2024/08/20
コラム
「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」の開発テストに密着。磯で夢を追う4人の情熱に迫る。
これから新しく登場するロッドの「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」。ここではその開発テストに同行した時の様子を紹介したい。記念すべき1回目は、シマノを代表する4人のアングラーが一堂に会した貴重な機会であった。磯にはいつも夢があるというが、その中でも自己記録に迫るような大物を狙うというのは、各人にとってどんな思いがあるのだろうか。
積年の思いを新しいロッドに託して。福井さんが磯でGTを狙う意味とは。
まずは福井健三郎さんのGTに対する思いについて話を聞いた。
「自分は磯からとにかくGTを狙いたい。そこが原点だからね」と色々な大物がいるなかでも磯からGTを釣ることには特に強いこだわりを持っている福井さん。
福井さんと言えばGTフィッシングを開拓した第一人者。これまで様々なGT専用のタックルが世に生み出されてきたが、その歴史をゼロから知っている貴重な存在である。
もともとはダイビングでGTという魚を見ていたけれど、当時はゲームフィッシュとして成立するなんて思いもしなかったとGTとの出会いについて教えてくれた。
さらに目標とするサイズはあるかという質問に対して福井さんは「磯からのGTなら30kgが釣れたらかなりの大物。けれども一生の間で10kgクラスの魚と出会える釣り人がどれだけいるんだろうね」と大物を狙う上での難しさも同時に感じている様子だった。さらに「磯に立つと襟を正されるような感じがするんだよね」とこれからの意気込みについて語ってくれた。
また様々な技術の進歩についても思うところがあるようで「いろんな大物と出会ってきたけど、今の道具は昔と比べて随分と使いやすくなった」とのこと。
これは映像に関しても同じで「今の映像技術で釣ってきた魚たちを残せていたらもっとよかったな」とこれまで釣り上げてきた魚たちに思いを馳せる福井さん。
だからこそ今回のロッドを使っての釣行にも相当な思い入れがあるようで、楽しみで仕方がないといった様子だった。
GTに魅了されて移住まで決めたアングラー。何がそこまで坂田さんを動かしたのか。
次はモニターの坂田さん。
まだ馴染みのない方も多いと思うが、GTの魅力に取りつかれて奄美大島への移住を決めた、生粋のGTアングラーである。
GTとの出会いは友人とトカラ列島の宝島にてキャンプで釣りをしていたときのこと。掛かった70cmほどのイトヒキアジを堤防へ抜き上げようとした瞬間に下からGTが大口を開けて飛びかかってきた出来事が最初の出会いだった。
「あの瞬間が今でも脳裏に焼き付いています。釣りたいと思ったのはそれからですね」と当時の思いを振り返る坂田さん。しかしその思いとは裏腹に、はじめて釣り上げるまでには4年間もかかったと教えてくれた。磯からのGTフィッシングは辛さを感じることも多いという。
ポイントまでの険しい道のりに、重たいタックル、そして釣れない時間が圧倒的に長い。だからこそ、釣れた瞬間の幸福感は他には変えられないもので、数日立つとまた追いかけたくなると教えてくれた。「終わりがないですよね。
自分の体力が続く限り追いかけ続けたいです」とこのロッドを使って釣行に挑む意気込みを語ってくれた。
さらにプライベートでも磯では他のタックルを使った釣りは基本的にしないというストイックさをみせる坂田さん。
「どんなに釣れなくてもGTタックルで投げ続けるのが自分のスタイルです」とのことで、このテスト釣行では厳しい状況のなか、見事にひとりだけカスミアジを釣り上げてみせた。これからの釣行だけでなく、今後の活躍も楽しみなアングラーである。
ロッドの力をひとつでも多く引き出したい。赤木さんがアングラーとして背負うもの。
今度はターゲットが変わってヒラマサやカンパチの大物狙いについて語ってもらった。
まずはフィールドテスターの赤木さん。
「磯の釣りは独特の中毒性がありますね」とのことで、夢を追いかけて自分の足で突き進んでいくような雰囲気がたまらないと語る。
また釣り場が沖磯となると場所や時間も限られることが多いため、簡単には行けない機会だからこそ、1回の釣行に懸ける思いは普段の何倍も膨れ上がると教えてくれた。
特に今回のロッドでは自身が開発に携わった「コルトスナイパーリミテッド」のテクノロジーを十二分に継承している。中でもトラブルレス性能が生み出す使い心地の良さには、赤木さんも太鼓判を押しており、常にフルキャストできることへの信頼感は他にはないと教えてくれた。自分にとってロッドは自分の手足の延長だと語る赤木さん。
これから「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」でテストを繰り返してさらにブラッシュアップを重ねていくことになるが、開発に携わる嬉しさと楽しさがある反面、責任を持っていいところを1つでも引き出して伝えたいと、意気込みを語ってくれた。
常に自分の成長を。上津原さんが自分に対して伸びしろだと感じること。
最後に、赤木さんと同様にこのロッドでヒラマサやカンパチの大物を狙う上津原さん。
まずこのロッドを手にした瞬間に、みなぎるパワーを感じたとのこと。これは大物と対峙できる安心感にもつながるのだが、力と力の勝負で強烈な引きを見せる魚に対してどこまで主導権を握れるのか、それがとても楽しみに感じたと教えてくれた。
「これで釣りたいと思わせてくれるロッドですよね」と上津原さん。
昔話にはなるが、上津原さんにとって目標とする魚のひとつが磯からカジキマグロを釣ることで、それは以前にカジキに出会った経験から生まれたという。
泳ぐ姿を目の当たりにして、ルアーを投げると予想通りに喰い付いてきたが、あっさりとルアーを跳ね飛ばされてしまったとのことだ。
「想定できないことが起こると人って固まるんですよね」と当時の様子を振り返っていたが、そこでもしファイトが始まっていたら、もし取り込むことになっていたら、そんな未来の出来事を考えずにはいられなかったとのことだった。
このロッドを手にして、もしそんなチャンスがまた訪れたら。そう思うとワクワクせずにはいられないという様子であった。
上津原さんにとってロッドとは、それに人間が合わせて使いこなすものだと考える。
これからテストを繰り返しながら自分も成長してもっと使いこなせるようにしていきたいと語っており、ロッドが重たく感じるのも、硬さが原因で扱いきれないのも、それは自分の実力が追いついていないからだと考えているとのことだった。
ストイックな意見ではあるが「でもそれは自分に伸びしろがあるってことですよね」とこのビッグゲームという釣りに対して、厳しくも前向きな上津原さんらしい思いを聞くことができた。
奄美大島の沖磯から。新しいロッドで全国のさまざまな海へ挑む。
こうして4人のアングラーに磯でのビッグゲームに対する思いを語ってもらった。
これからロッドのテストを試みながら、福井さんと坂田さんは大型のGTを追いかけ、赤木さんと上津原さんはイソマグロやカンパチといった記録的なサイズの魚を目指すことになる。
今回はそのメンバー全員が一堂に会する貴重な機会であり、それぞれの思いを胸に秘め、奄美大島の海を後にした。これから4人が向かう先では、いったいどんなドラマが待っているのだろうか。それぞれが思い描く理想の1匹に出会えることを願いながら、今後の釣行を楽しみにしたい。
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