2025/11/13
コラム
パターンを突き詰めてヒット連発に導け。川上靖雄が晩秋の宮城県でバチ抜けパターンを攻略する。
バチ抜けパターンのシーバスと言えば、初冬の東京湾をイメージする方も多いだろう。しかし、宮城県の河川では秋にバチ抜けパターンが楽しめる。今回はそんな風変わりなシーバスフィッシングの様子をシマノフィールドテスターの川上靖雄が攻略する様子と共にご紹介したい。
宮城県でも楽しめるバチ抜けパターン。そのハイシーズンは秋に訪れる。
今回、川上さんが釣り場として選んだのは、宮城県石巻市にある北上川だ。季節としては11月の上旬で、本格的な冬を前に朝晩の冷え込みが厳しくなるタイミングである。そして、この時期のこのエリアでは、シーバスを楽しむアングラーにとって、バチ抜けパターンの攻略が楽しい時期でもある。
バチ抜けパターンと言えば、初冬の東京湾をイメージする方も多いかもしれないが、仙台エリアのバチ抜けパターンも負けず劣らずで、連日多くのシーバスアングラーが訪れる人気の釣りだ。
「この釣りはパターンに対してアジャストさせていくのが面白いですね」と川上さんが言うように、簡単そうに見えつつも、ほんの僅かな工夫や違いで釣果が大きく変わってくる。それでは川上さんの釣り方を詳しく見ていこう。
宮城県の北上川では秋にバチパターンが楽しめる。ナイトゲームに合わせて明るい時間帯にタックルの準備を済ませておくとスムーズだ。
バチ抜けパターンに挑む心構え。メインの時間帯はナイトゲーム。
そもそもバチというのは、ゴカイやイソメなどの多毛類の総称だ。この生物達は、普段は地中に身を隠しているが、産卵のタイミングになると海面まで出てきて、多いときには一面がバチで埋め尽くされる。言わずもがな、このバチはシーバスにとって格好のエサとなるので、そのタイミングはまたとない捕食タイムとなるというわけである。
また、このバチの産卵は夜に行われるので、前提としてバチ抜けパターンの攻略はナイトゲームが主体。特に大潮周りの前後はバチの数が多くなりやすいので、釣行前に潮回りを確認するのは必須と言えるだろう。基本的には夕マズメ前の明るい時間に準備を済ませてポイントにエントリーしておき、暗くなってきたら釣行を開始するのがおすすめだ。
そしてこのバチ抜けパターンが楽しめる時間はそう長くはないので、限られた時間でいかに釣果へつなげていくかが大切になっていくというわけである。
周囲が暗くなると海面に出てくるバチ。大潮の前後は特に数が多くなりやすい。
ポイント選びのコツ。同じように見える河岸際で意識したこと。
こうして川上さんは、夕マズメ前に下見を済ませ、気になったポイントにエントリーすることにした。その決め手となったのは小さな岬があったことで、そこには河川の流れが生み出す反転流ができており、そこは自然にバチが溜まりやすいと考えた。潮回りとしては中潮であるが、前日が大潮だったことから、まだまだチャンスはあるはずだと期待を込めて挑んでいく。
「あとは日が暮れてどれだけバチが抜けるかですね」と高ぶる気持ちを落ち着かせて、しばし時合を待つこととなった。やがて日が暮れて薄暗くなってくるといよいよ実釣を開始していく。
潮位は満潮から干潮に向かう下げのタイミングで、これもまたバチ抜けパターンの攻略がやりやすいタイミング。静かな薄暗い夜の河川に空気を切り裂くキャスト音が静かに響き渡った。
今回メインで使用したルアーは「ランザ 145F ジェットブースト」。120mmよりも遠投しやすく、たくさんのバチの中でもアピール力が落ちにくい。
薄暗くなったら実釣スタート。上流側にキャストしてドリフトさせるように流しながら狙っていく川上さん。
サイズアップ版が生み出すメリット。川幅が広い釣り場を攻略するために。
最初に川上さんが選択したルアーは「ランザ 145F ジェットブースト」だ。このルアーはバチ抜け攻略用として専用設計されたルアーで、本物のバチさながらの表層の引き波によるアピールと安定した飛距離が魅力のルアーである。
また145mmサイズは先に発売されていた120mmのサイズアップ版だ。この大型化が生み出すメリットは、さらなる飛距離アップとこの大きさならではの強いアピール力だ。「河川の幅が広い場所では広範囲を探ることも重要です」と川上さん。さらに「バチが多すぎるとルアーの存在感が薄れやすくなるので、そういったときにもこのサイズは使いやすいですね」と145mmサイズの使い所について教えてくれた。
そうこうしているうちに、気づけば足元の周りにバチが泳ぐ姿を確認できるように。ここで、表層で引き波を立てながらルアーを操作していた川上さんから「ヒット!」と声が上がった。幸先よく釣れたのは、40cmクラスのシーバスでどうやら時合に突入した様子。
「期待通りに釣れてくれました。これからさらに釣果を上げていきます」とのことで、まずは1日目を満喫。40cmクラスを中心に2時間ほど釣果を上げて楽しめたところで終了となった。
幸先よくルアーに反応してくれたシーバス。ルアーで引き波を立てながらスローに誘うとバイトしてきた。
狙い方がパターンにハマるとヒットが連発するようになる。その状況を作り出すために突き詰めていくのが面白いと川上さん。
バチが少なくて喰い渋るシーバス。シンキングペンシルでさらに釣果を伸ばす。
迎えた2日目。前日と同様のタイミングでエントリーする川上さん。そして釣行を開始すると、今度は前日よりも少し難しい展開となった。大きな要因としては潮回りが中潮と小さいことで、バチの抜けている数が前日よりも減ってしまったのだ。
さらに表層への反応が予想以上に悪く、なかなか反応が得られない状況。そこで川上さんが選択したのは、ルアーを「トライデント 90S ジェットブースト」にして、少し沈めて活性の低いシーバスにも喰わせやすくするという方法。「ほんの少しレンジが変わるだけですが、これが大きな違いになります」と一工夫入れて狙うことにした。
ポイントは引き続き反転流が絡む場所で表層付近をスローリトリーブで誘うと「喰った!」という声と同時にロッドがひときわ大きく弧を描いた。激しいエラ洗いの音に高ぶる気持ちを落ち着かせて、無事にキャッチしたのは70cmクラスのシーバスだった。
「いいサイズにも出会えて嬉しいですね」と川上さん。こうしてこのサイズを筆頭にバチ抜けパターンを楽しめた釣行となった。
短い時合ではあるものの、それに備えて戦略を練り、狙い所を絞って釣行に挑むのもまたこの釣りならではの楽しさと言えるだろう。まだ挑戦したことのないという方は、ぜひこの機会に秋のバチ抜けパターンを楽しんでみていただきたい。
強い流れの中で育ったシーバスはファイトも一際力強い。最後まで激しく抵抗するシーバスに川上さんも慎重に対処する。
バチの数が少なく喰い渋る状況になったがシンキングペンシルで良型を追加。ルアーローテーションで見事にキャッチした1匹だった。
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