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2023/04/06

コラム

福井健三郎が伝授! GT用シンキングペンシル= オシア ヘッドディップ175HS活用術

福井健三郎が伝授! GT用シンキングペンシル=オシア ヘッドディップ175HS活用術
鹿児島県のトカラ列島・奄美大島を舞台に、世界トップレベルのGTゲームを展開している福井健三郎さん。GTゲームガイド「ビッグディッパ―」を主宰し、愛艇「斗南」を駆るキャプテンとして、さらにトップアングラーとしてこの世界を愛する福井さんに、GTゲーム最新タックル&テクニックについて伺った。

福井さんを魅了してやまないGTの魅力とは?

アングラーとなる以前にダイバーとしてGTに魅了された福井さん。加えてトカラという秘境の魅力が加わってビッグディッパーのGTゲーム、その世界観が出来上がっている。

アングラーとなる以前にダイバーとしてGTに魅了された福井さん。加えてトカラという秘境の魅力が加わってビッグディッパーのGTゲーム、その世界観が出来上がっている。

―福井さんの考えるジャイアントトレバリー(ロウニンアジ・以下、GT)の魅力はどんなところにありますか?

GTがいそうなところに、人形みたいなルアーをキャストして喰わせる、そんなところに一番魅力を感じますね。水面を割って凄い勢いでバイトしてくるシーンもいい。だまし合いっていうのかな、駆け引きが面白いですね。喰わせてからは暴力的な引き。それを制し主導権を握ってやり取りして仕上げる。キャッチしてリリースするまでの動作を仕上げるところも醍醐味ですね。

単独で行動することが多いことから浪人、ロウニンアジと名付けられたGT。その生態に加えて巨大な魚体と迫力満点な姿態。福井さんはGTという魚自体に魅了されている。

単独で行動することが多いことから浪人、ロウニンアジと名付けられたGT。その生態に加えて巨大な魚体と迫力満点な姿態。福井さんはGTという魚自体に魅了されている。

魚自体が好きなんですよね。魚体が格好いい。もともと僕はダイバーで、釣るよりも身近で見てみたい、という思いのほうが先でしたから。GTは断崖絶壁の地形、潮の速いところでも悠々と泳いでいるんです。人が近づいても動じない。お前らは何ものだ、という感じで見に来る。ちょっとグロテスクですしね、顔も形も模様も。でも、そこが格好いいですよね。
自分の人生のなかでGTはとても価値がある存在であることは確かです。自分自身、一点しか見ないような性格なので、これまでの人生でもGTしか見ていないんです。それでも、この魚、この釣りは極めることができません。自然が相手なこともありますしね。たった一種類の魚を追いかけているんですが、意のままにならない。だからこそ続いているし、全然飽きないのだと思います。極めることは出来ないでしょうけれど、少しでも、ひとつでも多く理解したいとは思っていますね。

自身が案内するポイントのほぼすべてで実際に潜って見ているという福井さん。ゲストが絶対的な信頼を寄せるには数々の理由がある。
自身が案内するポイントのほぼすべてで実際に潜って見ているという福井さん。ゲストが絶対的な信頼を寄せるには数々の理由がある。

―フィッシングガイドとして、GTの魅力はいかがでしょうか?

僕はGTフィッシングのガイドなので、お客さんの釣りをよく見ていますし、お客さんの声をよく耳にします。GTゲームの場合、何人かで釣っていてそのうちの1人が掛けたらお客さん同士でサポートしてくれるんです。それでキャッチするとみんなで喜んでくれる。この雰囲気がいいですよね。
いろいろな経験を重ねている諸先輩方であっても、こんなに驚くことはないって言う人も多いですね。バラしたり切られたりすると、次の釣行のときまで夢に出てくるって言いますから。それを超えてやっと釣ったときの達成感。乗合出船で知らない人に抱き着いちゃったりしています(笑)。こんな遊びはやったことがないって。たまに泣いている方もいます。それだけ熱い釣り、エキサイティングな釣りなんですよね。皆さんすごく焦ったり、慌てたりすることも多い釣りですが、GTフィッシングの魅力ってそういうところにあるんじゃないですかね。

シンキングタイプのルアーを使い始めたきっかけとは?

