2025/05/12
コラム

サーフにサクラを咲かせましょう

北海道の道南日本海エリアでは3月頃より河川へ遡上するサクラマスが接岸し、全道さらには全国からサクラを咲かせにフリークが集合する。北海道在住のシマノサポートアングラーの矢野元基が3月終盤にサーフからサクラマスを狙った釣行をご紹介。
サクラ前線異常なし
3月初旬にサクラマスを狙って聖地島牧の江ノ島海岸へ足を運んだ。
島牧村はブナの原生林の面積が日本一であり、日本の渚百選の江ノ島海岸など、雄大な自然を次世代に引き継ぐため、自然と人が共生する村づくりを進めている。豊かな森が豊かな海を育み、稚魚放流や保護河川が多いことから海鱒の魚影も随一だ。
この地では海アメダービーという釣り上げたアメマスで競い合う村をあげた大会が1991年から開催されている。大会期間は例年12月から3月頃の4ヶ月間にもなり、アングラーが全国から集う。
全国的に釣り人のマナー問題が話題となり釣り場が閉鎖されていく昨今、島牧村は釣り人に大変寛容な貴重な自治体だ。
そんな島牧村は例年ダービー終盤頃よりサクラマスの釣果が聞こえ始め、さらなる賑わいを見せる。釣り場が混雑する前にサクッと釣っておきたい魂胆だったが、周りを含めサクラマスの開花は確認できなかった。
今期の開花予測は・・・
例年12月末頃より道南や道央の一部で小型の釣果が出始め、道南日本海側では3月頃より大型が接岸する。
3月の水温が6〜7℃前後に下がり切ったタイミングの大潮に凪が重なると一気に岸寄りする感覚があり、今期のまとまった開花は3月下旬の大潮初日と予測。
残念ながら悪天候で中止になってしまったが、道内テレビ局の釣り番組でサクラマス釣りの撮影も翌日に予定していたため、その偵察も兼ねて先日同様、島牧村の江ノ島海岸に釣行することにした。
江ノ島海岸に夜明けと共に到着すると、大潮かつ久々の凪予報とあって、薄暗い時間からずらりと人が並んでいる。この日の潮周りは午前3時が満潮で、9時40分が潮止まり。大潮は個人的に終始魚からの反応があると感じており、期待が高まる。
今回のパターンは??
早速タックルを準備する。私はロッドを愛車の天井に吊るしキャリーするのだが、リールをセッテイングして複数吊るし運転するとリール同士がぶつかるため、リールを外して運搬していた。
新発売のリールガードスピニングハンドル付きタイプを装着するとリールが干渉しても傷つかずにとてもよい。4000番~5000番のリールにスタンドを付けている場合、スタンドを外さずに余裕をもって覆えるMサイズがおすすめ。



使用するタックルはディアルーナS106Mに新型のツインパワーXD C5000XGを組み合わせ、パイロットルアーとしてウインドリップ 85S ジェットブーストのSナギサブルーをチョイス。このナギサブルーの凪とは、ここ江ノ島海岸のブルーをイメージしているそう。


午前5時過ぎに周囲に人が少ないサーフの一角に入り竿を振るが反応がない。ベイトは時折ベタ凪の波打ち際を大群で回遊している鮭稚魚とオキアミのようだ。
イワシやニシンといった大型のベイトを捕食する場合にサクラマスはトップスピードで迫り「勢いよくかつ力強く」ベイトにがっちりと噛みつく。いわゆる、活性が高く「バイトが深い」状態とは真逆のパターンが想定される。
小型のベイトは遊泳力がなく波間を漂っており、後ろからゆっくりと近付き、周囲の水といっしょにハムっと飲み込むように捕食する。「バイトが浅い」シチュエーションとなるだろうが、ヒットに持ち込む難しさから、個人的には好きなパターンだ。

