2023/03/03
コラム
シマノ NEW『鱗海マスターチューン』
2018年に登場し、多くのチヌフカセファンの支持を得た、『鱗海マスターチューン』がフルモデルチェンジ! 「まさにシマノスタンダードのチヌフカセロッドだね!」とシマノ磯アドバイザーの大知昭さん。ここでは徹底解説&実釣インプレッションをお届けします。
『鱗海マスターチューン』独自のラインナップ
今回の『鱗海マスターチューン』(以下:『マスターチューン』)は8機種をラインナップ。前モデルと同じ数ではあるが、その内容は大きく変わったと大知さん。
「目を引くのは、00号、0.4号がラインナップ入りしたことですね。00号は『鱗海スペシャル』だけ、0.4号は『リンカイアートレータ』のみのラインナップでした。それが新たに加わりました。そして0.8号。これは『マスターチューン』だけの号数なんです。それらがすべて含まれたことで、これまで以上にスタンダードモデルといえるラインナップになりましたね」
もちろん性能面も大きく向上。一番は「コアブランクス」の採用。よりねじれに強く、粘り強くなった。そのほかにも「パームフィットシート Ⅱ」「エラストマーグリップ」など最新技術がふんだんに採用されている。
「スタンダードモデルにここまで盛り込むか!? という印象。そのおかげで00号や0.4号といった号数も実現できたわけだけどね。00号と0.4号を使ってみたけど、廉価版というイメージではなく、それぞれが独立した釣趣になっているよ」
それでは、全8機種を大知さんが解説してくれたので紹介していこう!
必見!
全8機種曲げ比べ
大知さんにご協力いただき、『鱗海マスターチューン』8機種すべての曲がり具合をチェック。
8機種ともリールは『BB-Xテクニウム』2500DXG S RIGHTを使い、ドラグはフルロック。道糸は『LIMITED PRO PEG5+サスペンド』0.8号を使用した。水を満タンにした500mlのペットボトルをタラシがない状態で地面から浮かせるまで竿を曲げ込んでもらった。
00号 530 Sensible finesse(センシブルフィネス)
00号は『鱗海スペシャル』にだけラインナップされていた号数だね。極軟調子で細ハリスを使う釣りならこの1本かな。穂先から胴までがしなやかに曲がるので、仕掛けを沈めて張り気味にしてチヌにサシエを食い込ませるときにスムーズに胴まで曲がり、乗せアワセが心地よくできる。曲がりの美しさと粘り強さも使っていて気持ちいいね。実際にチヌも掛けてみたけど、00号とは思えない強さを感じた。新時代の00号といったところかな。
0号 530 Flex(フレックス)
鱗海シリーズを象徴するのが0号。軟らかい練りエサを遠投するときも、0号の軟調子のおかげでハリから外れることなく、しっかり遠くへ飛ばすことができる。「スパイラルXコア」のおかげでより強さを感じられるようになったね。チヌを掛けたときもきれいな曲がりと粘り強さがチヌを怒らせることなく、ハリスをいたわりながらじわじわと浮かせてくれる。鱗海シリーズのほかの0号とはまた違う調子。0号竿ファン、鱗海ファンにはぜひ触れてみてほしいね。
0.4号 530 Light versatile(ライトバーサタイル)
個人的には8本の中で一番注目の1本だね。『リンカイアートレータ』にだけラインナップされていた0.4号をスタンダードモデルではどういうふうに仕上げてくるのかと思ったら、繊細さと、使いやすさとパワー、それぞれが絶妙なバランスに仕上がっていた。遠投もこなせるし、魚が走ったときに止めにいくパワーも持たせてある。8本の中でどれを買えばいい? という人はこれをおすすめしたい。
0.6号 500 Light moment(ライトモーメント)
汎用性が高い0.6号には500と530がラインナップされている。自分も500なら0.6号がもっともバランスがとれていると思し、500は軽い「マスターチューン」がさらに軽く感じるね。軽快かつ繊細な操作ができる。1700番クラスのコンパクトレバーブレーキリールと組み合わせると、ここ一番、精密な釣りが必要というときに活躍してくれるし、長時間の釣りでも疲れ知らずで楽しめるよ。
0.6号 530 Versatile(バーサタイル)
8本の中ではもっとも汎用性が高い中核モデルだね。曲がりと粘り強さのバランスがよく、オープンエリアであれば大型チヌとも戦える。つまり海域を選ばず、どこでも使える1本になってくれるし、持っていると安心感が得られる。それは全国各地で楽しめるチヌ釣りでは大切なことだと思う。スタンダードモデルのど真ん中の1本だね。
0.8号 530 Finesse & speed(フィネスアンドスピード)
これは「マスターチューン」だけの号数。言ってみればもっとも「マスターチューン」らしさが味わえる1本。0.8号とは思えないしなやかな曲がり方をするから遠投性がすごく高いし、重めのウキを的確に投げ込めるね。そして魚を掛けたときはスピーディーに浮かせることができる。使ってみるとさすが0.8号と思わせてくれる。実用性に富むというか、スタンダードを突き詰めるとこうなったという1本だね。
1号 530 Power versatile(パワーバーサタイル)
竿だけ振ってみると、曲がるんだけどバネのような力強さを感じる。その強さによって、シモリや藻が多い場所で楽にやり取りでき、深場から容易に魚を引き上げられるので、有利にファイトを展開できる。パワーが高まるとハリスの結束部切れが頭をよぎるけど、曲げ込んだときの粘りはそれを感じさせないね。かなり大きなチヌを引き止められる1本。
1.2号 530 Core power(コアパワー)
境界があるとか、シモリだらけとか限られた範囲でファイトしないといけない、大型チヌ狙いのための1本。本当に1.2号なのか? と思わせるパワー。体感的にはチヌ竿の1.5号クラス。外洋の大型チヌ狙いで不意に食ってくる40cm級のグレや大型マダイにも対応できるし、本流からチヌを引きずり出せるだろうね。これで今年は御荘湾の巨チヌに挑戦してみたいな。
20gのウキも難なくキャスト!