オフショアに比べ、ポイント移動が難しいショアからGTゲームを始めた福井さん。レンジを上下にルアーをローテーションするのは必然の選択だった。
オフショアに比べ、ポイント移動が難しいショアからGTゲームを始めた福井さん。レンジを上下にルアーをローテーションするのは必然の選択だった。

―今回はシンキングペンシルを使った釣りをこれまで以上に展開しました。シンキングペンシルを使い始めたきっかけはいつ頃ですか?

僕はショアからGTゲームを始めています。磯、リーフ、砂浜ですね。磯の大物釣り師に教わってGTを狙っていました。チャレンジを繰り返すうちにトップウォーターゲームで結果が出るようになりましたが、相手も賢いので見切られることも多かったんです。だから、GTゲームを始めてすぐに、水面はダメかな、と思うような状況ではよくルアーを沈めていました。当時はルアーがなかったのでトップウォータープラグにオモリをつけたり、軽いジグを2つくっつけて投げてみたりしていました。もう30年くらい前のことです。そんな感じでシンキングルアーを使った釣りは磯からさんざんやっていたので今でも抵抗はないんです。
15年くらい前ですかね、当時すでにシンキングペンシルって呼んでいましたが、そのルアーでGTをよく釣りました。トカラ列島では堤防からナイトゲームでGTを狙える季節があって、その時期にトップより水面下を狙うほうがヒット率が上がるパターンがあったんです。友人にシンキングペンシルを作ってもらってよく釣っていました。そのルアーを使って昼のボートゲームで試してみたらもの凄く釣れて。昼でもボートからシンキングペンシルの釣りが通用するんだ、と思いましたね。水面下引き、中層引きをする釣り方です。レンジを下げていってもGTはヒットしてくるんだ、ということがよく分かりました。そのあたりから僕のボートからのシンキングの釣りは始まっていますし、いまのいろいろなGTの釣り方につながっています。

投げて巻くだけでヒットする! オシア ヘッドディップ175HS

トカラ釣行で大活躍したオシア ヘッドディップ175HS。あくまでもベースはトップウォーターゲームとしながらも攻略の引き出しが増えていることは間違いない。

トカラ釣行で大活躍したオシア ヘッドディップ175HS。あくまでもベースはトップウォーターゲームとしながらも攻略の引き出しが増えていることは間違いない。

―トップウォータープラグに比べ、シンキングペンシルの優位性はどのようなところにありますか?

シンキングペンシルの最大の特長は水面に飛び出すようなミスアクションが起こりにくいことです。切り立った地形の近くを攻めることが多いトカラのGTゲームでは、風波、潮波に加えて、返し波を合わせた3つの波でグチャグチャになることがよくあります。不規則な波の中ではフローティングタイプのダイビングペンシルはどうしても使いにくい。水面から飛び出したり、水面上を転がったり、フックとリーダーが絡まるトラブルが多発します。こうした状況では、シンキングペンシルを使って水面下50cm、1mを引いてくるアプローチがとても有効です。ウェイトがあるので飛距離を出しやすいですし、フローティングタイプに比べてフッキング率が高い点も長所ですね。

派手な飛沫を伴うアタックを味わえるのはやはりGTゲームの醍醐味。あくまでも主力はトップウォーターゲーム。しかし、シンキングでなければ出会えない魚がいるのも確かだ。
派手な飛沫を伴うアタックを味わえるのはやはりGTゲームの醍醐味。あくまでも主力はトップウォーターゲーム。しかし、シンキングでなければ出会えない魚がいるのも確かだ。

―今回の釣りでは新製品のオシア ヘッドディップ175HSが大活躍しました。

あまり長くはなくて、しっかり沈み、飛行姿勢がよくて飛距離が出る。そんなGT用のシンキングペンシルが欲しい、というリクエストを製品化してもらったのがオシア ヘッドディップ175HSです。ベースになったのはヘッドディップ175Fですが、ウェイトは185gあります。より重いもの、より軽いもの、いろいろなプロトモデルを試しましたが、テストの結果185gに落ち着きました。誰でも使いやすい、投げて巻くだけでヒットが期待できるイージーなルアーに仕上がっていると思います。
使い方の基本はキャストして沈めてから、軽いトゥイッチで巻いてくるだけです。僕の場合は、根掛かりしてしまうので着底はさせません。1回のキャストで何回も沈め直すこともしません。ノンストップであまりラインスラックを出さずに引いています。自分のリズムでトゥイッチしていますね。速巻きしているつもりはないけれどよく速いですね、と言われます。ゆっくり、速くすることもありますけど、たまにやるだけですね。
沈める深さはポイントや状況によってケースバイケース。出ていくラインをサミング(フェザーリング)してコントロール、少しラインを張る感じで沈めています。フォール中にヒットしてくることも多いのであまりテンションを抜くと対応が遅くなるので注意したいですね。

