2024/10/30
コラム
白渓に白ヤマトを求めて
いつもTROUT MEETINGへお立ち寄り下さりありがとうございます。
カーディフ宣伝担当のいしどじょうです。
今回は憧れの白いヤマトイワナを探した1泊2日の源流泊釣行を綴ります。
そして今回の釣行では2024年秋に発売予定のロッド、カーディフストリームプレミアムと2025年春に発売予定のルアー、リフレイン42Sも使い込んできましたのでそのレビューも一緒にお届けします。
いつか釣りたかった白ヤマト。
そもそも勝手に「白ヤマト」と呼称しているが単なるヤマトイワナ。しかし、その生息環境によって体色がホワイト~クリーム色になり、透き通った色合いからどこか上品な印象を与える。Instagramや雑誌で見かけた時に、いつも自分が釣っている茶褐色系のヤマトイワナと全く雰囲気が異なり、美しい渓相も相まって気付いたら憧れを抱いていた。
そんな白ヤマトを釣るのに知り合いに情報を聞くようじゃ釣りの醍醐味が台無し。釣りたい魚に対して自分が立てた仮説を元に一つ一つ検証して潰していきながら辿り着くのが面白い。情報であふれかえった現代だが必要最低限のヒントを元に釣りを楽しむのが良いと思う。
白ヤマトについてのヒントとして、とある雑誌で「生息環境が花崗岩(かこうがん)質でそうした場所にカモフラージュするために体色が白っぽくなる」とあった。となれば、「花崗岩の分布図と河川図を重ね合わせて、ヤマトイワナが生息するであろう標高1,000m以上で場所を絞っていこう」と考えた。
便利な世の中で検索すればすぐに長野県の花崗岩の分布図が出てきた。長野県環境保全研究所から引用させて頂く。ちなみに花崗岩は中学校で習った、深成岩の一種で御影石とも呼ばれているもの。主成分は石英、長石、黒雲母など。懐かしい(笑)
PDFの詳細はこちら
このマップでKPやPGp、Npとなっているエリアが主に花崗岩で形成された場所。そしてこの場所に重なる河川名をピックアップし、更に等高線を見ながら標高1,000m以上で絞っていった。そして今回は源流泊をしたかったので川沿いに車道や林道が無い場所、かつ距離的に入渓して日帰りでは戻れない場所に更に絞った。
いざエントリー。
今回は同期と2人で1泊2日の源流泊釣行。今回の行程は、まず車止めから未舗装の砂利道をグラベルロードバイクで4.5kmほど上がり、道が無くなった所で沢にイン。バイクを置いて沢を約1.8km上って枝沢との合流点で勾配が比較的緩やかなテント場所候補地へ向かう。
最初の4.5kmがとにかくハード…。荷物を15kg近く背負って勾配のキツい坂道を上がるのは素人には不可能。すぐにバイクから降りて、押しながら歩くが歩き続けることができない(笑) 完全に積載量がキャパオーバー。4.5kmを上るのに3時間もかかってしまった。もう2人とも汗だく。そしてバイクを置いて次は荷物を背負って沢伝いに1.8km。これまた足場が悪いのでなかなか身体に来る…。しかし予想通りの美しい花崗岩の白渓に感動。普段行っているフィールドとは全く雰囲気が異なり、青い空と豊かな深緑の広葉樹林、そして花崗岩の砂岩のコントラストが爽やかで暑さを吹き飛ばす。
そして10時頃にスタートして目的地に着いたのは15時過ぎ。すぐにテントを張って少ない時間を使って釣りをすることに。
夕刻に出逢えた白ヤマト。
私はルアーで、同期はフライでアプローチ。今回のタックルはロッドは2024年新製品、ストリームプレミアムS48UL/G-4、リールは19ヴァンキッシュC2000SHG、ルアーは2025年新製品、リフレイン42S。
