2024/10/18
コラム
難攻不落のスリットを乗り越えろ。福井健三郎がクリスマス島で狙うアウトリーフのGTゲーム。
アウトリーフのGTフィッシング。この釣りはショアからGTを狙う方法としては、もっとも難しいスタイルのひとつと語る、シマノのインストラクターである福井健三郎さん。新しく登場する「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」をその手に、キリバス共和国のクリスマス島に足を運んだ。秘境とも言えるこの場所の眼前には、岩が隆起してできた荒々しいスリットが広がっている。GTが並大抵の相手ではないことは多くのアングラーが知る事実。ラインブレイクを避けて、いかにしてこのパワフルなGT達と渡り合うのか。まだ広く知られていないこの釣りにある魅力を、ぜひこの機会に知って頂きたい。
キリバス共和国のクリスマス島とは?そこは地球上で一番早く朝を迎えると言われる島。
クリスマス島とはキリバス共和国にある島のこと。今回は羽田空港からハワイを経由してアクセスした。この島は、沿岸部が砂州やサンゴ礁によって外海から切り離されて形成されたラグーンが有名だ。高い位置から見ると、このラグーンが一帯に広がっており、まさに絶景と呼ぶにふさわしい景色に多くの人々は目を奪われる。
今回は、そんなクリスマス島で一風変わったスタイルでGTを狙っていく。それがアウトリーフのGTフィッシング。アウトリーフとは外海に面するエリアのことで、ラグーンのような落ち着いた内海とは異なり、波もあり岩場もありと過酷な釣り場となるのが大きな違いとなる。さらに特に難しくなる要素として、一帯に広がる荒々しいスリットの存在があげられる。今回の釣行では、このアウトリーフでGTを釣り上げるために、このスリットをいかにして攻略するかが大きなカギを握っている。
まだ広く知られていないアウトリーフのGTフィッシング。あえて過酷な場所で狙う意味。
そしてGTはロックショアで大物を狙うアングラーにとって、憧れの強いターゲットといえるだろう。立派な体高に、大きな口でトップウォーターのルアーに激しくバイトしてくる瞬間は、アングラーを興奮の坩堝へと誘う。そして直後に襲いかかってくる強烈な引きは、自分の全体重を使って支えなければならないほど強烈だ。無事にキャッチできた直後には、想像以上の疲労感と特別な感動をもたらしてくれるに違いない。
日本では、生息地の点から釣れる場所は限られているが「今では世界中でGTフィッシングがブームになっています」と福井さんが教えてくれた。そして今回はそんなGTにあえてショアからのアウトリーフという環境で挑む。難易度が特別高くなるスタイルではあるが「これは今の自分のなかでもっとも追求したいと思っているスタイルです」と語る福井さんであった。新しいロッドの性能を確かめる上でもこの上ないチャンス。その目には確かな闘志だけでなく、期待と不安も入り混じった複雑な感情が交錯していた。
いよいよ実釣スタート。チャンスは干潮前後の時間帯に絞られる。
そして実釣初日。宿から現地のガイドと共に移動を開始して、約2時間トラックに揺られてポイントに到着した。まず福井さんは、立ち位置を決めるところから始めた。タイミングとしては干潮で、スリットのてっぺんが露出していて見やすい状態である。
「ルアーはスリットの先に落とすので、取り込むことも考えておくことが重要です」と福井さん。さらに相手はあのパワフルなGT。押し寄せる波の影響で、自身のバランスを崩しやすくなるので、なるべく足場がよくて踏ん張れるような場所でキャストするのが理想とのことだった。
そしてGTは沖とスリットの境目に隠れていることが多い。なぜならそのスリットの先にはブレイクがあって急激に落ち込んで深くなっているからだ。GTはそこから水深の浅くなるスリットにエサを追い込んで捕食してくるイメージだという。こうして立ち位置を決めた福井さんはキャストを開始。ルアーは「オシア ボムスロットル 200F フラッシュブースト」を選択した。このルアーはポッピングだけでなく、タダ巻きでも使える万能なポッパー。福井さんは、キャストごとにアクションを変えつつ、さらには扇状にキャストを繰り返してGTの反応を確かめていた。
待望のファーストヒット。GTとの緊張感あふれる力比べがついに始まる。
