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2025/04/08

コラム

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飛距離が出せるグライドベイト【グラヴィテーター220SF】の開発秘話と性能×奥田 学

飛距離が出せるグライドベイト【グラヴィテーター220SF】の開発秘話と性能×奥田 学

折れ曲がることでビッグベイトの遠投性能を極めることに成功したアーマブースト構造を採用したアーマジョイント。だが、その構造からこれまでのアーマブーストでは再現できなかったビッグベイトがある。それがグライドベイトの動きだ。しかし2025年、新たな機構を搭載し、アーマブーストによる飛距離とグライドする動きを搭載したモデルが完成。それが【グラヴィテーター220SF】だ。開発に携わった奥田学さんが、その開発秘話、性能を語ってくれた。

ビッグベイトでの攻略に必要なもう一つのルアー

ビッグベイトの飛距離が出ないというマイナス面を、キャスト時にボディが曲がることで克服させたアーマブースト。このテクノロジーがさらに進化。その第一弾目となるのが、今回紹介する【グラヴィテーター220SF】だ。

ビッグベイトの飛距離が出ないというマイナス面を、キャスト時にボディが曲がることで克服させたアーマブースト。このテクノロジーがさらに進化。その第一弾目となるのが、今回紹介する【グラヴィテーター220SF】だ。

2022年にシマノから、アーマーブストテクノロジーが発表された。
それまでのビッグベイトは、空気抵抗が大きく、飛行姿勢が悪くなることもあり、飛距離が出ない」と言われていた。しかし、シマノのアーマブストテクノロジーの完成によって、これらを払拭した。
「ボディが半分に折れるという設計によって、これまでとは大きく違う性能になり、飛距離を出せるようになったんです。そのアーマーブストテクノロジーを搭載したルアーが、アーマージョイント190SF。そしてその翌年にアーマジョイント280SFというジャイアントベイトが発売されました。これらのアイテムで、これまで数多くのジャイアントバス、多くの魚をキャッチしてきました。しかし、そんな中で何か足りないという感じがありました。それを埋めるのが【グラヴィテーター】です。ビッグベイト戦略の新たな一手になるルアーです」

グラヴィテーターは、泳がせているときにボディを曲げたくない。しかしキャスト時には曲げたい。そんな難題の末に生まれたモデルとなる。

グラヴィテーターは、泳がせているときにボディを曲げたくない。しかしキャスト時には曲げたい。そんな難題の末に生まれたモデルとなる。

グライドベイト独自の動き

体高のあり、平面が多いデザイン。フナやコノシロに近いシルエットだ。このボディがしっかりと水を押してターゲットにアピールする。

体高のあり、平面が多いデザイン。フナやコノシロに近いシルエットだ。このボディがしっかりと水を押してターゲットにアピールする。

グラヴィテーターは、ビッグベイトのグライドベイトというジャンルのルアーとなる。グライドベイトは、リップレスデザインで、アクションを入力することでルアーが左右に飛ぶ、グライドする動きを演出する。
「グラヴィテーター、グライドベイトがはまる状況というのは、速いスピードが必要な時、またはターゲットフィッシュの視界からルアーをあえてそらしてスイッチを入れる時、さらに狭い場所をドッグウォークで誘う、リアクションで喰わせる時などです」
シマノのビッグベイト、ジャイアントベイトの中にアーマージョイント190SF、280SFというのがあるが、今回のグラヴィテーター220SFの大きな違いは、動きに加え、横から見たシェイプ。幅が高く、フラット面が多いのが特徴だ。
「アーマジョイントは丸っこいボディで3連のため、ヌメーと泳ぎます。一方、グラヴィテーターは平面を有効に使うアクションに仕上げてあるので、ドゥンッ、ドゥンッと水を押す激しい左右に飛ぶ動きを出します」

アーマジョイントは3連ボディで、しっかりと曲がる可変部分により、ヌメヌメとした動きを演出。グラヴィテーターはキレのある動き。状況に応じて使い分けることで、自ずと釣果が近くなる。

アーマジョイントは3連ボディで、しっかりと曲がる可変部分により、ヌメヌメとした動きを演出。グラヴィテーターはキレのある動き。状況に応じて使い分けることで、自ずと釣果が近くなる。

グライドの動きを出しつつ、飛ぶビッグベイトの開発

上がグラヴィテーター、下がBtスラプター。Btスラプターは動きの良いモデルだが、飛距離が出にくいのがマイナス部分。そこでグラヴィテーターの開発がスタートした。

上がグラヴィテーター、下がBtスラプター。Btスラプターは動きの良いモデルだが、飛距離が出にくいのがマイナス部分。そこでグラヴィテーターの開発がスタートした。

奥田さんの提案に対して、シマノ開発スタッフが新たな構造のアーマブーストを搭載したモデルを作ってきた。NEWアーマブーストのアイデアには、奥田さんも驚いたという。
奥田さんの提案に対して、シマノ開発スタッフが新たな構造のアーマブーストを搭載したモデルを作ってきた。NEWアーマブーストのアイデアには、奥田さんも驚いたという。

