2021/03/26
コラム
難攻不落のA級磯 ヒントは足元にあり 熊本県天草市高浜「小ケ瀬十兵衛」【前編】
度重なる寒気の流れ込みでようやく海水温が下がってきた。
かねてから狙いを定めていた熊本県天草市高浜の沖磯では寒グレが始動。
コンディションの良い丸々とした口太を求めてシマノフィールドテスターの只松雄司さんも動いた。
名礁小ケ瀬の十兵衛
薄暗いが目が慣れてくると、前にそびえる大きな岩は鳥の住処になっていた。そこから何十羽と飛び立っていく光景は圧巻だ。
やがて東の方から白み始め、足元に生えたノリに注意しながら仕掛けを作る。
10数年前に1度、この十兵衞で竿を出したことがあるという只松さんは、
「ここの攻め方は、まずは足元から」とNEW BB-X スペシャルSZⅢを取り出した。
号数はあえて1.5号だ。
天草のグレ釣りは細ハリスを使った繊細な釣りというイメージはあったが、こと十兵衞に関しては例外なのだ。
足元から生え根が伸びているため瀬ギワのやり取りは、釣り人にスタミナとパワーを要求する。このシチュエーションでは1.5号は賢明な選択だろう。
当て潮気味で瀬ギワは安定した潮の横流れでウキとマキエが同調している。
ただ、エサトリの反応すらない状況は相変わらず。ツケエがそのままの形で戻ってくるのでウキ止め糸を外して深く入れてみるが、珍しくエサが取られない。
グレはいるはずなのだが、手掛かりがまだつかめない。
仕掛けを沈めながら探っていると竿先をコツンと叩く反応があった。アワセてみると顔をのぞかせたのはオジサンだ。
「これは深く入りすぎたね」
愛嬌のある顔をした赤い魚は竿1本半まで入れてようやく反応した。
このことからわかることは、グレのタナは1本半に満たない。さらに潮が効いてくればマキエにつられてグレは浮いてくるはずだ。 そうだとしても、2ヒロまでは浮いてこないだろう。
では、どのレンジを攻めるべきか。
混迷は深まるばかりだ。
上げ潮が動けば魚の活性が上がる
仕掛けの投入点を竿2本沖へと離して様子をみるが、オキアミがそのまま残ってくる状況には変わりがない。
「釣れるなら上げ潮の時間帯だと思うよ。この一帯は下げ潮になると冷水が流れ込んでくるから活性が下がる傾向にあるんだ」
であればあと3時間が勝負だということだ。
ここで思い切って半遊動仕掛けに替え、竿一本までタナを上げた。タイミングよくウキの近くをトウゴロウイワシの群れが横切ったのを見逃さなかった。
新たな潮が入り込んできて活性が高まっているのではないか。
目に見える変化は大きな動きの一部だということがよくあるが、まさにそれだ。
「あれっエサが取られたぞ」
魚が口を使い始めたのだ。
只松さんの仕掛けが捕食のレンジに入っている。潮の流れにツケエが押されマキエと合ってきた証拠だ。
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