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2024/11/15

コラム

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25SSフラッグシップウェーダー奮闘記④ PROシリーズ公開

25SSフラッグシップウェーダー奮闘記④ PROシリーズ公開

アパレル担当のエドワードです。
段々と寒くなってきました。台風や雨が来ると、一気に冷え込みが増しますね。夏が好きな私は、9月中に北海道や東北に釣りに行き、寒さへの耐性を少しずつ取り戻そうと訓練しています。

本題の前に。

さてさて。7月から月1度お届けしている、フラッグシップウェーダー・ウェーディングシューズ(通称:PROウェーダー・ウェーディングシューズ)も早いもので第4回となりました。

25SSフラッグシップウェーダー奮闘記① アングラーにとって“至高の”ウェーダー、ウェーディングシューズとは

25SSフラッグシップウェーダー奮闘記② 生地の選定

25SSフラッグシップウェーダー奮闘記③ ソックスについての考え

前回の記事では、ソックスへのこだわりについて、なぜソックスに並々ならぬ思いをもって開発したのかについてお話ししました。

今回は、アングラーにとっての「快適性」を切り口に、ウェーダーの使いやすさにかかわる部分を中心にお話しします。

やっと公開。PROシリーズ。

まずはPRから。10月8日に発売されますノースアングラーズ様にて、PROシリーズの記事を公開していただきました。

北海道で精力的に活動されている矢野さんが、PROシリーズの特徴や着用した感想を語ってくれています。欧米と日本の、靴文化の違いからくる「履物」に対する想いの違いなど、なるほど、と思う大変面白い記事です。
そちらの記事で、全貌の画像も公開をしていただきました。

ということで、今までの記事ではシルエットや切り抜いた画像中心で掲載していたのですが、今後の記事は積極的に全体の写真を盛り込んでいきます。

ということで、まずは全貌を。

ウェーダー、ウェーディングシューズともに、「Shadow」がデザインのキーワードです。

ウェーダー、ウェーディングシューズともに、「Shadow」がデザインのキーワードです。Shadow=影とイメージしますよね?決してプラスな言葉ではないと最初は感じられるかもしれません。
しかし、「Shadow」には

隠れた存在

という、ウェーダー・ウェーディングシューズのイメージを支える言葉としては、とても魅力的なフレーズに変化します。以前記しましたが、「パッと見たら格好よさに惚れ惚れする、でも釣り中は陰でアングラーを支える」、それがウェーダー、ウェーディングシューズの理想だと私たちは考えています。そんな「隠れた存在」、これがPROシリーズのキーワードです。

また、「Shadow」の意味がもう一つあります。

(色や明るさが〕緩やかに変化する

その言葉通り、カラーを重ねて立体感やテクニカル感をデザインに投影しています。ぱっと見、目立つパーツや華美さはありません。「見せるための装飾」ではなく、機能性をデザインに反映させることを目指したからです。

パターンの切り替え、パーツの形、全てに意味を持たせ、それがエキスパートの没入に繋がることを「価値」として、PROシリーズはデザイン、設計しています。

それでは本題に移りましょう。

アングラーの「快適性」を支える、5つのパーツ

PROウェーダーの特徴となるパーツを下の5つに分け、ここからはお話しします。

PROウェーダーの特徴となるパーツを下の5つに分け、ここからはお話しします。

肌アタリ少なく通気性も良い肩パッド

まずは、肩パッド編。モデルにもよりますが、ウェーダーには衝撃吸収用のために肩メッシュパッドが付いていることもあります。

ベルト単体だと、肩周りにテンションが集中し、圧迫の要因になってしまうからです。個人的な感覚ですが、ベルトに加えて肩パッドがあるかないかで、翌日の肩こりの度合いが全然異なります。

↑既存製品のウェーダーの肩回りです。左が「ハイパーウェーダー」。右が「DS+4ウェーダー」

既存製品のウェーダーの肩回りです。左が「ハイパーウェーダー」。右が「DS+4ウェーダー」

既存製品のウェーダーの写真を確認していただいたうえで、PROウェーダーの解説をします。
PROウェーダーは、表面、裏面それぞれ異なるメッシュを組み合わせた肩パッドを採用しています。

表面のメッシュは、硬質メッシュで通気性とデザイン性の両立を狙いました。

表面のメッシュは、硬質メッシュで通気性とデザイン性の両立を狙いました。シャツなどと合わせて着た時に、格好よく見せたいですからね。このメッシュの艶感の出し方で、ウェーダーの見た目が大きく変わるので、ちょうど良いマット感を出すのにかなり苦労しました。(マットすぎて安く見えてしてしまうのです。。)

