールしてスパイラルに回ったりしづらいです。ステイでもしっかりと止まります。直進性能も非常に良いです。また3.5号相当のカンナサイズになっていて大型のイカが来ても安心です。後付けシンカーもしっかり固定できます」
やはり大切なのはエギの重さだという。
「バーチカルの場合、特別潮が速くなければ極端に重くする必要はなく、しっかりとラインが立って安定させることができればいいと思います」
ここで丸々と太ったきれいなアオリイカがヒットした。3.0号のサイズが効いたようだ。
季節ごとの釣り方とバーチカルの取り込み
エギング全般、季節ごとにシャクリの入れ方を変えるのが重要だ。
「春の場合はイカがそんなに追っかけてくるわけじゃないので、バンバン上にシャクリを入れて上げることはしません。特にバーチカルの場合、イカのいないところにエギが行ってしまいます。春はおよそ底から3m以内を意識してソフトに誘います。秋は新子で数もいて取り合いになるので、活性を上げるテンポのいいシャクリ上げが良いです」
バーチカルでは特にイカがエギを横抱きすることがある。こうしたときは取り込みにコツがある。
「(横抱きで)重たいだけのときがけっこうあります。そういうときは竿で煽らないこと。イカがグングン引っ張るところまで、ひたすらゴリゴリ巻いてください。そうしないと横抱きになっているイカが放してしまいます」
モンスターアオリで信頼性を証明
ロケも終盤に差し掛かったころ、アントラージュ3.0号フラッシュブーストにモンスタークラスのアオリイカがヒットした。
「フォールさせたら、着底する前に止まったので、念のためフッキングを入れたら、ドンと止まりました。一瞬、根掛かりかと思ったんですが、根掛りを外しにいくと、イカだった場合は放してしまうので、間違いなくイカだと思って追い巻きを入れたら一気に走りました」
解説中心の撮影だったが、思わぬ大物の登場で、タックルの最終確認ができた。
「3kgクラスのイカまでは掛けていなかったので、実際にどれぐらいのイカが浮くのかわかって、僕個人としてもすごく嬉しい。これだけ細身のロッドで、イカをしっかりリフトアップするパワーがあります。新しいアントラージュ3号も、本来は秋用なのですが、春にまさかの3kgオーバーをしっかりフッキングできて、カンナも大丈夫でした。これから実際に、皆さんに使っていただくことになるわけですが、安心して、そして信頼して使っていただきたいと思います」
関連記事
RELATED COLUMN