2020/01/20
コラム
浅きタナほどシビアに攻めろ!平和卓也、クレバーハントで大物グレを追い求める
活性が高く浅いタナで釣れるのなら楽勝かと思いきや、サシエだけ取られたり、それ以前に魚の存在に気付かないこともある。そしてこれは今では何も秋の話だけではないのだという。
しきりに頭を傾げるピース
居着きのサメに魚のタナは大幅に乱れる
高知県柏島で別のロケだったピースを帰路でつかまえて、矢ケ浜へと向かったのは10月下旬のこと。テーマはもちろんタナである。
フカセの釣り人は我々だけ。あとは沖一文字でのカゴ釣りの人が2人。シーズン初期のグレ師の動きは近年よくないが、だからこそ磯は選び放題。しかし早朝の港は船が揺れるほどの風で、沖の好ポイントは様子を見ないと分からないとのことだった。
少し明るくなってから港を出た船が向かったのは遠戸島の東に位置し、北西風の裏になる赤バエ。水温は21度。悪くない。ピースはいつも通りのペースでタックルのセットを終え、言った。
「2ヒロくらいからいきましょう。釣れんかったらすぐ替えんといかんなー」
予想外の展開
木っ葉グレまみれかと思いきやサシエが残る。意外な展開にピースは頭を傾げる。
6投目に30cmクラスが釣れた。チャリコや木っ葉尾長が釣れてサシエも取られ始めた。
「少し上ずってきたかな…」
サイズアップを狙って沖に仕掛けを投げるとサシエが残る。距離を戻す。ウマヅラハギや木っ葉グレなどにジャマされつつ、再び距離を徐々に伸ばしていく。またサシエが残る。なぜかあまり沖へ出て行かない。それに何だか魚が喰ってくるタナも定まらない。
そんなとき、沖で掛けた魚が鋭い引きを見せて1.75号のハリスを切っていった。2号に上げてもう一度。しかし皮肉なことに釣れたのは木っ葉グレ。
海面を滑らせて魚を寄せてくる。と、突然大きな三角背ビレが海面を割って襲いかかった。
「こういうことですよ…」
やっぱりか。サメだ。
「タナどころじゃないですわ」
一瞬だけ見えたグレの魚影を信じ
アタリウキを活用しながら的確にキャッチ
見回りの船にヘルプを求めると沖はカバ四番ならいけるとのこと。もちろん磯を替わって仕切り直すことにする。ピースの磯替わりは珍しい。つまり、どうしようもないということだ。
東にふたつ突き出た釣り座の、まず左側で竿を出したが魚っ気がない。キタマクラが多く、チャリコとハマチを釣った後、思わしくないので右側に移動した。
ウキは00。ハリスは2ヒロ。オモリなし。ウキ下は2ヒロ半。釣り座を替えてしばらくするとウキ下を詰めてG6を追加したが、サシエが残らず再び仕掛けに手を入れ、ハリスの上部にアタリウキを付けた。
そして、ここからピースの底力が発揮される。
形勢が逆転。
アタリウキのウキ下をすぐに浅く調整して釣れたのはイズスミ。グレから遠い魚ばかりだったのが、状況がマシになったとピースは捉える。それを証明する1尾はすぐにやってきた。
スパッと掛け合わせると赤いロッドが弧を描き、35cmクラスがタモに収まった。
「やっぱりやね。よう見といてよかった! 下から上がってくるのが見えたんで… やっぱりグレやったんや」
その後は磯際近くで30cm弱のグレを追加したが、アタリウキがスパスパと消し込まれるもののほとんどハリ掛かりしない。なぜだろう?
「これはサシエを吐き出しているんじゃないですね。グレはサシエを吸い込みながら反転するので仕掛けの負荷、つまりウキの浮力でサシエが吸い込めないんです。弾いているというか…。ウキ単体の仕掛けに戻してみましょう。急に秋の釣りになってきた。潮が変わったんかな?」
アタリウキを外し、ハリスを矢引きにしてウキ止めを思い切り上げた。この時点でウキ止めはタナを取るために必要なく、喰い込みを妨げるだけになってしまうので、サシエを吸い込む瞬間になるべく抵抗が少なくなるようにしておくのが狙いだ。
3号より細いハリスはしばらく使っていなかったというピース。取材の関係でそんな釣りばかりしていたというが、マシンガンを撃ちまくるような釣りへ完全にスイッチを切り替えた。
テンポよくマキエを打ち、仕掛けを投入した後、引き戻しながら完全に合わせていく。
「縦に動く魚は、少しでもズレたらヒット率が半減です」
ときおり巨大な他魚などもまじえながら、35cmクラスのグレをもう1尾追加した。そしてハリスを交換がてら1ヒロ半にまで再び長くする。
仕掛けの投入点も近距離中心だったのを中距離にまで伸ばす。サシエが取られないところを中心に狙うようにしたが、やはり釣れないのか。あるいは別の魚に変わってしまうのだろうか。
そう思われた矢先、3投連続でサシエが取られる。ここで再び、満を持してアタリウキの出番がやってきた。
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