表面のメッシュ。通気性、デザイン性重視。

表面のメッシュ。通気性、デザイン性重視。

裏面は、通気性とクッション性を重視した、柔らかめのメッシュを採用。

風通しがよく、体からの蒸気も効率的に排出されることを狙っています。また、肌アタリが良いので、肩に来る重みを分散させることができています。

裏面のメッシュ。通気性、クッション性重視。

裏面のメッシュ。通気性、クッション性重視。

この異なる2種のメッシュを採用することで、アングラーの快適性を大きく向上させることができています。

しかし、それでも肩回りはウェーダーを着るうえでストレスのたまりやすい部位ではあります。一番は、「樹脂パーツの圧迫」。

ウェーダーは、およそ1サイズで10cmの身長範囲をカバーできるよう設計しています。例えば、Mサイズは165-175cm、Lサイズは170-180cmの方向け。1サイズ内でもいろいろな体型の方が着用しますが、それを肩ベルトで身長に応じた調整が必要になります。

そうなると、通常のウェーダーで必要になってくるのが「長さ調整用のアジャスターパーツ」と「脱着用のバックルパーツ」の2つの樹脂パーツです。

この樹脂が体の一部分に集中して長時間当たり続けることで、痛みに繋がっていきます。

この樹脂が体の一部分に集中して長時間当たり続けることで、痛みに繋がっていきます。特に薄着の時や鎖骨周りに硬い樹脂が当たるときは、ダイレクトに痛みが来ます。

ただ、これらのパーツ、調整・脱着という、ウェーダーには欠かせない動きを支えるための重要なパーツです。どうしても採用せざるを得なく、今までのウェーダーは、「いかに薄いパーツを採用するか」を主眼に製品開発を進めていました。

しかしPROウェーダーでは、肩ベルトの長さ調整方法を変更することで、肩周りに樹脂パーツを持ってこない工夫をしました。まずは、肩回りの画像を見てください。

肩回りに、樹脂パーツがありませんよね。肩パッドとベルトのみで、硬いパーツを肩や鎖骨周りに持ってきていません。

肩回りに、樹脂パーツがありませんよね。肩パッドとベルトのみで、硬いパーツを肩や鎖骨周りに持ってきていません。

それでは、脱着やサイズ調整をどのようにするのか?

答えは、次の特徴「可動式肩ベルト」になります。

答えは、次の特徴「可動式肩ベルト」になります。

可動式肩ベルトで上げ下げが楽に

可動式肩ベルトで上げ下げが楽に

可動式肩ベルトとは?

キーとなるのは、このチェストハイの上部分に取り付けた樹脂パーツです。

この1つのパーツで、脱着・サイズ調整どちらもできる優れたシステムを採用しました。システムのポイントは、この樹脂パーツ(バックル)と、そこに通ったベルトです。

では、着る時の手順を、写真で説明しますね。

脱ぎ履きの動きがかなり楽になりますし、サイズ調整も脱着の際に簡単にできてしまうのです。

脱ぎ履きの動きがかなり楽になりますし、サイズ調整も脱着の際に簡単にできてしまうのです。

もしかしたら、この時点でカンの良い方は気付いているかもしれません。「ファスナーが付いていて、内側にマチがない!」と。

ということで、次の「快適性」の特徴へ。

もしかしたら、この時点でカンの良い方は気付いているかもしれません。「ファスナーが付いていて、内側にマチがない!」と。

YKK製防水センターファスナー

これを待っていた!という方も多いでしょう。
フロントのファスナーは、YKK製の「アクアシールファスナー」という、防水のものを採用しました。ビスロンのファスナーにも関わらず、高い技術で隙間を完全に無くしている構造になっています。

止水ではありません、防水です。

「防水」の言葉通り、ファスナー部分にまで漬かっても、水が入ってこないのです。

ここまで漬かることはないかもしれませんが、水圧も関係なく水の侵入を許しません。ウェーダーのテストにあたって、シーバスなどのソルトの釣りでもウェーディングをしていますが、浸水知らずです。

ここまで漬かることはないかもしれませんが、水圧も関係なく水の侵入を許しません。ウェーダーのテストにあたって、シーバスなどのソルトの釣りでもウェーディングをしていますが、浸水知らずです。

それでは、この防水ファスナーを採用したことによるメリットは何か。大きくは2つです。

①休憩や小用がしやすい
②ウェーダー内部の空気の入れ替えができる

まず①ですが、

この写真が、宣伝担当「いしどじょう」氏と一緒に釣りをした時の一コマです。

この写真が、宣伝担当「いしどじょう」氏と一緒に釣りをした時の一コマです。

写真をよく見てください。道具を横に置いて、前のファスナーを完全に開いていますよね。束の間のコーヒー休憩、食事の時間に、前ファスナーを開いて座ると、パッと解放された気分になれます。

また、男性にとってうれしいのが、小用(トイレ)のしやすさ。今まで、釣行中にトイレがしたくなっても、ギリギリまで我慢する、という場面が多かったと思います。その理由の一つが、「面倒だから」です。リュックを外し、ベストを脱ぎ、レインジャケットを脱ぎ、ウェーダーを下げ、、、と様々な動作が小用の際には起こっていました。