任意のレンジまで沈めてから自分のリズムでトゥイッチするだけ、と福井さん。シンプルだが体に染みついた「釣れる」アクションがあるようだ。
任意のレンジまで沈めてから自分のリズムでトゥイッチするだけ、と福井さん。シンプルだが体に染みついた「釣れる」アクションがあるようだ。

バイトはいきなりゴンっと来ることが多いですね。フォール中にGTがルアーについていっていることが多いのでは? と思います。だから引き始めはとくに要注意。GTがルアーの後ろにつくと水流が変化するのでしょう、前触れを感じることも多いです。重たく感じたり軽く感じたりすることがよくあります。そんなときは止めたり、少しだけフォールさせたりしてバイトチャンスを作ることもあります。
使う場合の注意点としては、ルアーを沈めて攻略する場合、時間が掛かるので1回の流しでのキャスト数が少なくなることをよく考えてほしいですね。潮流が速い、風が強いといった条件下で船が速く流れてしまうときは、タイミングをよく考えてキャストすることが大切。引き始めたときには根から大きく離れてしまう、という状況もありますから。効率も考えるとピンポイント狙いよりもトップで水深20m、30m程度の根周りを狙うのに適していると思います。また、185gとかなりのヘビーウェイトなので、ロッドはある程度パワーがあるものを選んでもらいたいですね。シマノ製ロッドで言えばHクラスがおすすめ。キャスト切れにも要注意です。まず回収できませんから。

リリースを前提とした釣りだから福井さんはシングルフックを使用する。ときには水中にダイブしてまでリリースする。GTとGTゲームをこよなく愛し、末永くこの釣りを楽しむためだ。
リリースを前提とした釣りだから福井さんはシングルフックを使用する。ときには水中にダイブしてまでリリースする。GTとGTゲームをこよなく愛し、末永くこの釣りを楽しむためだ。

僕自身はシングルフックをセットして使っています。リリースを前提にしているので、なるべくGTに傷をつけたくないからです。掛かってからはフックアウトしにくいし、前後のフックが魚体に掛かってキツいファイトになることを避けやすい、といった利点もあります。吞み込まれたときも外しやすいですよね。シングル、トレブル、いずれを使う場合でもルアーのバランスを崩さない適正なサイズをセットして使うことが大切です。ヘッドディップ175HSのカラーは実績のある6色が揃っています。自分自身はあまりこだわりなくいろいろなカラーを使っていますね。

STピンクバックのカラーにヒット。シルエットをはっきりさせる意図で選択した。

ヘッドディップ175HSにはナチュラル&アピール合わせて実績に基づいた多彩な6色がラインナップされている。

福井さんがトカラ、奄美エリアで使用するルアーの一例がこちら。写真上からオシア ワイルドレスポンス240F、ヘッドディップ200Fフラッシュブースト(175Fフラッシュブーストも使用)、ヘッドディップ175HS。
福井さんがトカラ、奄美エリアで使用するルアーの一例がこちら。写真上からオシア ワイルドレスポンス240F、ヘッドディップ200Fフラッシュブースト(175Fフラッシュブーストも使用)、ヘッドディップ175HS。

―ヘッドディップ175HSを加えた、福井さんのフェイバリットルアーを教えてください。

ヘッドディップ175HSはいいルアーですが、基本的にGTゲームはトップウォーターが中心だと考えています。レンジを下げて釣ることもありますよ、というくらいです。奄美、トカラの場合は、経験をもとにこのポイントはフローティング、このポイントはシンキング、というくらいで、それほど多くシンキングペンシルを使うわけではありません。僕自身はフローティングタイプのダイビングペンシルはヘッドディップ175F、200Fフラッシュブースト、ワイルドレスポンス240Fの3本を使います。基本はヘッドディップ200Fフラッシュブースト。いつでもどこでも使います。ヘッドディップ175Fフラッシュブーストはライトタックルで使うことが多いですね。トカラでは潮波、風波のほか、岸壁や絶壁に当たっての返し波の3つが重なることがあります。こうした波が激しいときはヘッドディップだと水面を飛んでしまう。そういうときにはワイルドレスポンス240Fを使ってなるべく水面から飛び出さないようにします。それでも対応できないときにはヘッドディップ175HSを使って水面下を引くことが多いですね。