小型ベイトのパターンを攻略する私の手札は三つ。一つ目は、ジグミノーを表層でミディアムからスローでゆっくりと沖から引き、根周りや波打ち際で0.5秒ほどストップを入れ、バイトの間をつくる。
二つ目はミノーを勢いよくジャークし、きっちりとストップを入れてリアクションバイトを誘発すること。
三つ目はミノーをミディアムスピードで引きつつ、ティップをビヨンビヨンとリズミカルに上下させ、適宜ストップを入れる。
共通しているのは、早巻きせずにしっかりとストップを入れること。ウインドリップやサイレントアサシンを用い、あらゆるパターンを試したが周囲を含め反応はなく、眠気に襲われて7時から8時ころまで車で仮眠した。
仮眠し開花を待つ
1時間ほど仮眠し、車で500メートルほど移動して人集りが出来ている一角を目指す。もしかして、反応があったのだろうか。海岸へ降りて話を伺うと、どうやら朝方にサイズは小さいがサクラマスが2本釣れたそう。
アングラーは40人ほど見えるので、打率としては低いがサクラマスがいるという事実に心が躍る。話を伺った方の隣へ入れさせてもらう。
30分ほど反応の無い時間が続いたが、私の後に移動してきたアングラーが一投目か二投目でヒットさせた。シルバー系のミノーを激しくジャークしている。さらにその方がすぐに二本目を釣り上げた。
どうやら、魚はいるがヒットまで持ち込めなかった模様。途端に周囲の皆がミノーのジャークスタイルに切り替えると、ポツポツと釣れ始め1時間半ほどの間に、ミノーで5本ほど上がった。サイズは40~50センチないほどの小型が多い。
どうやら、ジャークには小型のリアクションバイトが多く、いるはずの大物には響いていないのかも。ウインドリップのナギサブルーを振っていたが、ミノーが良さそうだ。
ハムっと開花
時刻は9時30分過ぎ。釣れていた一帯のアングラーが帰ったため、そちらへ移動してサイレントアサシン140Sのキョウリンシルエットブラックをチョイス。
息を潜めているであろう大物へアプローチするため、得意のビヨンビヨンストップ戦法を繰り出す。巻きはハンドルを1秒/1回転ほどのスピードだ。
数投したところで波打ち際の回収寸前のタイミングでサイレントアサシンの背後から近付くサクラマスが見えた。大きい。咄嗟にストップを入れた瞬間、サイレントアサシンのテール部分をそのサクラマスがハムりと咥える。通常、ここでサクラマスは反転するのだが、珍しく反転しなかったため、勢いよくロッドを右側に合わせてギリギリ口先に浅くフッキングした。ベタ凪でクリアな水色だったため、一部始終をはっきりと見ることができた。
口先へテール一本のフッキングかつ、鱗剥がれのない綺麗な魚体を動画に収めておきたいという下心から、願わくば暴れさせることなく静かに釣り上げたい。
ラインテンションを大きく掛けず、魚を走らせないように「そっと波打ち際から足下に誘導し、引き波時にサーフ上に魚を乗せておくイメージ」でランドするとサクラマスは砂上で横にならず下腹を砂に埋めて立ったままの姿勢を維持し、鱗剥がれのない魚体を維持できる。


うまく誘導でき、ファイト時間も10秒ほどでランドできただろうか。
その後も粘るが大型のアメマスにサイレントアサシンのフロントフックのリングを伸ばされたタイミングで風波が強くなり、お昼頃には人気もなくなり終了。

小型が多い中、59センチのグッドプロポーションがサーフに開花し、帰路は黒松内町の「道の駅くろまつない」でお土産の食パンとチーズを購入し、コーヒーをいただきつつ満足の釣行となった。


タックル&装備
ロッド : ディアルーナ S106M
リール : ツインパワーXD C5000XG
ルアー : ウインドリップ 85S ジェットブースト S ナギサブルー
ヒットルアー : エクスセンス サイレントアサシン140S キョウリンシルエットブラック
ライン : ハードブル8+ 1号
リーダー : ナイロン16ポンド
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