山本太郎直伝 黒鯛流儀 山本太郎流 カキチヌ釣法徹底解説～その１～

近年、冬季のかかり釣り釣法として急激な人気を博し、またすっかり定着してきた「カキチヌ釣法」。今回は人気のカキチヌシーズン突入！ということで、カキチヌに必要な道具・適したタックル、釣り方等を詳しく解説していきたい。

全国的にもカキ養殖の聖地としてあまりにも有名な広島湾では、古くから「かぶせ釣り」と称して、カキを用いた釣り方が行われてきた。広島湾以外のエリアで目下カキチヌが行われている所は、三重県(鳥羽が主)・京都府舞鶴湾一帯・石川県能登島の一部が挙げられる。現在、最もカキチヌが盛んに行われていると思われるのは、三重県・鳥羽周辺と石川県能登島周辺ではないだろうか。ただ、東北や四国、九州あたりにもカキ養殖が盛んなエリアがある筈だし、同地でのカキチヌは必ず秘かに行われていると考えられる。カキはチヌにとってこの上ない「特効エサ」。日頃から住みかとなりエサ場となる養殖場ではカキチヌは冬季の最強の釣法！といっても過言ではないだろう。難しいことや面倒なことは何もない。今冬は是非チャレンジしてみよう！

カキチヌは基本的にカキ養殖棚に隣接するカセや筏から狙うスタイルで、吊り下げてあるカキ自体やカキ棚のロープ等、障害物が大変多い。私がよく釣行する鳥羽の釣り場では、カキ棚に直接カセを掛けて釣りをするのだが、カセのすぐ背後はカキ(ロープに着生させた)が無数に吊り下げられたストラクチャーポイントだ。一見するだけでチヌの絶好域であることがうかがえるが、それだけにチヌを掛けてから取り込む難易度は非常に高い。カキ養殖棚の釣りでは、外部からの回遊チヌも視野に入れるが、基本はその棚内に居着くチヌを誘い出してくるというのが大前提。サシエサを喰わせるまでの行程はカキ棚に近い短竿が有利なのだが、掛けてから取り込みに至っては長竿が断然有利となる。

これまでの経験から竿の長さは150cmから180cmが扱い易く、チヌを取り込める率がグンと向上する。竿全体のバランスはやはり腰のしっかりとした「主導権が取れる」硬調竿に尽きるが、肝心の穂先調子については釣り場の潮流条件が大きく関わってくる。鳥羽周辺のような小島、小磯が点在する水道筋や広島湾のフィールドは元々早潮で、潮回りや潮時によっては急潮になることも多い。カキチヌ釣法は落とし込んで狙ういわゆる「縦の釣り」。潮流が速くてもサシエサのカキは流したりせず、落とし込み、着底、誘い、を繰り返す「止めの釣り」だ。潮流が速い所でエサ(仕掛け)を止めると、仕掛けは潮に押されて大きく湾曲し、全ての圧力は穂先へと伝達される。したがって喰い込み重視の柔らかい調子や急テーパーのピンピン調子では、着底後しばらくするとジワジワ押されて穂先からラインが一直線になり、アタリが表現されない「意味のない調子」になってしまう訳だ。竿の調子・穂先は自分の好みが大きく影響し、どうしても普段から使い馴れたものをチョイスしてしまいがち。だが、早潮・急潮の釣り場でのカキチヌは通常の釣りとは少々勝手が違うので注意したい。シマノ筏シリーズでは攻調子がバッチリ適合するが、中でも今季リリースされた「セイハコウ スペシャル 攻調子」がイチ押し。

押しの強い潮流をしっかりティップが吸収してくれ、超高感度の先端がカキ特有のアタリを逃すことなく表現してくれる。全長170cm (ロンググリップ時)の長さ、そしてスパイラルXのパワーが背後のストラクチャーに対しても余裕のアドバンテージを与えてくれるだろう。
私のオススメ調子に関しては、下記を参考にしていただきたい。

カイエイ 攻調子155
カイエイ 攻調子 165
セイハコウ AX MH155 (攻調子穂先)
セイハコウフィラート H145
セイハコウスペシャル LR (攻調子穂先)
イカダリミテッド SII (攻調子穂先)

カイエイ 先調子 155
カイエイ 先調子 165
セイハコウ AX H160 (先調子穂先)
セイハコウフィラート HHH 150B
セイハコウフィラート HHH 165B
セイハコウ スペシャル LR (3調子どの穂先でもOK)
イカダリミテッド (先調子穂先)
イカダリミテッド SII 共 (先調子穂先)

＊HHHはチヌマチックリールと組み合わせることで、よりストラクチャーが強い釣り場でもワンランク余裕のあるやり取りでチヌと対峙出来る。