2025/05/22
コラム

サワラ、シーバスに高実績! SW専用ジャークベイト、ラウドジャーク120S開発秘話

東西のキャプテンアングラー、家田成大さん、角井良隆さんのが開発に携わり、フィールドでテストを重ねたソルトウォーター専用ジャークベイト、オシア ラウドジャーク120S。こだわりすぎて発売が遅れたという入魂作の開発秘話、特徴、使い方などを両名が語る。
開発に携わったのはガイド船のキャプテンアングラーの二人
強烈なファイトでアングラーを魅了し、近年人気が高まっているサワラゲーム。正確なキャストや繊細な釣りが必要となるゲームから、ビッグベイトまで幅広く楽しめる、インショアゲームの定番、シーバス。これらのターゲットに対し、共通して安定の釣果を出せるルアーといえば、ジャークベイトである。今回はソルトウォーター専用にこだわったジャークベイト、オシア ラウドジャーク120Sの開発に携わったふたりのアングラーに、お話を聞いた。
ひとりは家田成大(いえだ しげひろ)さん。2005年から東京湾でガイド船「サニーフィッシングガイドサービス」を営むキャプテンアングラーだ。もうひとりは角井良隆(かどい よしたか)さん。大阪市内から近い堺旧港を拠点とした、大阪湾のインショアボート「シーマジカル」所属のキャプテンアングラー。特にサワラのキャスティングゲームに精通していることで有名だ。

シーバスだけでなく、旬の釣りを追ってインショアゲームの魅力を伝えるキャプテンアングラー家田成大さん。

大阪湾のサワラゲームにおいて「釣らせるキャプテン」として名が知られる角井良隆さん。

ふたりのキャプテンアングラーに、ラウドジャーク120Sの特徴や使い方、こだわった点などについて話してもらった。
11個のラトルボールが、【釣れる不安定アクション】を生み出す
ラウドジャーク120Sの開発で狙ったアクションは、ジャークしたときのアクションとサウンドだった。動きに関していえば、ジャークしたときに一定の幅、方向へスライドするのではなく、ときには大きく、ときには小さく、また直線的に、あるいはボディを翻すほどに動く、そういった不安定なアクションをあえて狙った。
シマノにはジェットブーストという、飛距離を飛躍的にアップさせるシステムがあるが、ラウドジャークには採用していない。その理由は、あえて不安定な動きを出すため。多数のウエイトボールを使い、ジャークしたときに重さを分散させることで、一回一回異なる動きが出るようにしたのだ。
「アクションは、いい意味で不安定。狙ってないのに強い幅の広いダートが出たり、同じダートが出る動かし方をしているはずなのに、ちょっと細かいピッチになったり。ウェイトボールの位置が変わることで、こっちが予測できない不規則な動きが出ます」(家田さん)
重さは18gと決してヘビーではない。飛距離を稼ぐのであれば、ウェイトはもっと重くてもよかったのでは? という意見もあるだろう。
「18gでも、飛距離は安定しています。重くすれば、という考えもありますが、重くするとアクションのレスポンスが落ちてしまいます」(角井さん}
重くしすぎると軽快でキレのいい、両名が意図したアクションが出ない。ラウドジャークでは、アクションを最優先させたのだ。もちろん飛距離を犠牲にしたわけではなく、アクションを最優先しつつ、飛距離も出せるというギリギリを狙い、その結果が18gになったのである。

アクションとサウンドにこだわり、11個のウェイトボールを内蔵。

ジャーク時にときとしてボディを翻すほどの【釣れる不安定アクション】を演出する。

11個のウェイトボールによって、ジェットブーストに勝るとも劣らない飛距離を出すことができる。
実際、サウンドは釣果にどのような影響があるのか?
11個のウエイトボールはアクションだけでなく、動くことで大きな音を出す。おそらく、ソルトウォーター用に限らず近年のジャークベイトで、これほど大きな音を出すルアーはない。角井さんは「これがポジティブな方向に働くのか、ネガティブなほうか、正直不安だったんですよ」と語る。だが、それは杞憂だった。
「すごく釣れている日は、使えるルアーの許容範囲は広いですが、海がシーンとなっている中で一本を捻り出す状況があって、そこで威力を発揮してくれるというのがラウドジャークにありました。シビアな状況でジャークしていると、静かな水面がヒラマサキャスティングみたいに割れて、青物かと思ったらデカいサワラ。サワラもやっぱり音が効くんだと感じました。音によってスイッチが入った感じですね」(角井さん)
「ボクの場合は、シーバス狙いで、ジャークとジャークの合間に喰ってくるということがあって、明らかに音が効いていると感じる瞬間があります」(家田さん)
「あと大阪湾も東京湾も流入河川が多くて、視界が悪いマッディな状況が多い。だからこそ音が効くのではないかと思います」(角井さん)

