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奥日光湯川のマス釣り浪漫

こんにちは、シマノサポートアングラーのショータジェンキンスです。早いもので、大雪で始まった中禅寺湖の解禁から2ヶ月か断ち、すっかり新緑のシーズンになった奥日光。毎年楽しみにしている湯川のブルックトラウト(カワマス)の釣りが始まります。

奥日光湯川、マス釣りの聖地

湯川は戦場ヶ原のさらに上に位置する湯の湖から流れ出し、中禅寺湖に注ぐインレットの中で一番大きな河川です。1902年(明治35年)に北米から初めて移入されて依頼、今も自然繁殖を続けるブルックトラウト達を釣ることができ、マス達と共に西洋式のフライフィッシングが初めて伝えられた場所としても聖地と呼ばれる場所。決して規模の大きな釣り場ではありませんが、自分にとっては1匹に出会える楽しさを毎年再確認させてくれる大切なフィールドです。

湯川の流れから中禅寺湖を望む竜頭の滝上

和名はカワマスですが、国によってはブルックチャーとも呼ばれる北米のイワナの仲間であるブルックトラウト。いかにも海外の魚らしい派手な体色でありながら、渓流魚の持つ可憐さやある種の獰猛さの共存する魅力的なターゲットです。

今シーズン初釣行

いつもはGWぐらいに訪れるのですが、今年は色々と予定が詰まっていて6月の中旬になってしまった2025年の湯川初釣行。ハイキングも良いシーズンを迎え、戦場ヶ原の遊歩道や近隣のお店もたくさんの人で賑わっていました。赤沼茶屋で友人とのんびり集合し、釣り券を買って駐車場へ。湯川の上流にある湯滝の駐車場からのエントリーが人気ですが、この日は人の少ない中流・下流域からスタート。

別に大雨が降ったような情報もありませんでしたが、今までで一番ぐらいの増水と、濁りというか小さなゴミがたくさん舞っているような川のコンディションで、渓流でイワナをやるなら喜んでしまうような雰囲気。期待に胸を膨らませながら実績のあるポイントや深みを撃っていきます。

ブルックトラウト無事解禁

予想というか期待に反し、この日のブルックは超ご機嫌ななめ(笑)場所によっては小さな虫にライズしている魚もいましたが、序盤はほとんどチェイスもなくボトムや流心をしつこくやってようやく友人がキャッチ。実はまだブルックを釣ったことがなかったことを知り急遽強引に釣行を決めたこともあり、ひとまず安心の1匹。紫の強い綺麗な魚でした。

程なくして自分も今季初ブルックに会うことができました。ミノーよりも虫を意識したプラグやスプーンでの反応が明らかに良かったのも興味深かったです。

小型ながら1匹目と対照的なオレンジの強い個体

湯川のブルックは通常の渓流の釣りの要素以上に、障害物周りをプレッシャーをかけすぎないようにネチネチと攻めるロックフィッシュのような意識があると結果が出やすいと思います。ミノーだけではなく小さなスプーンやボトム用のプラグが必携で、年々土砂が堆積しポイントが埋まっていき魚の付き場がより局所的になっていっている中で、魚を探す以上にいるであろう魚に「口を使わせる釣り」が多くなってきました。

少しサイズアップ。障害物周りをしつこく攻めて捻り出す

人馴れしていると言うと語弊があるかもしれませんが、湯川の面白いところは先行者が歩いた後でも平気でルアーに食いついてくる魚がいたり、観光客が大勢で歩くすぐ横で魚がライズしていたり、人と自然の距離が近いところ。丁寧なアプローチは欠かせませんが、人がいるからとあきらめてしまう必要は全くありません。飽きない程度に釣れ、午前中だけで6匹のブルックに遊んでもらい満足してしまって納竿。

明治から続くマス釣りの物語

湯川自体はそんなに長い川ではありませんが、下流・中流・上流とフィールドの雰囲気が違っていて、魚の付き場や攻め方もそれぞれの場所を1日で周りきることができるのも魅力です。湿原を蛇行しながらゆったりと流れる川が徐々に勢いを増し、後半は多少高低差のある岩盤エリアが増えてくる。やはり魚も棲んでいる場所によって特徴が異なり、泥底でストラクチャーべったりな魚の色が濃くてお腹や鰭のオレンジが鮮やかな個体が釣れると個人的には「今年も会えたなぁ」って気持ちになります。

ブッシュ脇から飛び出してきた1匹。落下する昆虫を待っていた感じ

上流の湯の湖から落ちてくる魚はいると思いますが、湯川へのブルックの放流は現在されていません。少し浪漫的に語ると、明治時代から世代を紡ぎ続けている貴重なマス達なのです。魚が居なかった場所に、奥日光に故郷の懐かしさを感じて欧米から魚を持ってきたという部分だけ切り取ると「時代だなぁ」と思いますし、外来魚の話題が多くなった昨今では彼らブルック達にとっても決して生きやすい時代ではないかもしれません。

ゆったりと流れる中流域。100年前はどんな流れだったんだろう

それでも今を生きる自分にとって、ここへ伝えられた釣りという文化ごとなくなってしまうのは悲しいし、こんなに美しい魚に毎年会える喜びを噛みしめています。歳なんでしょうか(笑)ブルックトラウトという魚自体は管理釣り場でもお馴染みのターゲットですが、自然の中に暮らす彼らの姿はまた別物。一度その美しい姿を見るために是非湯川へ足を運んでみてください。

終わりに

今回は初めてカーディフストリームプレミアム(S54SUL)で湯川を釣り歩いてみましたが、取り回しもよく、魚を掛けた後のやりとりもしっかりとティップが追従しているように感じました。投げやすさは個人差が大きいかもしれませんが、特にドリフト気味にルアーを流しているときのバイトを取りやすかったのが印象的でした。

これぐらいになると風格も十分!

小場所が多いとはいえ時に40cmクラスの「大カワマス」も棲む湯川。湯川だけじゃなく渓流シーズンもまだまだ始まったばかりなので、そんなドラマ魚達としっかりと対峙させてあげたいですね。

そして湯川と言えば、自分にとってDSストレッチウェーダーの動画の撮影も行った場所。今ではすっかり欠かすことのできない相棒に育ったウェーダーですが、あれからもうすぐ1年かぁと思うと本当に時間の流れの速さを実感します。
今年も悔いのないよう目一杯釣りに行こう。
皆様にとっても良いシーズンになりますように。

早めに上がり、いろは坂を下ったところにある「れんがya」の焼きそばで〆

TACKLE & EQUIPMENT タックル&装備

カメラ:GR3(RICOH)
※一部写真はiPhone使用

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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