2021/02/05
コラム
BB-Xスペシャル SZⅢで瀬際のグレを攻略 鹿児島県薩摩川内市甑島海峡・中ノ瀬【前編】
1988年、当時の日本記録となった尾長を仕留めたシマノインストラクターの高橋哲也さんは、現在、沖縄県に活躍の場を移し、南方の巨大魚をターゲットにビッグゲームのロマンを追求している。そんな高橋さんが、久しぶりに勝負を挑む相手は口太グレ。常に目の前の魚に全力で立ち向かうのが高橋さんのスタイルだ。
INDEX
ワクワクする釣行
鹿児島県薩摩川内市の甑島海峡にポツンと浮かぶ中ノ瀬の親瀬に降り立った高橋哲也さんは、BB-Xスペシャル SZⅢ1.7号500/530を伸ばしながら朝から満面の笑顔だった。
「久しぶりのメジナ釣りだからすごく愉しみ。しばらく会えてないけど、メジナってキョトンとした顔がかわいいよね」。
「波照間島(沖縄県八重山諸島)では10号の道糸を使っているけど今日のリールに巻いている道糸は2.5号で、ハリスは2.5号。1.7号のロッドを細く感じますが、このロッドの試作段階で良型のオーマチ(アオチビキ)やカスミアジを獲っているのでパワーに関して不安はありません」と高橋さん。ウキにコアゼロピットDVC TYPE-Dの00を選択し、ウキ下2ヒロの半遊動仕掛けを組んだ。
東向きに釣り座を構えて足元にマキエを打つと、すぐにイスズミとオヤビッチャが姿を現す。甑島名物のキビナゴが群れているのか、カツオドリが上空を旋回。その光景の全てが、釣り師・高橋哲也の心を揺さぶるものだ。
「釣れっかなあ」と、照れ笑いで投じた1投目、左沖へと流れる下げ潮に仕掛けを乗せていくと、ウキは徐々に潜行を開始し、30m沖で魚信を伝えてきた。掛けた獲物を一気に寄せてきて、磯の上へ抜き上げたところで「バイマオ(台湾語でイスズミのこと=白毛)だ!」と叫ぶ高橋さん。その後もイスズミが連発し「すげぇ愉しい。これは台湾ではとても人気のある魚ですよ」と上機嫌だ。
アカジンが見えた
釣り開始から30分後、いきなり60cmほどの魚の影が表層付近で反転した。「ダメだよ、こういうシーンを見せちゃ。メジナ釣りの気分が壊れちゃう。スルルー(キビナゴ)で出るんじゃない?」
5分後、再び姿を現した魚の色を見てスジアラだと確信した高橋さん。「アカジン(スジアラ)がいるんだったら、しょうがないなー。俺だってメジナが釣りたいのに。ついこういう展開になってしまう」。そう言ってすぐにBB-Xスペシャル SZⅢ2号500/530を取り出し、PEライン3号とハリス100Lb(30号)のスルルー仕掛けを組んだ。「ロッドは2号だけどすごく軽く感じます。このロッドを使って45cmのメジナをブリ上げたいですね」。
ハリにキビナゴを刺し、キビナゴを撒いて、ゆっくりとウキを沈めながら探っていく。
沈み瀬の周辺に仕掛けが馴染んでいくと、今にもラインが走りそうな緊張感に包まれるが、干潮の潮止まりが近づいてきていて潮の流れは緩い。その後は再びスジアラが姿を現わすこともなかった。
後ろ髪を引かれつつグレ狙いを再開すると、とんでもなくパワフルな魚がアタってきたが、この走り方はグレではない。タモで掬った魚は40cmオーバーのナンヨウカイワリだった。
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