2020/10/13
コラム
家族で楽しむ渓流釣り
家族で楽しむ渓流釣り
入門:ルアー編
家族や仲間、子どもと一緒に自然の中へ。
気軽に自然と向き合い、趣味に没頭できる素敵な時間をくれるアウトドアでのアクティビティ。
その楽しみ方の一つに、釣りを加えてみよう。日本の豊かで清い水が与えてくれる川の恵みは、生き物を捕まえるという心揺さぶる感動と、それから焚き火で味わう食事に、メインの一品を加えてくれる。
川を学ぶ、魚を学ぶ、
命を学ぶ渓流釣り
川のほとりまで足を運んだのに、川のせせらぎを眺めるばかりではもったいない。せっかく家族や親子連れで川を訪れたなら、水を使って生き物と触れ合い、遊んでもらおう。
川に浸かって遊ぶのも楽しいが、親子で一緒の時間を過ごすなら渓流釣りがオススメだ。
竿先まで神経を張り詰め、いつアタリがあるかと焦れていても、心のどこかがのどかにほぐれている不思議な感覚。
鉤に魚がかかり、その重みがぐっと腕に届いた時の興奮と感動。
渓流釣りは、大人には安らぎと野生的な興奮を、子どもにとっては知的な好奇心を与えてくれる、自然がくれた最高の遊びなのだ。
魚の気分になって、
親子で実験&
作戦会議を立てよう!
渓流釣りは、川の様子の観察をするための絶好の機会。
まずはどうしたら魚が釣れるか、親子で作戦会議をしてみよう。
- 魚はどんな場所に潜んでいる?
- 川の流れの早い場所と遅い場所、どちらが魚にとって居心地がいい?
- 川の魚はどんな色をしていると思う?
- ルアーはどんな生き物の形をしている?
- ルアーがどんな動きをしたら、魚は食いついてくる?
釣るまでの道具の手入れから、ポイントを探し、アタリを待つ間にも親子で作戦を立て、話し合い、どんな魚が釣れるか予想する間に、ウキウキとしたコミュニケーションを楽しもう。
親子で立てた作戦がぴったりとあたり、魚が水の上に姿を表した時の釣れた時の感動はひとしお。親子の絆もきっと深まるはずだ。
見事魚が釣れたら、さばいて料理して食べてみよう。
遊びの延長に命や食があるや渓流釣りは、親と子がともに挑む冒険であり、命の学習でもあるのだ。
まだ渓流釣りにチャレンジしたことがないという方にも、この楽しみを味わっていただくために、まずは気軽に家族で楽しむ渓流でのルアーフィッシングの基礎をご紹介しよう。
渓流釣りを始めるには?
渓流釣りを始めるためには、まずロッド(竿)、リール、ライン(釣り糸)とルアー、それからランディングネット(タモ網)が必要だ。
道具選びは気軽に。
まずはプロに相談してみよう
渓流釣りに必要な道具は色々あるが、まずは釣具店で相談してみることが一番。どこの川に釣りに行くか、何を釣りたいかを店員に相談すれば、きっとぴったりなセットを選んでくれるはずだ。
ただし、全て自分で揃えたいという方のために、少しだけ道具選びのポイントも紹介しておこう。
ロッドは軽くて短いものを
日本の川は川幅が狭く、頭上に木の枝などが茂っていることも多いので、長いロッドは不向き。また子どもにも取り回しがよいように5.5ft(165cm)~6ft(185cm)くらいの短めのスピニングロッドがいい。短く軽量なロッドと合わせてリールは1000~2000番台の軽いものを揃えよう。
ルアーも小型のミノー、
スプーンを中心に
カーディフ フォレッタ 50SS/50S
水深が浅く、流れも急な渓流には大型の魚は少ない。ルアーもそれに合わせて小ぶりなものを用意しよう。魚型のミノーのフローティングタイプは、浅い水位の時でも操作しやすい。また少し深い縁などではスプーンを使うのも有効だ。
意外と重要、
ランディングネット
