2021/05/21
コラム
チヌ完全攻略極まるアタリ 山口県上関町横島「ハチノス」
開口一番、
「今、釣りが一番面白い」と笑う大知昭さん。劇的な進化を遂げているフカセ釣りにおいて第一線を走るいわば先駆者的存在の大知さん自身がまだ成長の途上にあるという。
さて、一年で最も水温が下がりチヌの活性は低い春先のことだった。
山桜が開花するまでは、口を使わず、エサを食ったとしても居食いすることすら多い、いわゆる寒いチヌがターゲットとなる。
そんな厳しい状況は百も承知で渡船REOに乗り込んだ。
アタリは突然
だがそれも計算通り
暗く覆われていたポイントにも東からの日照が降り注いできた。島影が後退し沖の視界が広がる。エサ盗りの姿も見え始めた。
「魚というのはちょっとした自然の変化で動き出すからね」
そういうとマキエを打つ回数を増やしていく。勝負どきにこそ重点的に攻める。
潮が湾奥へと流れ始めて間もなく竿先から海面へと垂れていたPEラインがジワっと伸びた。
すかさずアワセを決めた。
「胴に乗せる感じで竿を立てていたら浮いてくる」
そう言う大知さんの腕に沿うNEW鱗海スペシャルは、じっくりタメていなすパワーを持っている。
素早く底を切り、ロッドを倒して沖へ顔を向けさせるとゴボっと海面を割った。
「狙い通りのアタリ方。それにしても浮いてくるのが速かったね」
06号は競技の釣りにも対応できるロッドでもある。
NEW鱗海スペシャルは
ここが違う
ここでシマノからリリースされたNEW鱗海スペシャルについて押さえておこう。
ラインナップは全6機種。
号数は00~1.2号まであり、シチュエーション別に最適な1本が見つかる。
さて、ロッド全体のバランスを前作と比べると、4、5番が若干長くした分、1番が短くなった。
その結果、遠投性の向上とバットパワーが増強。さらに穂先にはタフテック∞が用いられ、よりしなやかになり、食い込み性能がアップしている。リールシートを穂先側へ設置したことで竿尻までが長くなったため掛けたチヌをコントロールしやすい。
仮にロッドが濡れた状態でもしっかり肘に密着するエラストマーグリップをバットエンドに採用したことはやり取りが有利になる。
魅せて楽しむ釣り
ブランクスはスパイラルXからスパイラルXコアへ進化を遂げ、光沢あるブラックを基調としゴールドの装飾を纏わせてある。
そしてトップガイドもゴールドだ。
曲げて楽しむ竿という鱗海スペシャルの代名詞に、魅せる竿の要素が加味された。チヌ竿に欲しかった機能がすべて装備されたといっても過言ではない。
特に注目すべきは、やはり伝統の白い穂先だ。
軽量化されたXガイドは2個増え8個となり、1、2番はすべてXガイドが装着。
仕掛けを振り込んだ後のブレの収束は速い。
それに加え、アタリを伝える感度に、違和感を与えない食い込み性能。張り詰めた緊張感がチヌ釣りを面白くする。
大知さんが、
「今一番面白い」と言ったのは前作が最高の仕上がりと思っていたが、さらに上をいく出来栄えだったからに他ならない。
穂先の伝達力
大知さんは首尾よく46cmのチヌを仕留め、次に0-530の鱗海スペシャルを手にした。
やはり注目すべきは穂先だ。
ラインを張っているとツケエがどこまで持つのかが分かると同時に穂先に出る小さな反応でエサが食われたか、自然と落ちたかなどの情報が伝わってくる。そうすれば次の一手を講ずる手立てになる。
「日照、風、穂先、すべてのものにチヌ釣りを教えてもらう」とは大知さんの持論だ。
「うぁわ、小さいアタリだなあ」
そう言うと振り上げた竿が綺麗な曲線を描いた。
これも本命のチヌ。
苦戦すると思われたが意外にも順調な釣果をもたらしてくれる。
極小さなアタリが取れたことに満足する大知さんは、
この竿を持っている今が一番楽しいと笑った。
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