ヘッドディップ200Fフラッシュブーストは福井さんのメインルアー。基本性能の高さゆえ、いつでもどこでもキャストする、信頼の1本だ。
ヘッドディップ200Fフラッシュブーストは福井さんのメインルアー。基本性能の高さゆえ、いつでもどこでもキャストする、信頼の1本だ。

福井健三郎流 GTタックルについての基本的な考え方

キャスト&リトリーブを繰り返すのがGTゲーム。すべてのキャスティングゲームのなかでもハードさはトップレベル。それだけにタックルは軽くあってほしい、と福井さん。
キャスト&リトリーブを繰り返すのがGTゲーム。すべてのキャスティングゲームのなかでもハードさはトップレベル。それだけにタックルは軽くあってほしい、と福井さん。

―GT用のタックルについて基本的な考え方を教えてください。

GTゲームはファイトよりアクションさせている時間のほうがはるかに長いのが特徴です。ロッドとリール、つまりタックルが重いとルアーをアクションさせているだけで疲れてしまいます。投げ続けているうちに飛距離は落ちてくるし、疲れ切ってしまっていざヒットしたらどうしようという感じになってしまう人もいます。やはりタックルは出来るだけ軽いほうがいい。最近はGTタックルがどんどん軽くなって選択肢が増えました。ルアーも軽くなっているし、誰でもきちんとキャストして、最後までファイトできるようになりました。女性アングラーも増えていますが、これもタックルが軽くなったからだと思います。ルアーもよく飛ぶし、引き重りがないものが増えています。GTに関しては日本の女性アングラーは世界最高峰だと思いますよ。
僕自身が普段セットしているタックルは、ロッドがオシア フルスロットルS88H、リールがステラSW14000XG。メインラインはオシア8の6号、リーダーがオシア ナイロンキャスティングリーダー100lbです。ガイド中は基本的にあまり投げませんし、投げるとしても数投しておしまいということが多いのでロッドは強めのものを使っています。

ストラディックSW14000XGは中価格帯に位置付けられるリール。しかし、超クラスの基本性能に加え、数々の先鋭フィーチャーを搭載。実釣を経てGTゲームでも十分することが証明された。

ストラディックSW14000XGは中価格帯に位置付けられるリール。しかし、超クラスの基本性能に加え、数々の先鋭フィーチャーを搭載。実釣を経てGTゲームでも十分通用することが証明された。

―リールについてはいかがですか?

リールはドラグが命ですね。GTも20kg、30kgとなればラインを出さずにはやり取りできません。滑り出しが滑らか、その後は均等に負荷が掛かる。そして、締めたいときに締められる。以上がドラグの理想です。僕の場合、初期設定は3~4kg。締めているとフッキング切れが起きやすいので緩めです。PEラインはどこで傷んでいるか分かりませんからね。フッキングパワーが出せないのでは? と聞かれることも多いですが、自分の中では問題ないと思っています。
ドラグワークとしては、ヒットしたところが浅くても深くても、まず最初に根ズレされる危険性があるかどうかを気にします。あとはGTのサイズ。これらを考慮してドラグをどのように操作するかを決めます。基本的にはドラグを締めて相手にプレッシャーを与えます。止まらなければさらに締めていきます。たまにサミング(フェザーリング)もしますよ。魚が疲れて止まったら、そこからリフティングに移ります。その時点で根ズレの心配がなければドラグを緩めます。リフトするときにチリッと、チリッとラインが少し出るくらいですね。ファイト中、ロッドを下げながら巻くときに少しテンションが緩みます。プレッシャーから解放されたときにGTが走り出すことがあります。このときにドラグが強いとラインブレイクすることがあります。ファイト中にハリ穴が拡がっていて抜けてしまう可能性もあります。自分が手すりにぶつかってテンションが緩んでしまうときもあります。強いドラグだとこうしたトラブルに対処しにくい。調整は大切ですがドラグ性能の良し悪しもキャッチできるかどうかに直結します。ドラグのトラブルでラインブレイクもありますからね。GTを掛けてからはとにかくドラグが命ですね。

