2023/12/26
コラム
習性を理解して優しく誘う。イカ先生のヤリイカベーシック!
東北でも近年注目され、全国的に人気を集めるイカメタルゲーム。誘ってアタリを取るそのゲーム性、イカの美味しさなどが人気の主な理由だろう。三陸エリアでは夏〜秋にかけてケンサキイカが席巻し、夏の定番ターゲットのスルメイカを凌駕するほどであった。この爆釣を機にイカメタルを始めた人も多いのではないだろうか?
そして季節は冬へと移ろい、次なるターゲットとなるのがヤリイカだ。とりわけヤリイカはイカ釣りの中でも特に繊細だとされ、ゲーム性をより押し上げてくれる。今回、三陸ヤリイカの走りのシーズンに実釣を行ったのは、イカ先生こと富所潤さん(シマノインストラクター)。これからヤリイカ狙いのイカメタルを始めてみたい方に向け、イカ先生がベースとする釣り方などを伺ったので紹介したい。
タックルの揃え方
まずはイカメタルについてのおさらい。この釣りはメタルスッテ+ドロッパーのシンプルな仕掛けでイカのアタリを取り、釣っていく。ただ数を釣るだけなら、古くからあるイカサビキ仕掛けに分があるが、イカメタルは1杯のイカと対峙し繊細なアタリを取って掛ける…ここに面白さが集約されている。
【タックル】
長さ6ft前後のM(ミディアム)クラスの専用ロッドにカウンター付きベイトリールの組み合わせだ。ラインはPE0.6号前後にショックリーダーがフロロカーボンライン3号前後を1ヒロ(約1.5m)が標準的なタックルの目安。地域によってもっと強いタックルが求められるケースもあるが、東北・三陸エリアでは上記のセッティングで問題ない。
仕掛けはハリス先端にオモリの役目ともなるメタルスッテをセットし、エダスを出してドロッパーとなる浮きスッテやエギをセットする。上級者になれば自作する人も多いが、始めは市販の仕掛けを使うのが間違いない。シマノからは「アシストリーダー」シリーズが出ている。ショートタイプやロングタイプ、ダブルエダスタイプなど様々な状況に対応できる7種類のラインナップから選べる。
また、イカメタルの釣り方の一つとして近年人気のオモリグも有効。オモリグとはリーダーにセットしたオモリからロングハリスを出したタイプで、よりスローな誘いができる他、スピニングタックルによるキャスティングで広範囲を狙うこともできる。
イカ先生イチ推しアイテム
今回の実釣は岩手県宮古沖。水深50m前後で狙うことが多い当地に合ったロッドを紹介。
【セフィアエクスチューンメタルスッテB511UK-GS】
ウキに見立て上下の揺れるようなアタリを判断できる目感度重視で人気の「ウキウキトップ」搭載。そのウキウキトップをショート化し軽量化、グリップの「Xシート フロントトリガー」も相まって操作性が向上。積極的な誘いから掛けを行える5ft11inグラスソリッドティップモデル。
【セフィアXRメタルスッテS70M-S/R】
オモリグ用に用意したのはこちらのスピニングモデル。7ftのレングスでキャスティングもカバーしながらM(ミディアム)アクションのオールマイティアイテム。オモリグ対応調子で「ハイレスポンスソリッド」を採用。長ハリス時にもアタリを鋭敏に捉えるためのセッティングとなっている。
ボトム中心を優しく誘う
始めにイカの性格的なことを話すと、スルメ、ケンサキ、ヤリイカのツツイカ系で比べるとスルメが積極的で果敢にアタックしてくるのに対し、ヤリイカは控えめでじっくりと見てから腕を伸ばすタイプ。その中間がケンサキになる。
ヤリイカはスルメやケンサキなどと比べるとタナがハッキリしていて、基本的にはボトム狙いが中心となる。底から3m位までで、上げたとしても5m以内がレンジだ。中層まで浮くケースもあるが、それはごく稀なので無視しても良い。ある意味レンジがハッキリしている分、ビギナーにも狙いやすいし、活性が高ければ連発させやすい特徴もある。その中でどうやって誘って、掛けていくかを次に紹介したい。
まずは仕掛けを下ろしたら必ず底を取る。着底したらすぐにリールを巻いて底を切る(糸フケを取る)。三陸エリアでは岩礁帯も多いため、早い立ち上げが根掛かりを防止する。
次に誘い。スルメやケンサキはレンジが広いため、誘いながら徐々にタナを上げていったりするが、前述のようにヤリイカはボトム中心のレンジであることから、ワンピッチジャークでシャクリ上げる必要はなく、むしろリールは巻かず同じ位置でのリフト&フォールでも良い。
リフトは大中小の三段階だとしたら中くらいのリフト幅を基本とし、ゆっくりと誘ってピタッと止める。そこからジワーッとテンションフォールさせてステイ。アタリがなければまたリフトアクション…と繰り返していく。前述のようにヤリイカは臆病で控えめなためじっくりとスッテを見ていることが多く、基本はやさしく丁寧な誘いがセオリーだ。ところが、大きな誘い幅やシェイク、素早いシャクリからのフリーフォールなど動きのあるアクションが有効な場合もあるため、色々と試して誘いのバリエーションを増やしてほしい。
悪条件下でのトライ
さて、ここからは10月下旬に行った取材を振り返ってみたい。
訪れたのは岩手県宮古エリア。自身初となるエリアで期待高まる中、午後3時30分に出船。ヤリイカの走りのシーズンでまだポイントは絞りきれていない状況だったが、直近で数が上がった重茂半島沖の55mラインを目指す。
ややウネリが高い状況に浮きスッテの暴れを抑え安定させるべくセレクトした仕掛けが「セフィアアシストリーダー(ロングタイプ)」。15cmのエダス長で暴れを抑えながらゆっくりと誘える。メタルスッテにシルエットがコンパクトで小さいイカや群れが散っている時にも効く「セフィアコロコロスッテ」20号、浮きスッテに「セフィアフワフワスッテII」Sをセレクト。
前号のティップエギング記事でも紹介したが、エギ・スッテのブレが釣果に直結するのはヤリイカでも同じ。高いウネリの中でも足、腰、肩、肘、手首など全身のクッションを使ってステイ時にブレさせないように狙っていく。
午後5時、辺りも暗くなり始め漁火が点灯。さぁ、ここからが本番!といったところだが、予報に反したゲリラ豪雨と強風に見舞われる。かなりのラフコンディションだったが、灯りが効いてきたころに船中11号が左舷ミヨシで上がった。イカが居ないわけではなさそうだが、このウネリの中でアタリを取るのが難しそうに見えた。
とどまるところをしらない風雨ウネリだが、イカ先生にも待望の1杯が!スッテを安定させるようにロングポーズしていたところへのヒットだった。こういったラフコンディションの中では奇をてらったアクションより、セオリー通りの釣りでしっかりとアタリを取ることが重要だと話す。
その後、なんとか1杯追加したものの、午後7時無念の早上がりタイムアップとなった。後ろ髪ひかれる思いで宮古を後にしたイカ先生だったが、「東北は今年、ケンサキイカも釣れるようになったし、ヤリイカもこのままでは悔しいので来年また来ます!」とリベンジを誓った。
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