水深のある大場所が見え、そこで2人で集中。辺りは暗くなりそろそろ戻って夕食の準備をしなければならない…。リフレイン42Sをキャストしリフト&フォールをさせるとフォールでバイト。そして足元に寄って来た魚体を見て思わず叫んだ。そう、釣りたかった白渓の白ヤマトだ。ランディングして身体の隅々までじっくり観察しながらシャッターを切った。
白いというか青白さも感じるボディと鮮やかなオレンジ色の腹。胸鰭や腹鰭はこれまた美しく白く縁取られ、薄紫色のチークに群青色のアイシャドウが美しい。何とも筆舌に尽くし難い美しさで、軽々しいが純粋に自然とは本当に偉大だと思った。
この1尾でこの日は大満足。自分が予測した通りに狙いの魚が釣れたことへの達成感と魚の美しさに全てが報われた瞬間だった。
夜は予報に無かった豪雨。
不安な一夜を過ごす。
夜は下界で購入した食材でちょっと贅沢。和牛のステーキ肉を焼き、米を炊き、インスタントの味噌汁を入れた。そして川の水で素麵を湯がいて(おススメしません…)胃の中に流し込んだ。
私は酒が一切飲めないので川の水で冷やしておいたコーラを、同期は缶ビールを飲んで大満足。周りに落ちている枝をかき集めて焚火をし、星空の下、川のせせらぎを聴きながら同期と語らう。1日の疲れを癒すには十分だった。
そして21時にはそれぞれテントに潜り込み、自然のBGMを聴きながら気付いたら眠りに落ちていた。
そこから約1時間後。遠雷の音ではっと目が覚めた。
天気予報で雨や雷の予報は無かったが、ここは標高1,500mを越えた高山地帯。天気予報なんてあてにならないようだ。その時点では小雨が降る程度で、あの雷雲がこっちに来たら嫌だな~程度に考え、湿度が増す中、再度眠りについた。
しかし、次に目が覚めた時には周辺は豪雨。テントを大粒の雨が叩きつける音で目が覚め、鉄砲水が頭をよぎりヘッドライトで川の方を照らしたがまだ増水はしていない様子。テン場は川から20mほど離れやや高台になっている場所を選んだので、よっぽど増水しないと危険な目には合わないだろうと思っていた。だが雨は弱まることなく数十ミリ規模の雨がそこから3時間ほど降り続いた。
30分毎にテントから顔を出して川の水位を確認しながら安全を確保した。そして日をまたぐ頃、0時過ぎにようやく雨が収まってきたので湿度100%に近い中、ようやく眠りについた。
翌朝は快晴。いざ最上流部へ。
翌朝、目覚めたのは7時頃。アラームもかけずにのんびりと起床しテントを出た。
昨晩の大雨が嘘のような快晴だったが川を見てさらに驚いた。なんと全く水位が変わらず、一切濁ってすらいなかった…。森の吸水力に驚かされると同時に釣りができることへ安堵した。
朝はお湯を沸かしてレトルトのトマトチーズリゾットを食べ、食後にホットコーヒーでほっと一息。ゆっくりと釣りの準備をしながらテントや寝袋なども片付けた。
そしてようやく実釣開始。ここからまだ最上流部までは約2kmある。帰路のことを考えると実釣時間は4時間ほど、良さそうな場所に絞ってテンポ良く釣り上がることにした。
前日の夕方に釣りをした場所までさっさと上り、そこから竿を出した。もちろん先行者の気配は無く、昨晩の雨で魚たちの活性も上がっているのでは?と勝手に期待が膨らむ。
フライの同期に先行してもらい、その後をルアーで狙っていく。そして少し先で同期が屈んで写真を撮っていたので、「お、釣れたな」と思い近付くと良型のヤマトイワナを朝一から釣りあげていた。これがドライフライで釣れるんだから最高でしょ!