リールはドラグが命、と福井さん。初期設定は3~4kgと緩め、そこから状況によって締め込んだり、緩めたり。臨機応変が福井さんのスタイルだ。

リールはドラグが命、と福井さん。初期設定は3~4kgと緩め、そこから状況によって締め込んだり、緩めたり。臨機応変が福井さんのスタイルだ。

リールの強度も重要です。使っているときに求められる瞬間的な強度はもちろん必要。さらに耐久性も大切です。でも、最近はリールトラブルって本当に少ない。巻き上げの軽さも重要です。一番、ありがたいのはファイト中の、疲れているときですね。ルアーを動かしているときに軽くラインスラックを取れるのもありがたいですね。XGを使えば素早く巻けますしね。以前に比べれば体力を使わずに釣りができるようになりました。リールは巻き上げが軽いに越したことないですよね。

巻き上げが軽いしドラグも合格点。ストラディックSWはGTゲームでも使えるリール

力強くリールを巻き、GTをグイグイと浮かす福井さん。ドラグ性能は合格点。巻き上げも軽く、力強い。GT用リールとして十分な性能あり、と福井さんのお墨付けを得たストラディックSW14000XG。
力強くリールを巻き、GTをグイグイと浮かす福井さん。ドラグ性能は合格点。巻き上げも軽く、力強い。GT用リールとして十分な性能あり、と福井さんのお墨付けを得たストラディックSW14000XG。

―今回はストラディックSW14000XGを使いました。フラッグシップモデル、というわけではありませんが、GTゲームでも問題ないでしょうか?

今回はストラディックSW14000XGをしっかりテストしました。中価格帯のリールでありながら剛性感も高く、使用感としてはまったく問題は感じませんでしたね。巻き上げも軽いし、十分にGTゲームで使えるリールだと思います。釣行時には33kgを筆頭に4匹のGTとファイトできました。なかでも33kgのGTとのファイトは、水深があるポイントでのヒットだったのでかなり走らせて、ドラグの効き具合をチェックしながらのファイトを展開できました。結果的に、何も問題はなく安心してファイト出来ましたね。あらためて言うことですが、僕はドラグに関しては、滑り出しの滑らかさ、ラインの放出中に均等に負荷を掛けてくれるかどうか、といった要素を重視します。これらの要素でも十分に合格点にあると思います。締めれば、しっかりと負荷を掛けてくれましたしね。ドラグ性能の高さは採用されているXタフドラグのおかげでしょう。自分はドラグの初期設定3~4kgの負荷を、状況によって最大で10kg程度まで上げていくことが多い。ストラディックSW14000XGは最大で15kgまで負荷を掛けられるので、大型GTとのファイトでも十分に対応できると思いますよ。

耐久性を確保するベースとなる防水対策も特長のストラディックSW14000XG。過酷なGTゲームでの活躍が期待される。
耐久性を確保するベースとなる防水対策も特長のストラディックSW14000XG。過酷なGTゲームでの活躍が期待される。

巻き上げの軽さも評価できますね。ヒットするまでの時間が長いのがGTゲームの特徴のひとつです。巻き上げが重いとどんどん体力を取られてしまいます。ストラディックSW14000XGにはインフィニティドライブが搭載されているので、巻き上げがとても軽く、身体への負担も少ないですね。14000番サイズ、XGモデルなので最大巻上長は134cmあります。GTゲームではとても使いやすい設定だと思います。卵型のラバータイプのハンドルノブもしっかり力をいれた巻き上げができます。とても使いやすいですよ。
防水性能の高さも助かりますね。GTゲームは移動中に潮を被ることが当たり前の釣りです。車の高圧洗浄機みたいな凄い水圧でリールに飛沫が当たります。反面で船が止まれば焼けるような暑さの中での釣りになることもあります。リール内に潮水が入って乾いて結晶化すると腐食はもちろん、さまざまなトラブルを起こします。過酷な環境が大前提の釣りなのでXプロテクト、Xシールドといった防水面をサポートしてくれる各フィーチャーが採用されていることは、とても安心できますね。

