2016/01/20
コラム
山本太郎直伝 黒鯛流儀 全国各地の釣り場に関して
まずは日本屈指のエリアから紹介しよう
以前の記事でも述べたように筏・カセのかかり釣りは、いわゆるリアス式海岸の波静かな地形が大変適している。
かかり釣りにおいての日本屈指のエリアは、何といっても紀伊半島三重県中~南部と日本海若狭湾全域が挙げられる。かかり釣りの歴史が古いうえに、ポイントや渡船店が非常に多い。両エリアはいずれも古くから真珠・カキ・魚の種苗養殖が盛んで、適度な水深と安定した水温。また真珠やカキに着生する小動物(甲殻類等)や養殖魚のこぼれ餌等に恵まれていることから、チヌにとってはこれ以上ない絶好の棲息域になっている。
特に三重県ではほぼ3方以上を山に囲まれた複雑に入り組んだ地形が多く、ほとんどの湾で無数の養殖小割り・棚が点在している。水温も通年安定しており、年間を通してチヌを狙うことが出来る。
釣り場の豊富さから、未だに新しい渡船店が開業する程だが、それ以上にチヌの魚影は濃く、大型もまだまだ多い。若狭湾・三重県のどちらも「かかり釣りの聖地」といえるだろう。
その他のエリアも大変魅力的だ!
その他には下記のエリアにも釣り場は多く存在する。
・千葉県房総半島の勝山、富浦
・神奈川県三浦半島の長井
・静岡県清水港、沼津
中でも静岡県清水港はかかり釣りの歴史が長く、古くからの「親船で小船を曳き、ポイントへ掛ける」というスタイルが今でも保存されている。船内はゴザひき、風防の帆張り、温かい昼食の出前等々、大変風情があって楽しめる。
紀伊半島三重県を西に越えると、和歌山県の南紀~中紀にも筏・カセ釣り場が点在。
岡山県から広島県にかけても、古くからカキ養殖が盛んであることはあまりにも有名であり、当然ながらチヌの魚影は非常に濃く、かかり釣りの人気も高い。
四国にも憧れの釣り場がある!
さて次に四国だが、瀬戸内側徳島県や香川県では古くから人気のかかり釣り場があるが、南・西部には最近まで釣り場がなかった。釣り場というより正確には釣りをさせてくれる渡船店がなかったのである。
四国南西部では元々グレ(メジナ)や石鯛釣りに人気が集中し、チヌ釣りの人気は極めて低かった地域。ただ以前から養殖業は盛んであったので、関係者が釣り人にかかり釣りをさせてみたところ、とんでもない数のしかも超大型のチヌが釣れまくった!
今現在も四国南西部は大型チヌが多く、関東圏や中部圏の釣り人達からも憧れの地となっている。水深25m以上の超深場が多く、まだまだ大物が存在していそうな息吹きを感じる。
今後も注目したい九州エリア
最後に九州だが、四国南西部の対岸にあたる大分県佐伯~蒲江。ここでも釣り場が年々増え、当然ながら大型チヌは大変多い。我々から見ても惚れ惚れするような地形が無数に点在し、かかり釣りのポテンシャルは未知数ではあるが、今後が非常に楽しみなエリアだ。
佐賀県伊万里湾~熊本県天草にもかかり釣り場は多く点在。特に天草湾の複雑かつ懐の深い地形はチヌにとっても最高の棲息域。自身何度も足を運んでいるが、面白い釣り場がいくつもある。四国と並び九州地方もこれから益々目が離せないエリアだろう。
可能性を秘めた東北地方
残念ながら今現在、千葉県房総半島がかかり釣り場での最北東だが、日本三景のひとつとして有名な三陸・松島や気仙沼等も複雑に入り組んだリアス式海岸。ご存知の通り、同地でのカキ養殖の歴史は古い。
私自身も過去に気仙沼湾で釣りをした経験があるが、地形的な条件は申し分ない。元々の魚影等の問題は難しいところだが、かかり釣りは渡船店や釣り客の撒く餌による「飼い付けの釣り」。ある程度の条件が揃えば、10度を割る水温でも棲息・摂餌する魚なので、松島湾、気仙沼湾でもかかり釣りが定着すればと願っている。
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