2017/01/18
コラム
山本太郎直伝 黒鯛流儀 山本太郎流 「カキチヌ釣法」いよいよ実釣編!~その2~
INDEX
マキエサワークとダンゴ使い
実際に撒く量については前述した通りだが、釣り始めはやや多めに撒き、エサトリとはいえ魚の気配が出てきたら若干抑え気味にする。表現・解説が難しいが、ちょっとしたエサトリの動きの変化、またエサトリが「いつアタるか?」たとえば最初の着底直後か、着底後しばらくしてからか、誘いを入れてからか等の状況を加味してマキエサの量を微調整したり、ときには完全に止めてサシエサだけで打ち返す場合もある。
マキエサワークも決して一本調子ではダメなのだ。
ダンゴについても同じことで、状況に合わせてサシエサ投入の度に打つ場合もあれば、高活性時完全に止めてしまうこともある。マキエサ、ダンゴ共にただドカドカと打てばいいというのではなく、状況に合わせた緻密な微調整が功を奏すと考えてほしい。
ともあれマキエサ、ダンゴを打つ時は必ず仕掛けを回収しているタイミングに限る。チヌという魚はすでに落ちてしまったエサより、今まさに落ちてきたエサに強い興味を示す。サシエサが底にある状態でマキエサ、ダンゴを入れてしまうと、チヌはサシエサでなくマキエサ、ダンゴに意識が移ってしまうのでくれぐれも注意したい。もうひとつ、カキクラッシュをシャクですくって撒く時、やや潰れ気味の殻付きやムキ身の欠片が出てくることがある。これらはサシエサ用に作ったものより喰いが良く貴重なエサ。必ず除けておいて、「ここぞ!」という場面で使ってみよう。
尚、カキムキ身の場合、身の中央部にある貝柱とヒモの部分は喰いも悪く、切り落としてしまうが、切り落とした貝柱とヒモは捨てずにすり潰してダンゴに混ぜ込むことで効果がグンとアップする。
エサトリについて
カキチヌにつきものといってもいいエサトリがフグと海タナゴ。
特に三重県鳥羽周辺の釣り場では海タナゴは常連で、ともすればかなり厄介な存在になるほど。フグは種類を問わず底または底近くにいるが、海タナゴは中層のカキ棚に群れで居着き、サシエサを投入すると一斉に出てきてついばみながら落ちるエサを追撃してかすめ取ってしまう。片割りや半貝の殻付きの場合、比重が重くても抵抗が強いため、どうしても沈下速度が遅くなるが、その殻付きでは時として全く歯が立たなくなる。海タナゴが多くて着底させるのが困難な状況下では、回避法としてサシエサの3通りの使い分けがある。次の通りだ。
1)片割りダンゴ →片割りした部分からハリを刺し、身が露出しているところにダンゴを貼り付けるように握り込む。この場合のダンゴはやや水分多めがやり易い。
2)ハリス巻き→半貝の状態でハリを刺し、片方の殻を元に戻す。殻から出ているハリスで10周程貝が開かないよう巻きつけて、最後にハリスをU字にして巻きつけたハリスと貝殻の間に通す。通したハリスは簡単に抜けないよう、長めに抜いておく。ハリスを引っ張り合いしないよう先に先にラインを送っていき、最後に竿を腕 一杯に構えてラインを張ってやる。コロコロとラインが解けていく感覚が伝わり、全て解けたら竿で誘導しながらサシエサを着底させる。(ハリスにキズがつかないようカキ殻のバリをナタできれいにカットしておく)
3)大オモリ装着のムキ身→ワタの身の部分のみをハリに刺し、0.8~2号位の大きめのオモリで落とす。海タナゴはゆっくりと落ちていくエサには追撃するが速く落ちるエサは見切ることが多い。様子を見ながらオモリを使い分けよう。オモリの位置は長く取り過ぎると沈下時に絡まり易い。15~20cmが適正だろう。
これで中層の攻撃は回避出来る筈だが、とはいえ海タナゴは底近くあるいは底で居着くことも往々にしてある。フグもまた然りだが、底で頻繁にアタリが出る場合はいつチヌが紛れ込んで来ても対処出来るよう細心の注意を払っておこう。いずれのエサ、いずれの状況下であってもエサの刺し方はワタの部分へチョン掛けが基本。身が大きいからといって決して縫い刺しにしてはいけない。フグが頻繁にアタるところではハリスが噛まれ、せっかくチヌが掛かってもあっさりラインブレイクしてしまう。注意してほしい。
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