3ピースということを忘れ、気持ちよくやり取りできるグラップラー タイプC

「ロッドに仕事をしてもらう」、福井さんの信条だ。しっかり曲がって復元、支えているだけでGTを浮かせてくれるロッドが理想的だ。
「ロッドに仕事をしてもらう」、福井さんの信条だ。しっかり曲がって復元、支えているだけでGTを浮かせてくれるロッドが理想的だ。

―ロッドに対しての基本的な考え方を教えてください。

以前から言っていることですが、ある程度、曲げてファイトできるロッドがいいですね。ヘビーなロッドだとキャストを繰り返しているだけで疲れてしまう。軽い、軟らかいロッドならファイト中に休むこともできます。GTゲームはガンガンやる、ヘビースタイルの釣りだと思われていましたが、そうではないですから。僕自身、曲がるロッドが好きですし、力で上げるよりもロッドの曲がりを利用して獲るタイプのアングラーです。ヘビーなロッドは僕の釣りには必要ないです。いつもMHかな。Mになると少し軟らかくて、僕の場合はキャスティングが上手くいかない。基本的にロッドの使い分けはしません。いつも同じロッドを使っています。キャスティングって何かを変えてしまうと大きく変わってしまうんです。

福井さんのファイトスタイルはパワフルファイトではない。やり取りは流れるようにスムーズ。ロッドのパワーをフルに利用し、緩急自在に対応してキャッチしてしまう。
福井さんのファイトスタイルはパワフルファイトではない。やり取りは流れるようにスムーズ。ロッドのパワーをフルに利用し、緩急自在に対応してキャッチしてしまう。

―今回、ロッドはグラップラー タイプC S82MH-3を使いました。使用感はいかがですか?

今回、33kgの中型GTまでを何本がキャッチしましたが、曲がりはとてもいいですね。3ピースだから何かをセーブしなければいけない、ということはありませんでした。だいたい釣っている間は3ピースということを忘れていましたよ。これまで50kgオーバーの大型GTも獲っていますけど、いつも3ピースってことを忘れています。値段も高くはないですしね。そこも凄いです! 絶賛します(笑) スパイラルX、ハイパワーXを搭載しているので安心して曲げられます。
そもそも3ピースロッドのいいところは仕舞い寸法が短くなるということ。これが唯一の長所です。飛行機でも宅急便でも預けやすいし、しっかり運んでくれます。GTフィッシングは遠征の釣り。ほとんどは飛行機での釣行になるので、仕舞寸法が短くなるということは大きなメリットです。追加料金も発生しませんしね。でも、お金以上のこともあります。信じられないことですが、海外に行くと平気で飛行機に積んでくれなかったりしますから。積んでくれるよな、積んでくれるよな、と確認しても、現地に着いたら「やっぱり積めなかったから積まなかった」とか平気な顔で言われます。ロッドがないじゃん、どうやって釣るの? って(笑)。過去に何回も経験がありますよ。

継数が多い、それだけ数々のトラブルを起こしてしまうのが3ピースロッドの短所。しかし、これが克服されれば長所しか存在しない。

継数が多い、それだけ数々のトラブルを起こしてしまうのが3ピースロッドの短所。しかし、これが克服されれば長所しか存在しない。

本来は3ピースロッドの短所は多いんです。GTゲームのキャスティングではラインがガイドに巻き付きながら飛んでいくので、ピース単位で回ったり、緩んだりすることがあります。ひどいのは抜けたりもします。でもグラップラー タイプCはほとんどネジれたり、回ったりすることはありません。抜けたりすることもないです。短所もありがちな3ピースロッドですが、このロッドは見事に短所を解消しています。釣りしている間はキャスティング中もファイト中も3ピースってことを忘れています。3ピースロッドって本来は短所が90パーセント、あとの10パーセントが長所なんですけど、その10パーセントが90パーセントに勝てる絶対的な長所なんです。でもグラップラー タイプC S82MH-3はその短所も克服している。そこが凄いですよね。

プロフィール

福井 健三郎 (ふくい けんざぶろう)

[インストラクター]

日本を代表するタフなGTフィッシャーマン。「ビッグディッパー」のキャプテンガイドとして、多くのアングラーにGTフィッシングの魅力を伝え続けている。

SNS:

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