私もフライでは狙いにくいような場所を中心にリフレイン42Sで丁寧に狙っていった。このリフレイン42S、製品の詳細はまた企画担当や開発担当から紹介してもらうが、こうした小場所でイワナを狙うのにとにかくピッタリ。リフレインの名の通り、シリーズを通してレスポンスが良く、アピールする距離が短いような小場所でも移動距離の短い平打ちでしっかりアピールしてくれる。
ぽちゃっと着水でイワナの目線を上げ、水平シミーフォールでしっかり喰わせの間を演出する。リアフックがオフセット仕様になっているためフックの可動域があえて制御され、イワナのような下から喰い上げてくる魚のフッキング率を高めてくれている。この設計とサイズ感がこういった小場所のイワナ釣りにぴったりというわけで、使っていてすごく気持ち良い。
そして今回のリフレイン42Sはシングルバーブレスフック(#12×2)を標準搭載。魚へのダメージを最低限に抑え、この釣りをこれからも楽しませてもらうための、せめてもの配慮。
細かなスペックはまた後ほど。とにかく2025年もリフレインシリーズに遊び心があり、操作するのが楽しいルアーが登場するので期待して欲しいです!
尺には届かなかったが25cm~28cmほどの良型がとにかくよく釣れてくれた。白渓と魚の美しさに癒されながら気付くと標高は1,759mまで来ていた。川幅も狭くなり魚のサイズも落ちてきたので帰路のことも考えて川を下ることにした。
帰りは川沿いの林道を通るために尾根を1つ越え、もう一方の沢から上がった。行きはあんなにしんどくて途方もなく感じた行程を1時間もかからずに下って、あっという間にバイクを置いた場所まで戻って来た。
昨晩の雨で濡れたバイクを起こし、行きは3時間近くかかった道をたった30分弱で下ってしまった(笑) あの行きの苦労は何だったのだろう…。私はグラベルロードバイクなのであまりの悪路はブレーキを踏みながらゆっくり下ったが、同期はマウンテンバイクで颯爽と下って行った。圧倒的安定感とサスペンションによる快適性…マウンテンバイクが欲しくなった帰路だった。
せっかく使うならこだわりの詰まった道具を使いたい。
そんな思いを具現化した新たなロッド。
2024年の新製品、ストリームプレミアムについてはデザイン担当のSpeyside氏が語ってくれているが、昨今のカーディフロッドには珍しいくらい細部の素材使いにこだわった一品だ。昔のカーディフシリーズが好きだった人はもちろん、こだわりの強いトラウティストの皆さまに響くと思います。
私が特に好きなのは黒色を基調とし、渓に馴染み主役の美しい鱒を邪魔しない(引き立てる)、良い意味でシンプルなブランクスカラーだ。製品ロゴ周辺はブラックからシルバーにグラデーションがかかり、トラウトロッドにしては斬新な配色だと思う。
そして今回はそんなストリームプレミアムの4ピースのグラスコンポジットモデルを使用した。源流遡行で安全面を考慮して両手を空けるためにも4ピース仕様は必須。そして軽量ルアーをピンポイントにフリップキャストしやすくなる、グラスコンポジットの柔軟な調子。今回のような源流域のイワナ釣りにはぴったりの仕様で、キャストのしやすさ、そして魚を掛けてからのバラしにくさは素晴らしかった。
今シーズンも残りわずか。今年も悔いが残らぬよう、日本の美しい渓を目いっぱい満喫したい。と言いながらも悔いが残るのが釣り人の常。そうして毎回、来シーズンに課題を持ち越すことで毎シーズン飽きずに楽しめるのが釣りの良い所ですね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
タックル&装備
<使用タックル>
ロッド:24ストリームプレミアム S48UL/G-4
リール:19ヴァンキッシュC2000SHG
ルアー:25リフレイン42S
メインライン:ハードブル8+ 0.6号
ショックリーダー:フロロカーボン6lb
シューズ:ウェーディングシューズ カットピンフェルト
その他 : シマノスタンダードゲーター
カメラ:α6400(SONY)
レンズ:19mm F2.8 DN (SIGMA)
※一部写真はiPhone15Proを使用
この記事に関連するタグ一覧
関連記事
RELATED COLUMN