また、用を足した後も、肩ベルトのバックルが背中側に落ち、筋肉に悲鳴を上げさせながらバックルを探す、というまた試練が待っていたと思います。

しかし、このウェーダー、既出の通り、取り外しバックルがなくベルトの調整バックルのみなのです。ですので、

【ベルトを外す→調整バックルを外す→ベルトを下方向に下げる→ファスナーを下げる】この動きだけで小用ができます。

そのため、リュック、レイン、ベストなど上半身で着用しているものを脱ぐことなく、小用ができるようになります。

お恥ずかしい私事の話ですが、30になり異常にトイレが近くなりました。ただ特に寒い時期、着ている上半身の防寒を脱ぎ、トイレをするのは辛いものがありました。どうにかして、釣りをする際のトイレのストレスを軽減したい、そんな事を考えた中で採用した、調整バックル+防水ファスナーのシステムです。

そして「②ウェーダー内部の空気の入れ替えができる」について。

そして「②ウェーダー内部の空気の入れ替えができる」について。

解禁してすぐくらいの時期、防寒をたくさん着込んでエントリーしている中で、ポイントに入るまでにたくさん汗をかいてしまう、という事はよくある話かと思います。

ただ、川に入ると寒いので着込むしかないですよね。透湿のあるウェーダーといえども、熱はこもります。そんな時、フロントファスナーを開けながら歩くと、驚くほど内外の空気が入れ替えられ、かなり快適になります。

正直これは構想段階では意識していなかったことになります。(小用、休憩を主眼において採用した構造ですので。) しかし、いざ製品が出来上がってテストしてみると、これがとても効果的なことがわかりました。

それがわかってから、下の写真のように、ファスナー上部にタブとドットボタンを取り付けました。これがあることで、ファスナーは完全に開いても、ドットボタンで留めていることでウェーダーが開くことなく歩くことができるようになりました。

仮止めの使い方もできる用途として、タブを設けました。デザイン的にも、ぎゅっと引き締めるマットブラックカラーです。
仮止めの使い方もできる用途として、タブを設けました。デザイン的にも、ぎゅっと引き締めるマットブラックカラーです。

長くなりました。次の「快適性」に移りましょう。

長くなりました。次の「快適性」に移りましょう。

適度な伸びのあるベルト

前の記事で語りましたが、PROウェーダーの生地の一番の特徴は、「ストレッチ性」。

ベルトもしっかりとしたものを開発しなくてはなりません。しゃがんだ時に、生地は伸びるのにベルトの締め付け感があったら嫌ですよね。

ですので、生地よりは若干の伸びがあり、通常時はしっかりとベルトとしてズレず、お腹周りをホールドする絶妙なバランス感を持った、ラバーのベルトを開発しました。

ペットボトルをはじめ、プライヤーホルダー、熊スプレーなど様々なものをベルトで留めると思いますが、ゴムといえどもしっかりと強度のあるものなので、それで劣化したり、変なテンションがかかったりということは起こらないようにしています。

様々な候補から、絶妙な伸び感を持ったものを選びました。

様々な候補から、絶妙な伸び感を持ったものを選びました。

そして、最後の「快適性」 ポケットについてお話しします。

そして、最後の「快適性」 ポケットについてお話しします。

内側、外側に6つのポケット

最近は、ベストを着ずに、最低限の収納で釣行をするアングラーも増えています。

そんな時にうれしいのが、今回の6つのポケット。3つの役割を持ったポケットを左右対称に配置しています。

下の図で説明します。

そんな時にうれしいのが、今回の6つのポケット。3つの役割を持ったポケットを左右対称に配置しています。

全て、小型のルアーケースや、大型スマートフォンが入るサイズ感で設計しています。

ハンドウォーマーポケットは、内側がフリース素材で作られているため、寒いときに手を温めながらライズ待ちや、渓相の確認ができるという、ちょっとした気の利いたポイントも。

また、上の写真にあるように、インナーポケットが防水ファスナーのお陰でアクセスしやすいです。車にこだわるトラウトアングラーだと、キーが差し込み式の愛車も多いのではないでしょうか。

そんな時、ウェーダーをずり下ろしてインナーポケットのキーを取り出していたかもしれませんが、PROウェーダーだとさっと取り出せるのが意外に便利な構造です。

余談ですが、以前シマノのトップスに採用されていたランクルも、実際のシマノ社員の車。クルマにこだわるトラウトアングラー、多いですよね。

余談ですが、以前シマノのトップスに採用されていたランクルも、実際のシマノ社員の車。クルマにこだわるトラウトアングラー、多いですよね。

さまざまなこだわりが、アングラーの快適性を叶える

いかがでしょうか。少しのこだわりを積み重ねることで、これまでにない快適性をもったウェーダーになったと、チーム一同、自信を持っています。

自然との触れ合いの中で、ウェーダー・ウェーディングシューズは、そっと寄り添えるような相棒になれるはずです。

特に、調整バックルと防水ファスナーのもたらすメリットについて熱く語りました。

これはすべてのトラウトアングラーに体感してほしい最高の機能だと思っています。
ぜひ、試着でもよいので試してみてくださいね。もちろん、全国各地のフィッシングショーで持ち込みますよ!

タックル&装備

【Photo】
カメラ:α7Ⅲ(SONY)/iPhone15pro MAX(Apple)
レンズ:GM24mmF1.4 (SONY)

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