2020/06/25
コラム
渓流彷徨い日記 オフサイト よもやま話~その9~
なんだかんだと、もう夏です。夏至を過ぎたら昼の時間は折り返し、徐々に日が短くなり、日が暮れる時間が早くなってきますが、まだまだ渓流釣りは楽しめます。楽しめますが、場所選びが大事になってきます。水温が高くなると、日中は涼しい日陰に隠れてエサに飛びついてくれません。少しでも水温が低い川、流域などがポイントとなってきます。
さて、ここに来てちょっと忙しさが戻り、記事を書く時間が取れずに間が空きましたが、渓流釣りの基本的なお話の続きです。次は何を話そうか?で終わりました。
色々と考えましたが、やっぱり基本的な渓流釣りの仕掛けについて説明しましょうかね。基本的といっても、私流なので、ご自身で仕掛けを用意してみようかな?ってなった時の参考にしてもらえればと思います。
過去にも紹介したことがあるかもしれませんが、ご勘弁下さい。
ここで紹介するのは、6mくらいの渓流竿を振り回せるような広さの渓流での仕掛けで、流す釣り(シマノ流で言えば、線の釣り)が前提です。
【仕掛けの構造】
竿の先っちょから針先までを順を追って説明します。
①天井糸(てんじょういと)
竿の先に接続する釣り糸を「天井糸(てんじょういと)」といいます。針を結ぶ糸(水中糸)よりも太い糸を使用します。
渓流釣りでは木に糸を引っかけたり、流れるエサや錘が水中に沈んだ木の枝や石と石の間に挟まって引っかかったりします。一本の細い糸で仕掛けを作ると、どこで切れるか分かりません。針の近くで切れれば釣り糸のロスは少なくて済みますが、竿先の近くで切れれば、仕掛けを丸々ロスすることになります。糸の購入費もバカになりません。
全体の1/3~1/2ほど、上側の糸を太くしておくことで、天井糸よりも細い水中糸が先に切れやすくなり、ロスを最小限に抑えることができます。
天井糸の長さですが、竿の長さに応じて長さの調節が可能な作り方もあるのですが、トラブルが少ない長さ固定、水中糸と直結 or チチワ接続するのが私流です(細かい話は改めて...)。仕掛けの全長調整は、水中糸を切ったり継ぎ足したりして長さを調整しています。私の場合、天井糸は約3mで固定です。
糸の素材は、主にナイロンかフロロカーボンですが、視認性という点で考えると、ナイロンの蛍光色のものが使いやすです。フロロカーボンでも、色つきのものであれば問題ありませんが、品揃えや価格面からナイロンの方が選択肢が多いと思います。
②水中糸(すいちゅういと)
天井糸から続く針を結ぶ糸が「水中糸(すいちゅういと)」です。水中といいながらも、全部が水中に没している訳ではありません。水中糸の下側には針を結びます。一般的に針の結びには、内掛け結びと外掛け結びがありますが、私は結ばない結びです。何のこっちゃ?と思われるでしょうが、結びません。引っ掛けるだけです。これも詳細は別の機会に。
水中糸にはもう一つ重要なアイテム、目印を取り付けます。市販では簡単に装着できる目印があるのですが、少々割高です。スプール巻きの毛糸(ナイロンの目印専用のものがあります)の目印がありますので、そちらを購入して、自分で水中糸に巻く方が安上がりですし、現場での仕掛けの作り直しも早いです。この目印用の毛糸ですが、太さが色々あります。渓流に関して言えば、なるべく細い方が良いです。
毛糸目印の巻き方は別の機会に紹介しようと思いますが、一点だけご注意いただきたいことがあります。「目印は自分が見える最小のサイズに調整すること」,以上です。
市販の出来あえ仕掛けを使われる人の多くに共通しているミス、それは毛糸の長さを調整せずに使っていることです。市販のものだと、もともと巻かれている毛糸の長さは2~3cm位でしょうか、これでは長過ぎるのです。長ければ見やすくて良いじゃないか!と言われそうですが...
長過ぎると何がいけないのか?まず空気抵抗がデカイ!空気抵抗がデカイと、仕掛けが飛ばないですよね。仕掛けを入れたいポイントに届かず、目の前で失速してしまいます。そうなると、届く位置まで前進してしまうことになって、結果、魚に気づかれてしまいます。無風、あるいは追い風なら良いですが、向かい風の中だと、ほぼ足元に落ちてしまうはずです。何とか飛ばそうと錘を大きくしていくと、水中で根掛かりしたり、魚が泳いでいる層にエサが入らなかったり...私の場合、最近は視力が落ちてきて、以前よりは目印が大きくなりつつありますが、通常は3mm前後の長さに切り揃えます。
水中糸の素材ですが、こちらもナイロンとフロロカーボンが主な選択肢です。それぞれメリット、デメリットがあり、好みが分かれるところですが、私はナイロンを好んで使用しています。その理由は、軟らかで伸びがあるため、衝撃を緩和してくれることと、比重が水に近くて、軽いエサは軽いなりに自然に流れに乗せることが出来る(と思っているだけ?)からですが、ナイロンは吸水劣化を起こします。水を分子構造の中に取り込むことで、本来の強度が維持できなくなるのです。よって、何度も繰り返し使っていると、ふとしたことで糸が切れたりします。とはいえ、比較的根掛かりで糸が切れることが多い釣りなので、仕掛けを作り直すたびに糸は新しくなりますから、それほど気にしていません、私の場合。
フロロカーボンは比重が大きめですので、エサがスムーズに沈みやすく、流れに届けやすいメリットがあります。またほぼ吸水しないため、吸水劣化が起きにくく、摩耗にも強いなどのメリットもあります。
③錘(おもり)
最後に錘です。
通常は割りが入ったガン玉(ガンはGunの散弾からきているらしい)を使用します。
重いものから1号、2号…のように、数字が増えていくほど軽くなります。G5と言えば、ガン玉5号のことになります。1号より重いと1B、2B…のように、数字が増えていくほど重くなります。さらに重いものが1号錘、2号錘…で、慣れないうちはややこしく感じるかもしれません。
使い方は、割りが入った部分に糸を挟み込むようにして錘を装着します。ただし、直接挟み込んでしまうと、ラインにダメージを与えてしまい、魚をかけた瞬間に錘のキワでラインがプッツン!なんてことになりますので、手間が必要です。
私の場合は、ティッシュペーパーを小さくちぎったものをラインに巻き付けてから、錘を装着します。過去記事のVol.25でも紹介しています.
錘ガードなるものが市販されていたりしますが、根掛かりが多い釣りですから、根掛かりで糸が切れるたびに新しい錘ガードを使うのも非経済的。ゴムを割りの間に貼った錘もありますが、やはり割高。ティッシュなら、ちょっと駅前を散歩すれば、渓流釣りで使う分としては、死ぬまでに使い切れないくらいの量が手に入ります。
ざっくりと構造を説明すると(ざっくり過ぎないか??)、こんな感じになります。じゃあ、フロロにするか?ナイロンにするか?ライン号数は?錘の大きさは?などについては、また別の機会に改めて。
プロフィール
ちぬ
渓流・本流竿・鮎竿・チヌかかり竿・ワカサギ穂先の開発をおもに担当。渓流・チヌかかり釣りをメインに年間釣行日数は約40~50日。
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