8本の竿で20gの円錐ウキをフルキャストしてもらった。
「どのモデルも、問題なく振り切れる。遠投性を優先させるなら胴まで軽い力で曲げ込める0号から0.6号がおすすめだね。コントロール重視なら0.8号以上。00号での遠投は慣れないうちはちょっと難しく感じるかもしれないけど、30m以内の釣りならなんら問題ないよ」
00号
0.4号
0.8号
3機種実釣インプレッション!
実釣は1日半かけて行うことに。初日は4時間しかないので0.4号のみを使用した。ニューモデルで大知さんが一番使ってみたいと思っていた号数だという。
釣り場は広島県大崎上島にある、東向きの地磯で、目の前には沖(北方向)へ左流れの潮がけっこうなスピードで流れている。水深は30m沖で5m前後。その沖はなだらかに深くなっていく程度だという。
大知さんはウキを少し沈めた状態にして全遊動仕掛けでサシエのオキアミを底へと送り込む。潮の流れが速いので適度に仕掛けを止めて、サシエをウキより先行させて底を転がすように流してチヌをヒットさせた。
「こんな流れだから0.4号は竿が潮に負けてもたれるかと思ったけど、そんなことはなかった。なにより流れの中でチヌを引き寄せてこれるパワーにビックリ。0.4号、これは楽しい竿だね〜」
この日は良型のチヌのほか良型のマダイも釣り上げて0.4号をとことん楽しみ尽くした。
「40cm級のマダイもすんなり寄せてくれた。もっと小さい魚だと思ったよ」
2日目は0.8号から。初日と同じ場所で同じ釣り方で、45cmクラスのチヌやマダイを掛けたが、いとも簡単に浮かせてきた。
「0.8号を使っていると、もっと大きなヤツが来い!と思ってしまう。それだけ余裕がある竿だね。魚の走りをいなすよりは有利な場所へ誘導しやすい。これもいい仕上がりだね〜」
途中から00号に変える。潮が流れている場所では少し使いづらいか?と思われたが、まったくそんな感じがしないと大知さん。良型のマダイ、チヌを掛けて大きく曲げて楽しんでいた。
「これは楽しい竿だね! 取り込みに時間がかかるぶん40cmくらいのチヌとのファイトが長く楽しめる。いざというときはタメも利く。もっと大きなチヌでも試してみたいね」
3機種それぞれの楽しみ方が見つかったと大知さん。残りの5本も機会があれば使い込んでみたいという。
「スタンダードモデルなので、ご自身が通う釣り場や狙う魚のサイズ、釣り方に合わせて、最適と思える1本を選んでみてください。きっとチヌ釣りをこれまで以上に楽しく感じさせてくれるでしょう!」
大知さんも太鼓判を押す新しい「マスターチューン」。ぜひ体感してほしい!
プロフィール
大知 昭 (おおち あきら)
[アドバイザー]
広島県在住の黒鯛遠投釣法の第一人者。瀬戸内海を中心に全国各地、そしてアジア各地に至るまでワールドワイドに活躍する。難条件でも釣果を出す技術に加え、明るい人柄で多くのファンから愛されている。「シマノ・ジャパンカップクロダイ(チヌ)釣り選手権 第1回全国大会」での優勝等、競技会でも上位の成績をおさめてきた。
関連記事
RELATED COLUMN