2023/10/20
コラム
手軽に強烈な引き味が楽しめるLSJ。専用ロッドがもたらすメリットとは。
足場がよく身近なサーフや堤防から青物を狙って楽しむ釣り。それがLSJ(ライトショアジギング)だ。名前にライトという言葉がつく通り、軽めのジグなどを中心に使用するのが特徴。力に自信のない方でも青物や根魚を狙って楽しめる。ハードな磯でストイックに大物を狙うショアジギングとは異なり、初心者も馴染みやすい釣りといえるだろう。そこで今回は幼少の頃から楽しんでいるというシマノのインストラクター「新保明弘」さんにLSJを紹介してもらった。舞台となるのは、静岡県の駿河湾。1年を通して多くのアングラーが訪れる場所であるとのことだが、そこにはいったいどんな魅力があるのだろうか。
駿河湾の特徴。魚種が豊富で1年中LSJが楽しめるエリア。
静岡県にある駿河湾の一番の特徴は、年間を通して様々な魚種がショアから狙えるということ。それもLSJでは代表的な青物を始め、根魚やフラットフィッシュなどターゲットが実に幅広い。1年中様々な魚種が回遊してくるエリアであるため、季節に応じて旬の魚を狙うのが面白いと新保さんが教えてくれた。また、釣り場が広大であるのも特徴のひとつだ。特に湾奥は一帯がゴロタサーフのような地形になっており、足場のよい釣り場が広がっている。より多くの釣り仲間と楽しめるため、横並びになってワイワイと意見を交換しながら釣るのもいいだろう。また新保さんいわく「最近は特に楽しまれる方が増えましたね」とのことで、LSJの人気は年々高まっているとのことだった。
時間帯で狙う魚を変える。工夫次第で楽しみが広がるLSJ。
そして忘れてはならないのが、この駿河湾の地形について。特に湾奥の特徴として、足元から急激に深くなっているということが挙げられる。一見すると足元は浅く見えるが、少し先は20〜30mほど落ち込んでいるとのこと。遠浅とは真逆のドン深となる地形のため、そう遠くまでキャストせずとも、回遊魚が十分に狙える距離を回遊してくる可能性の高い釣り場となるのだ。特にキャストに慣れていない初心者の方でも、このような釣りやすさは嬉しい要素と言えるだろう。「慣れてくると前に立ちたくなるので安全に楽しんでほしいですね」と新保さんが解説してくれた。そしてこの釣り場は、魚が回遊しやすいエリアであるがゆえに難しい面もあるという。そのひとつが魚の入れ替わる速さ。昨日釣れていたから翌日も同じ場所で釣れるというわけではなく、魚の居場所がコロコロと変わりやすいのも特徴とのことだ。とはいえ「魚種が豊富なエリアなので、何が回遊してくるかわからないのも魅力です」と、魚影がとても濃い場所であると新保さんが教えてくれた。
ゴロタサーフで根魚を狙う。急深な地形を攻略するコツ。
そんな駿河湾で最初に新保さんが選んだのはゴロタ場のポイント。「今は干潮なので、これから潮が上がってくるタイミングです。潮が動き出す時間帯を狙ってみましょう」とのことで、キャストを開始した。ルアーは「アオモノブレード30g」を選択。垂直な姿勢で素早く沈むのが特徴のルアーで探りを入れると、すぐにヒットした。「ボトムを取って巻き始めたら喰ってきましたね。さあ、なにかな?」とロッドを小刻みに震えさせて上がってきたのはアカハタだった。「沈むときに見ていたんでしょうね」とルアーの動きが変わったタイミングでヒットしたことを教えてくれた。このアオモノブレードは独自の重心移動アイが搭載された設計で、飛びやすく沈むのも速いのが特徴のルアー。「まさにルアーのいいところが出たヒットでしたね」と納得の1匹であった。
朝マズメの緊張感あふれる攻防。夏の代表魚シイラを狙って。
そして翌日。今度は本命となる時間帯の朝マズメから実釣を開始する。場所は駿河湾奥のゴロタサーフで、一帯には人が等間隔で並んでいた。その様子からLSJという釣りの人気ぶりがうかがえる。また楽しんでいるのは、ファミリーやカップルなど年齢性別問わず実に幅広い。そんな中で新保さんも早々に準備を済ませて釣りを開始。次第に陽が高くなってくると、さっそく海がにぎやかになってきた。空に鳥達が集まりだしたかと思うと、その下ではナブラが発生。残念ながら新保さんからはまだ遠い位置なので、注視しながら目の前のポイントに集中することにした。この時、ルアーは「アオモノブレード」であったが、どこか反応が薄い様子であったので今度は「イワシロケット40g」に変更。そしてワンピッチジャークで表層を探っていたときだった。「よし、きた!」その声とともに魚が目の前で激しくジャンプ。これは間違いない。夏の代表魚とも言えるシイラである。強烈な引きはもちろん、激しく走り回ったかと思えば、幾度となくジャンプしてアングラーを楽しませてくれる。そのパワーは足元へ寄せてきてもなかなか衰えない。「ロッドのバッドが強いので、安心してやり取りできますね」と新歩さん。この時のロッドは「コルトスナイパーBB LSJ S100L」で軽さとパワーを両立させているのが特徴だ。バラしに繋がりやすい波打ち際の攻防も見事に制して、釣り上げたのは70cmオーバーのシイラ。メタルジグに変えたのがよかったですね。とヒットの様子を振り返って教えてくれた。
ソウダガツオも登場。はまったときの爆発力は底しれない。
シイラをキャッチした後、少しすると先程から表層をにぎやかにさせているナブラが新保さんの方へ近づいてきた。すかさず周囲をジグでキャストするもヒットしない様子なのをみて、今度はルアーを「アオモノブレード」に変更する新保さん。「もしかしたら小さいベイトを食べているのかもしれないですね」とこの状況から推測した。さらにナブラを意識して表層を速めに巻いてすばやくアクションさせる「ルアーが回転しないようにできているので操作しやすいです」とのことで、ナブラを狙っているとガツンとロッドが絞り込まれた。ジャンプする様子はないものの、激しく左右に走り回る魚。その姿はソウダガツオであった。「ナブラの正体はこれだったんですね」と新保さん。この魚を追加した後、陽が高くなるにつれて魚たちの反応も薄くなったところで今回の釣行は終了した。
専用ロッドがもたらす快適さ。不意な大物を逃さないために。
今回使用したロッドは「コルトスナイパー BB LSJ」というモデル。自重が200g以下ととても軽いだけでなく、パワーにも優れているのが特徴だ。特にビギナーの方にとって軽さは釣りを快適に楽しむために重要な要素となる。さらにリールが「ストラディック」というモデルで、手に取りやすい価格帯でありながら、軽い巻き心地やトラブルレス性能を備えたコストパフォーマンスに優れたリールを組み合わせた。手軽な釣りであるとはいえ、時には予想外の大物にもヒットすることがあるのがLSJ。悔しい思いをせず、快適に楽しむためにもタックル選びの参考にしていただきたい。そしてLSJという釣りは1年中楽しむこともできる釣りだ。興味を持っていただけたら、ぜひこの機会に専用ロッドでLSJを楽しんでいただきたい。
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