2025/08/19
コラム
大型魚を仕留めるために誕生!シマノ史上最強PEライン・オシア17+ PEを語る×鈴木斉

「オシア17+ PE(オシア・セブンティーンプラスPE)、これはシマノ史上最強のPEラインです」そう語るのは、長年ビッグゲームの最前線でPEラインを使い込んできた鈴木さん。その根拠は、17本の原糸で作られた新構造と、最新素材「SF700」がもたらす圧倒的な耐久性にある。単に強いだけでなく、実釣の中で感じる“扱いやすさ”が、これまでのPEラインとは一線を画すという。では、「オシア17+ PE」は既存のPEラインと比べて、いったいどこがどう違うのか。その核心に迫る。
開発当初、ベースはオシア8だった。

マグロ、GT、ヒラマサと大型魚を狙い続けてきた鈴木斉さん。最強でありつつ使いやすさを備えたPEラインを目指し、「オシア17+ PE」のテストを繰り返してきた。

シマノ史上最強のPEラインとして誕生したオシア17+ PE。
開発の始まりは今から3年前。当時、シマノのPEライン「オシア8」は最強のPEラインとして高い人気を誇っていた。鈴木さんはこのラインについて、「特に不満はありませんでした。このラインを超えるのは難しいだろうと感じていました」と語る。
しかし、これからの釣りを考えるうえで、PEラインの進化は不可欠だと捉えていた。特に重要視したポイントは、「細くて強いこと」と「キャスト後の水切れが良いこと」だった。強さの追求については言うまでもないが、水切れが良くなることで、キャスト後に素早くラインを回収でき、タイムロスなくルアーにアクションを加えることが可能になるという利点がある。
開発初期、ベースとなったのはオシア8だった。「細くて強く、水切れの良いラインを作ろう」という明確なテーマを掲げ、シマノ開発陣との取り組みがスタートした。さまざまなコーティングや編み方を試す中で、8本編みの倍にあたる16本編みもテストされた。この16本編みは滑りが良く、水切れも非常に良好だった。
しかし、実際に使用してみると、一日の釣行を終える頃にはPEラインの“ヨレ”や“毛羽立ち”が目立った。さらに、ラインの“つぶれ”も確認され、不安が残った。
この“つぶれ”を防ぐため、ラインの中心に中芯を1本通す構造を採用したが、実釣テストでは再び毛羽立ちが発生。毛羽立ちは細かな繊維の破断によるもので、強度低下に直結する。開発は難航し、乗り越えるべき大きな課題に突き当たった。

試作のラインは釣行後につぶれ、毛羽立ちが目立った。
新素材イザナスSF700との出会いによって、理想的なPEラインが完成した。

原糸の太さが、従来のイザナスSK60の3倍の太さになったイザナスSF700。
しかし、そんな中で新たな素材が登場するという情報がもたらされた。これをきっかけに、その新素材を活用して「16本編み+中芯1本」のPEラインの開発がスタートした。
同じ号数のPEラインで比較すると、編み数が多くなるほど、1本あたりの原糸は細くなる。一般的には編み数が増えると表面は滑らかになる一方で、耐摩耗性は低下する傾向にある。この課題を解消したのが、イザナスの新規格素材「SF700」だった。従来の原糸の約3倍の太さを持ち、非常に高い耐摩耗性能を誇るこの素材を使用することで、編み数を増やしても毛羽立ちが発生しにくくなったのである。
さらに、「オシア17+ PE」には、オシア8と大きく異なる特徴がある。
「触っていただければすぐに分かるのが、ラインの“張り”の違いです。オシア17+はしっかりとした張りがあるため、ガイド抜けが非常にスムーズ。ガイドにまとわりつくような感覚がなく、スッと抜けていくんです。結果として、飛距離が伸び、キャスト後の糸捌きも格段に向上しています。従来のPEラインとはまったく異なるフィーリングを体感できるはずです。また直線強度も強くなっています」(鈴木さん)

オシア17+の特徴は16本編みに芯材を設けている点。外側は耐熱シリコンコーティングを施し、ほぼ真円になっている。

芯材を設けることにより、つぶれにくく、張りのあるPEラインとなった。

オシア8と比較してみると、耐久性が飛躍的に向上している。
色落ちしにくく、システムも組みやすい。

新しい染色技術を採用し、オシア8よりも色落ちがしにくい。
PEラインの開発において、難しい技術のひとつが「染色」である。ナイロンやフロロカーボンラインとは異なり、PEラインはどうしても色落ちが避けられない素材。しかし、オシア17+では新たな染色技術を採用することで、鮮やかなラインカラーの持続性を大幅に向上させている。また、オシア17+には芯材が設けられており、高い張りと、つぶれにくい構造を実現。真円に近い形状を保つことで、使用感にも大きな違いが生まれている。
この点について、鈴木さんは実体験をこう語る。
「ラインシステムがとにかく組みやすいんです。僕はPRノットを使っているんですが、ボビンを回したときにラインの収まりがピタッと決まる。さらに、PEラインが擦れないように最後に編み込みを入れるんですが、その部分の仕上がりが非常に良くて、ズレにくいのが特徴です。以前のPEラインだと、キャスト後に編み込み部分がズレて、それをいちいち手で直す手間があったんですが、オシア17+ではそれがほとんどありません。使っていて、本当にストレスがないですね」

「とにかくシステムが組みやすい!」と語る鈴木さん(写真は鈴木さんが組んだPRノット)。
PEラインの進化が、夢の大物を現実のものに。

海外釣行で推定264kgのクロマグロをキャッチ&リリース。この釣行ではオシア17+のPE15号テストモデルを使用していた。
なぜ、いまPEラインの性能向上が強く求められているのか?
その背景には、ライン以外のタックルやギアの進化、そして釣りに関する情報の精度向上がある。それにより、モンスタークラスのGTや大型青物、マグロを狙うアングラーが年々増加。近年では100kgクラスのクロマグロのキャッチも現実のものとなり、さらにそれ以上の超大型マグロをターゲットにするアングラーもいる。そのため高性能なラインへのリクエストが寄せられているのだ。大型魚を夢見るアングラーにとって、過酷な状況にも耐える「耐久性の高いPEライン」は、もはや欠かせない存在となっている。
最後に、鈴木さんは力強く語る。
「長期間にわたる実釣テストを繰り返し、ようやく製品化に至った『オシア17+』。これは、間違いなくシマノ史上最強のPEラインだと自信を持って言えます。自分自身も、今後のロケはこのラインしか使わないと決めているので、皆さんにもぜひ安心して、信頼して使ってもらいたい。夢の大物をキャッチする、その日がついに来た、そう思えるラインが完成しました!」

6号、8号、10号、12号、15号の各モデルには、100m×12本連結仕様が用意されている。なかでも15号は、300kgを超える超大物をターゲットにしたヘビーモデルだ。

オフショアのビッグゲームを対象とした300m巻き(10m×5カラー)は、6号、8号、10号、12号をラインナップしている。
関連記事
RELATED COLUMN