奥田さんの提案に対して、シマノ開発スタッフが新たな構造のアーマブーストを搭載したモデルを作ってきた。NEWアーマブーストのアイデアには、奥田さんも驚いたという。

「シマノのグライドベイトでBtスラプターというのがあるのですが、このモデルはまさにグライドベイトとして完成されたモデルといえます。高リアクティブなルアーです。しかしBtスラプターの最大の欠点は、飛距離。そんなグライドベイトにアーマブーストを搭載することによって、飛距離の問題を解消できるのではないかという思いが生まれました。そこでシマノの開発担当に、その意見をぶつけたところ、飛ぶようにはなるが、グライドする幅が小さくなるとの意見でした。アクションを切れよく出すために、ボディが少ししか曲がらない構造なのです」
グライドベイトは、ボディの可変部分の曲がりが、ボディ同士が当たり制御されていることで、理想のグライドする動きを演出する。しかし、これまでのアーマブーストでは、キャスト時の空気抵抗を減らすために折れ曲がる特徴から、グライドベイトの動きを再現するのが難しかったのだ。
「そんなことから無理だろうと思っていたところ、数ヶ月後に持ってきてくれたのが、今回の新しいアーマブーストを搭載したものでした。これを見た時に、かなりびっくりしました。こんな機構ができるのかと。僕は思いつかなかった。それで琵琶湖で初投げしたのですが、真っ直ぐ、そしてぶっ飛びました」

ファーストプロトモデルを投げてみると、狙い通りの場所に、しっかりと飛んでいった。そしてその飛距離に驚く。
ファーストプロトモデルを投げてみると、狙い通りの場所に、しっかりと飛んでいった。そしてその飛距離に驚く。

ファーストプロトモデルを投げてみると、狙い通りの場所に、しっかりと飛んでいった。そしてその飛距離に驚く。

新たな構造のアーマブースト

ボディがキャスト時に離れ、磁力により戻る構造。ただ磁力だけではアクション時に離れてしまう可能性もある。そんなトラブルを無くすために、接続部分の金具がアクション時にはロックする構造を採用。
ボディがキャスト時に離れ、磁力により戻る構造。ただ磁力だけではアクション時に離れてしまう可能性もある。そんなトラブルを無くすために、接続部分の金具がアクション時にはロックする構造を採用。

ボディがキャスト時に離れ、磁力により戻る構造。ただ磁力だけではアクション時に離れてしまう可能性もある。そんなトラブルを無くすために、接続部分の金具がアクション時にはロックする構造を採用。

グラヴィテーターに搭載された新たなアーマブーストは、磁力の力を利用している。アーマジョイントのアーマブーストにも磁石を使っているが、これは折れ曲がった状態をキャスト時にキープするため。今回のグラヴィテーターに搭載された新たなアーマブーストは、キャストする時に可変部分が遠心力によってパチリと離れることで、ボディとボディの間がしっかりと確保されてボディが折れ曲がり、空気抵抗を減らして遠投を可能にする。そして着水してラインを巻き始めた瞬間、可変部分に内蔵されている磁石の磁力によりボディが引き寄せられ元に戻る仕組み。キレよくグライドする動きを演出する適度に動く可変部分にセッティングされるというわけだ。新たなアーマブーストは、これまでのアーマブーストとは構造が違うのである。
「この磁石による機構にプラス、今回のグラヴィテーターでアクションの要となっているのが、ボディを繋いでいる金具です。この金具の特殊な形状によって、アクション時に可変部分が開かないようにしています。リーリングジャークでキレよく動かした時に、もしもパーツが外れてしまったら、そこでアクションは破綻してしまう。しかし磁力だけでなく金具によってロックされることで、きちんとアクションを出せます。このテクノロジーによって、グライドベイトでありながら、良く飛び、キャスト精度が高く、そしてキレの良い動きを演出することが可能になったのです」

アーマブーストは、通常のジョイントビッグベイトよりも40%アップの飛距離を出す。もちろんグラヴィテーターも同様。グライドベイトでありながら、広範囲を探ることが可能なのだ。

アーマブーストは、通常のジョイントビッグベイトよりも40%アップの飛距離を出す。もちろんグラヴィテーターも同様。グライドベイトでありながら、広範囲を探ることが可能なのだ。

グラヴィテーターの使い方

リーリングジャーク、ロングジャーク、テンポ良いアクションの連続によるドッグウォーク、速い動きと、さまざまなアクションを簡単に演出できると奥田さんは言う。
リーリングジャーク、ロングジャーク、テンポ良いアクションの連続によるドッグウォーク、速い動きと、さまざまなアクションを簡単に演出できると奥田さんは言う。