シビアな状況で大きなサウンドが効くこともあると身を持って知っているという両名。

ラウドジャークを使うと、ジャークの合間にバイトがあるという家田さん。サウンドがなんらかの影響を与えていると言う。
こだわりのソルトウォーター仕様
ラウドジャークの特徴として、大型フックと貫通ワイヤーを搭載していることが挙げられる。この一見オーバースペック気味に思える仕様には、理由がある。
「大阪湾でサワラ、青物を狙っていると10kgクラスのブリやメータークラスのサワラが掛かることがある。#6クラスの小さなフックだと、伸ばされることがある。そのために、安心して使える#4フックが付いています。貫通ワイヤーは、大きい魚をネットインして暴れて船に当たったときなどの衝撃にも安心です」(角井さん)
カラーはソルトウォーターに特化したものがラインナップされている。その中には両名が監修したカラーもある。
角井さんリクエストのエッジパールゴールドは、下側がゴールドのホロ。上側にパールを吹いてシルバーのように輝く。さらに頭部がピンクで塗装され、視認性がよくなっている。
家田さんリクエストのサニーミラーKは、両サイドがギラギラと輝くシルバーミラーカラーにケイムラを塗装。視認性を高めるため背中をオレンジに塗っている。「光量が弱いときでも使えるカラー」と家田さんは言う。
また、STチャートリップサービスは角井さんのワガママから生まれたカラーだ。
「背中側はグリーンでベイトに近いカラー。光を通すと透けながらも色が残るぐらい。シラスや透けるベイトのイメージ。側面はスケールブーストで光の角度によってきらめく仕様となっている」(角井さん)
このカラー、ボディーはクリアベースで見にくいが、リップにチャートのカラーリングを施して視認性が確保されている。しかし、リップの裏はボディに馴染むシルバーカラーを吹き、下側から見たときにはナチュラル、という手間がかかったカラーだ。

フックは#4を装着。貫通ワイヤーなので、大型の力強い引き、ボディ破損時にアイが抜けることがない。

カラーはソルトウォーターで実績のあるものを10色ラインナップしている。

角井さん監修のエッジパールゴールドは金と銀を使った欲張りなカラー。

家田さん監修のサニーミラーKはケイムラが塗られている。

スケールブーストでベイトライクに仕上げたカラー、STチャートリップサービス。

STチャートリップサービスのリップ表面は、視認性がいいカラーに塗られている。

裏側はナチュラルなボディに馴染ませるため、目立たないように仕上げている。
ラウドジャークの両名の使い方と、他のルアーとの使い分け
【釣れる不安定アクション】と大きなサウンドが特徴であるラウドジャークの使い方について、アピール力の高さを活用し、家田さんはサーチベイト的に使うことが多いという。基本的な使い方は、キャスト後に軽くジャークを入れ、その後はタダ巻きをするというもの。
「特にシーバス釣りではタダ巻きをよく入れますね。音に特徴があるので、ジャークでしっかり音を出して、魚の視線と側線にアピールします」(家田さん)
角井さんの場合はメインターゲットがサワラであることが多いため、ジャーク中心の釣り方になる。フルキャストしたのち、ルアーの重心を前に戻すために少し巻いてルアーを水に馴染ませて姿勢を整える。その後にワンピッチのジャークで誘う。ハンドルを巻くときロッドを移動させて優しくジャークすると、連続してジャークしても疲労感が少ないという。
「基本はワンピッチジャークですが、ときどき止めたり、速巻きしたりして動かします。サワラって意外とルアーを見ているんですよね。ルアーを追ってきて喰わないときは、動きを変えると突然喰うこともあります」(角井さん)
ラウドジャークと併用することが多いルアーとしてはMDザンバーノ(2m前後潜る)がある。このルアーとは狙うレンジで使い分ける。また「安定した規則的なアクションに反応がいいときはMDザンバーノを選びます」と家田さんは言う。
また、サワラ狙いの定番ルアーであるブレードジギングとミノージャークキングの使い分けについては、「基本的にベイトがイワシのことが多く、ボトムに張り付けられているときはブレードジギング。ボイルやシラスナブラが出て魚が上ずっているときはミノージャーキング。あと、ジャーキングで誘い出しみたいなことはよくやります。潮目に投げるんですが、水深30~40mのところでもジャークベイトに飛びかかってくるサワラがいるんです」(角井さん)

シーバス狙いの場合、ジャークで音を出して気づかせて、タダ巻きで喰わせることが多いと語る家田さん。

基本的にはワンピッチジャークの誘いだが、サワラは結構ルアーを見ているので、変化をつけて誘う必要があるという角井さん。

MDザンバーノはラウドジャークよりも潜行深度がある。狙うレンジによる使い分けが基本だ。
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