魚の取り込みの際にはランディングネットを使おう。あまりに小さい魚を釣り上げてしまった時、手でつかんで魚を弱らせてしまうとリリースしてもそのまま死んでしまう。また、取り込む際に魚が暴れて、手や身体に釣り針が刺さるといった事故を防ぐこともできる。
ルアーでの渓流魚の釣り方
渓流での釣り方のコツは、その地域の自然を知り川の流れを読むこと。
ヤマメやイワナ、アマゴなどの渓流魚は、上流から流れてくる餌を待ち構えて捕食する。そのため、餌の流れるスピードが落ちる流れの緩い場所や水の落ち込み、白泡の立つ岩の陰、水が溜まった淵やトロ場と呼ばれる水深が深く流れが穏やかな場所に潜むことが多い。
ルアーを投げる時は、こうした川の変化を見ながら岩や縁の周辺を狙い、アクションをつけながら巻き上げていこう。
釣れるまでの間を楽しもう
「今どんな感じにルアーが動いている?」「どこで魚が跳ねたかな?」
竿やルアーの動きにどんな意味があるのか、子どもと一緒に話し、考えながら、アタリを探してみよう。
それから、親子で釣りに挑戦するなら、釣れるまでの時間に行う自然観察も忘れずに。
水辺や近くの木々に住む昆虫や、カワセミ・カワガラス・セキレイなどの水辺の鳥との出会いも感動的だ。
今回の釣果はアマゴ。身体に入ったパーマークと朱点が美しい。
渓流魚の流線型の形、背中の色と腹の色の違いなど住む環境に順応した機能的な姿をしているが、よくみると魚種ごとに細かな違いがある。
何が釣れたのかを判断するために、ネットでその特徴を調べたり、渓流魚の種類を図鑑で調べてみるのも面白い。
例えば、今回のアマゴの場合は、特徴的な模様に朱点。イワナであれば、背中に見える白や橙の斑点。ヤマメの場合は丸い体に、丸いアブラビレなど、細かな特徴を知るほどに魚への愛着が深まっていく。
アウトドアならではの醍醐味、
釣った魚をその場で食べてみよう
釣った魚が小さい個体なら、できる限り魚の皮膚に触れないように、そっと針を外す。人間の体温は、小さい魚には高すぎて魚を弱らせてしまうのだ。針から外したら水の緩やかな場所に戻し、泳ぎ出すまで見守ってあげよう。
リリースした魚はやがて成長して増えることもあれば、再び釣り人を楽しませてくれることもある。
釣り上げたのが十分に育った個体ならリリースせずに必要な分だけ持ち帰るか、食べてみよう。
キャンプ中に火を起こしているのであれば、できたての塩焼きをその場で味わえる。
肛門から腹にナイフを入れ、内臓を取り出したら水で洗う。口や目のあたりから串を刺して、塩を振る。この時、尾びれや胸びれ、あぶらびれなどに塩をたっぷりとつけると、焦げ付かずに美しく仕上がる。
焼く時は必ず頭を下に。こうすることで、魚の余分な水分が口から流れ落ち身がふっくらと柔らかく仕上がる。
こうした料理の工程も、家族や子どもたちと一緒に取り組んでみよう。
魚がどこに住み、どのようにして取れ、料理となって口に入るのか。楽しく学んで理解するまたとない機会だ。
渓流釣りを楽しむための
マナーを知っておこう
渓流釣りを始める前には、すこしだけ注意すべき点がある。
それは漁期と鑑札。渓流魚の対象となるヤマメやイワナ、アマゴなどを釣ることができるのは概ね3月から9月ごろまで。また、管理釣り場や渓流を利用した釣り堀以外で、釣るためには遊漁券(鑑札)が必要だ。
遊漁券には1日券と、年券がある。初めて訪れた川で釣りをするなら1日券で十分だろう。遊漁券は地元の釣具店や漁協などで購入できるので事前に入手しておくことを忘れずに。
渓流釣りは、定期的な魚の放流と地域の人々が川を守る努力によって成り立っている。渓流での釣りを、来年もその先もずっと楽しんでいくためにも、しっかりとマナーを守って釣りを始めよう。
この記事に関連するタグ一覧
関連記事
RELATED COLUMN