リーリングジャーク、ロングジャーク、テンポ良いアクションの連続によるドッグウォーク、速い動きと、さまざまなアクションを簡単に演出できると奥田さんは言う。

「グライドベイトは、ロッドで煽って動かす、リリーングで動かすという使い方をしますが、その操作が一つでもちょっと強くなった、弱くなったりすると、アクションをしっかり出せません。エラーした動きが出ると、ターゲットフィッシュが見切る要素の1つになってしまう。ただ今回のグラヴィテーターは、ものすごく高いレベルでアクションを入力していくことが可能です。リーリングジャーク、ロングスライド、ドッグウォーク、どれも綺麗に簡単に演出することができます」
奥田さんのグラヴィテーターでの琵琶湖でのビッグバスの数々の釣果は、そんな性能があってこそだとコメントを残した。

バスだけでなく、様々な魚に有効

山陰の中海。ビッグベイトシーバスの西の代表エリア。シビアな難しい状況であったが、しっかりと結果を残した。
山陰の中海。ビッグベイトシーバスの西の代表エリア。シビアな難しい状況であったが、しっかりと結果を残した。

山陰の中海。ビッグベイトシーバスの西の代表エリア。シビアな難しい状況であったが、しっかりと結果を残した。

東のビッグベイトシーバスエリアといえば東京湾。シーズンは秋から。しかしテストの関係で、シーズン初期の難しいタイミングで釣行。それでも魚を引き出した。シーバスにかなり効果があることを奥田さんは確信した。
東のビッグベイトシーバスエリアといえば東京湾。シーズンは秋から。しかしテストの関係で、シーズン初期の難しいタイミングで釣行。それでも魚を引き出した。シーバスにかなり効果があることを奥田さんは確信した。

東のビッグベイトシーバスエリアといえば東京湾。シーズンは秋から。しかしテストの関係で、シーズン初期の難しいタイミングで釣行。それでも魚を引き出した。シーバスにかなり効果があることを奥田さんは確信した。

「今回のグラヴィテーター220SFは、フリースタイルモデルとなっています。シーバスでもかなりテストしました。シーバスでのテストは、山陰の中海からスタートしました。2024年の中海は全体的にシビアで、テスト時はかなり釣果が厳しい状況でしたが、高速リアクションという動かし方で、良い魚を獲ることができました。またシーバスのビッグベイトといえば東京湾ということで、秋になりテストを開始。ただテストの期限もあり、まだシーズン初期のタイミングで釣行となりました。こちらも難しい状況でしたが、ワンピッチ、リアクションで何本か良い魚を獲ることができました。それらの結果から、シーバスにおいてもこのルアーはマストアイテムになると感じています。ブラックバス、シーバス、そして海外の怪魚、オフショアと、様々な魚に活躍する性能を持っていると思います」

チューニングによる攻略が可能

背ビレは2種類。付け替えることで、泳層を調整可能。

背ビレは2種類。付け替えることで、泳層を調整可能。

ジョイントパッドにより、可変部分の角度を変えられる。パッドを付ければ、より大きいアクションを演出可能だ。
ジョイントパッドにより、可変部分の角度を変えられる。パッドを付ければ、より大きいアクションを演出可能だ。

ジョイントパッドにより、可変部分の角度を変えられる。パッドを付ければ、より大きいアクションを演出可能だ。

今回のグラヴィテーター220SFにはチューニングパーツが付属されている。
「パーツは背ビレ、ジョイントパッド、尾ビレの3種類付いています。これでレンジを変えたり、グライド幅を変えたりすることができます」
背中部に取り付けるフィンは、ショートフィン、ロングフィンの2種類が付属。これによりレンジ調整が可能となる。ショートフィンは水面下30cm、ロングフィンは水面下60cmまでのレンジをトレースできる。取り付けなければ表層をトレースことが可能だ。またジョイント部には、ジョイントパッド(ダンパー)が取り付けられるようになっている。リア側にジョイントパッドを取り付けることでボディの屈折角度が抑えられ、よりスライド幅の大きいアクションを演出できるようになるのだ。またアクションのカギとなるテールは専用設計。替えテールも付属されている。
「今回、このグラヴィテーターがシマノのラインナップに入ったことで、隙間なくビッグベイト、ジャイアントベイトの世界が完成したと思います。そして様々な魚に活躍する性能を備えたビッグベイトルアーが完成したと思っています」
100以上のサンプルを試作、試行錯誤を経て完成したグラヴィテーター220SF。飛距離とアクションを両立した、シマノ開発陣、奥田さんの自信作だという。

ジャイアントバス、シーバス、怪魚に効き、さらにオフショアビッグゲームでの可能性も秘めるグラヴィテーター220SF。これからの釣果報告が楽しみだ。

ジャイアントバス、シーバス、怪魚に効き、さらにオフショアビッグゲームでの可能性も秘めるグラヴィテーター220SF。これからの釣果報告が楽しみだ。

プロフィール

奥田 学 (おくだ まなぶ)

[インストラクター]

釣り歴約40年。バスフィッシングでは国内有数のランカーハンターとしてその名を馳せる。持ち味であるストロング、且つ理論的なフィッシングスタイルは世界の怪魚すらも捕らえる。トロフィーフィッシュを追い求め続ける一釣り人として、さまざまなメディアで活躍する生き様はまさに現代の剣豪、武芸者と呼ぶにふさわしい。

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グラヴィテーター 220SF アーマブースト/フラッシュブースト

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