2019/10/31
コラム
大阪湾のテンヤタチウオ
シマノインストラクター 富所 潤さんが「釣りの楽しさとは何か」という単純かつ永遠の謎の答えを求めて釣り歩く。まずはテンヤタチウオの本場、大阪から。
大阪湾出船
2019年10月、曙に浮かぶ切り絵のような大阪の街を背に、大阪湾へ出る。
北に神戸、六甲山、西に明石海峡大橋と淡路島。そこはいわゆる「神戸沖」、水深70mの場所で釣りが始まる。
大阪湾のタチウオ釣りは、「サーベルマスター 船テンヤ」、「サーベルマスター 船テンヤ ゲキハヤ」を使う。テンヤの重さは40号、または50号。船宿ではテンヤの号数と、道糸はPE3号以下でそろえることが徹底されていて、予約時にも、船でもアナウンスされる。さらに、余分なハリや、パイプ類も不可。
「皆さんが気持ちよく釣りをしていただくために、ご協力お願いします」
活字にすると堅苦しいセリフも、関西弁のイントネーションで船上に流れるとなごむ。想像してみて……ね、いい感じでしょ。
面白さの秘密は“巻掛”
テンヤタチウオの釣り方で、小さく誘いながら巻き上げて止める、の繰り返しのほか、有効とされるのが「低速巻き」。この日、本場・大阪湾の船上でも、多くの人が低速巻きでアタリを出させていた。
その中で富所さんが軸とする誘いは「微速巻き+シャクリ」。「フォースマスター600DH」の速度1という、アリが歩く程度の“微速”で巻きながら、シャクリ、止めを織り交ぜていく。
一見、巻いていないように見えても、テンヤはわずかに上へ動き続ける。タチウオに上へ追わせる、あるいは、タチウオがエサを上へ追う習性に訴える誘いだ。
シャクって止めて数秒(正確には微速巻き中)、竿先を凝視していると……ククンとアタる。
これが実に面白い。
上に泳ぐ、といえば、ハリの掛かり所とテンヤの姿勢、動きも興味深い。タチウオが下からエサを喰いにきた場合、テンヤはスッと数cm、ヘッドを上げればよく、跳ね上げるアワせは掛かりにくいことになる。
「ぼくの釣り方は“巻掛”です」
竿先にアタリが出るたび、そのままの姿勢でクリッとハンドルを回す富所さん。
「巻掛だと、掛からなかったときにも再びエサを追ってくるんです」
つい力んで強く、大きくアワせて掛からず、アタリが途切れてしまう体験をした人は多いはず。これが、巻掛では起こりにくいのだと言う。
「竿で早く、大きくアワせると、場合によってはタチウオがテンヤを見失ってしまい、付いてこれないのだと思います。これがハンドルを巻くだけであれば、テンヤの移動距離はフォースマスター600DHの1回転で50cmほどですから、竿が吸収する分を考えると、スッと持ち上がるぐらい。つまり、アワせて空振りしても、タチウオにとっては、エサが逃げたアクションに見えていると思うんです」
ククン、クリッ……ククン、クリッ。アタリ、即、巻きを繰り返して……掛かったら、タッチドライブオン!
「く〜たまりません!」
指幅4本を中心に5本幅も混じってくる。
「そういえば、最近は日が高くなると喰いが落ちると聞いてたのですが、ずっと喰ってますよね?」
たしかに。船長も、今日は喰いがいいと言っている。
富所さんは喰い渋りを想定して「サーベルマスターSSテンヤ 73 M190 RIGHT」を使っているが、波が穏やかで喰いのいい日に数をのばすなら、アクティブにテンヤをコントロールできるサーベルマスターSSテンヤ 82タイプがおすすめだと言う。
「82で積極的に釣ればもっと数がのびるのでしょうが、この73を使って巻掛で乗せるのも楽しいんですよね。ほら乗った!これは大きいかも!」
アタリを出させること、どうやって掛けるかイメージして動かすこと、その答えとして、目と手に伝わってくる鋭く重い感触。
快晴の大阪湾でタチウオ釣りを存分に楽しみ、昼すぎに沖揚がりとなった。
「数」か「型」か!?
ところで、関西の釣り人はタチウオ釣りの楽しみに「数」と「型」どちらを求めているのだろう。同船の人に尋ねた答えは、「両方やね!」がほとんどだった。
楽しむこと、食べることに欲張りな関西人が夢中になるテンヤタチウオ。この釣りが関東で流行らない理由は、見当たらない。
FISHING TACKLE
ROD
サーベルマスターSSテンヤ 73 M190 RIGHT
全長 1.90m
継数 2本
仕舞寸法 99.0cm
自重 130g
テンヤ号数 30~60号
REEL
フォースマスター600DH
ギア比 5.1
最大ドラグ力 8.0kg
自重 500g
糸巻量PE[タナトル8] 2号300m
3号200m
ハンドル長 55mm
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タナトル 8[TANATORU 8]
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