こうして間もなくすると、待望の瞬間が訪れる。ルアーが着水してアクションを開始して間もなくの出来事だった。GTがルアーをめがけて激しくバイトしてきた。すかさずフッキングを入れると「ステラSW」の甲高いドラグ音が激しく鳴り響く。それでも冷静に対処する福井さん。GTの走りが少し落ち着いたタイミングを見計らい、ロッドを立てて、パワーを活かして一気に引き寄せた。
難関であったスリットもうまく交わして、キャッチしたのは10kgクラス。「まずは1匹ですね」と幸先のよいキャッチに少し安心した様子の福井さんであった。こうして次第に潮が満ちて潮位が高まると狙いのポイントにルアーが届かなくなる状況に。さらなる釣果はまた次の日に改めることとなった。
最新技術を用いたロッドがもたらしてくれる恩恵。3ピースで高い強度を維持する難しさ。
ここで今回使用しているロッドの「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」について触れておきたい。このロッドはビッグゲームの名前がついている通り、レコードフィッシュとなるような30kgオーバーの大物を狙って釣り上げることをコンセプトにしたロッドだ。
コルトスナイパーシリーズのロッドの中では最も強い破断強度を有しており、太いPEラインやリーダーに対応できるよう径の大きなガイドを採用している、さらに「Xガイド:タッチフリーチタン」を2つ搭載することで、高いトラブルレス性能を追求した。
そして3ピースにすることで利便性の高さも考慮した設計に。つなぎ目が増えると強度が低下してしまい、折れや破損に繋がりやすくなるというデメリットもあるが、その不安はシマノが持つ「スパイラルXコア」と「ハイパワーX」による恩恵を活かすことで、高い強度を実現している。「これだけ持ち運びやすいのはとても便利です。特に空港でのやり取りが本当にスムーズになりました」と海外遠征の多い福井さんが紹介してくれた。
迎えた最終日。さらなる大型サイズを追い求めて。
それでは本題に戻ろう。迎えた最終日。福井さんは4日実釣した中で、数匹のGTをキャッチしていた。しかし、そのどれもが10kg前後の大きさで、できればこれまで以上のサイズと渡り合いたいものだ。
「どうせなら敵は大きいほうがいいでしょう」と最終日にかける思いを語る福井さん。干潮に合わせてポイント入りし、これまでと同様に「オシア ボムスロットル 200F フラッシュブースト」でキャストを繰り返していく。するとしばらくして、ルアーの後方にGTがチェイスしたのを確認。
「よし付いた。そのまま喰え!」とアクションを続けると、狙い通りにフックアップに成功した。しかしそのバイトは目の前とも言えるほど、足元での出来事。GTは一気に反転して深場へ戻ろうとする。ラインブレイクを避けるためにすかさず福井さんは「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」の反発力を活かしてすかさず応戦。見事にGTとのやり取りを制して、キャッチすることに成功した。
クリスマス島の恵みに感謝。福井さんの挑戦はまだまだ続く。
この時、釣れたサイズは10kgクラス。「今回はこのサイズが多いようですね」とのことで、訪れる時期で釣れるサイズの傾向に違いがあることは、新しい発見になったという。そして何より驚いていたのは、当初心配していたラインブレイクによるキャッチミスが一度もなかったことだ。
「このロッドだから成し得たことじゃないかな」とこれまでの釣果を振り返って、改めてロッドの性能に驚いたと教えてくれた。今回の釣行で得た経験を活かして、まだまだ30kg〜40kgクラスを追い求め続けたいと福井さん。さらに「この歳になってもなお必死になって、一生懸命に追い求める楽しさをもたらしてくれる世界はない」とGTに対する熱い思いを語ってくれた。
その挑戦はとどまることを知らず、この情熱に感化されるアングラーはきっと少なくないはずだ。「コルトスナイパーリミテッド ビッグゲーム」はまさに共に夢を追うにふさわしいロッド。自身の夢を追求するそのパートナーとして、ぜひ一度このロッドを手にとっていただきたい。
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