所々で渦を巻きながら流れる図太い流れ。まさに大本流と呼ぶに相応しい川相である。奈良井川、梓川、穂高川が合わさって水量が増した犀川。前日は濁りと増水でまったくもって釣りにならなかったが、一夜明けた釣行2日目はやや濁りは残っているものの、どうにか竿を出せそうである。
「大型ニジマスを狙う今回の大本命フィールドです。まだ水が高いので流芯は攻められませんが、こんな状況下では流れの緩やかな場所に魚が着いていることが多いんです。流芯脇の弛みや反転流などをじっくり攻めてみましょう」
井上聡さんが手にしたのは、前日と同じく『スーパーゲームベイシスHH80-85Z』。本流竿としては特に長いアイテムではないが、近いポイントを丁寧に攻めていく釣りにはピッタリである。ラインはフロロカーボン2号で万全を期す。
巨鱒と対峙する道具は調った。あとは喰わせるだけである。
犀川は平ダムを境として、上流側を犀川漁協、下流側を犀川殖産漁協が管轄している。この日に入ったのはダム下流の犀川殖産漁協エリアだ。犀川殖産漁協管区にはキャッチ&リリース区間が設けられており、本流は周年釣りが可能。冬期でも大型ニジマスを狙えるとあって、県の内外から釣り人が訪れる人気フィールドである。
まずエントリーしたのは、100mほどもあろうかという長い瀬。以前このブログの撮影でも入ったポイントである。流芯は遠く、おのずとその手前の緩流帯を攻めることになる。
やはりニジマスの魚影が濃い犀川である。竿を出して20mほど釣り下ったところで最初のアタリがきた。竿の曲がりからして決して小型ではないが、スーパーゲームベイシスのHHのパワーをもってすれば手こずるほどの相手ではない。
難なくランディングしたのは40cm台半ばの立派なニジマス。しかしこの個体はヒレが擦り切れており、ちょっと写真に納めるには気の毒なルックスであった。
「でも昨日の奈良井川や梓川に比べると、犀川は明らかに生命感がありますね。もっとプロポーションのよい魚もいるはずです」
井上さんの表情は明るい。そこから間を置かずに40cmクラスのニジマスを追釣。幸先のよいスタートである。
その後は道の駅の下、橋木橋上流を転戦したのち、そこからさらに下流の瀬に入った。増水気味の太い流れが左岸に当たり、流芯の脇には大きな反転流が生じていた。いかのも大物が潜んでいそうな雰囲気である。井上さんはその反転流に狙いを絞った。
瀬の開きから反転流に乗った仕掛けは上流側へ流れ、再び流芯へ引き寄せられていく。反転流と流芯との境にできた流れの壁に差し掛かったところで、目印が上下に激しく揺れた。
井上さんの鋭いアワセが入った。魚は一気に流れを駆け下ろうとするが、スーパーゲームベイシスのビルドアップされたブランクスに為す術もなく止められてしまう。竿尻に添えた右手をグッと突き出すと、簡単に頭が上流側へ向いてしまった。完全な横綱相撲である。
井上さんが差し出す玉網に収まったのは、60cmを軽く超える大型ニジマス。丸々と太った魚体。鮮やかなオレンジの差し色。申し分のないプロポーションである。
「このサイズが釣れてくれると納得ですね。粘った甲斐がありました(笑)」
思えば、ここまでの釣りでハリのスッポ抜けやハリ外れは皆無である。アタリがあれば100%ハリ掛かりし、パーフェクトに取り込んでいるのだ。
「このあたりが2〜4番節の張りを上げた新たなスーパーゲームベイシスの真価だと思います。アワセのレスポンスがよく、ニジマスの硬い口周りにしっかりとハリを掛けることができます。非回転式超感トップの採用によって感度が向上し、魚がエサに触った様子も感じ取ることができますね」
今回の旅のミッションを達成したところで犀川をあとにし、前日は小型だけに終わった梓川を再び攻めてみることにした。この日は少し足を伸ばし、やや上流の波田漁協エリアにエントリー。梓川も前日から水位が落ち、かなり釣りやすくなっていた。
梓川はブラウントラウトも濃い河川である。大型ニジマスを仕留めたところで、「願わくば両手に花」との思惑もあったのだが、そうは問屋が卸さなかった。梓川橋からいくつかポイントを探ってみるも反応はなし。小型のニジマスが1尾釣れたところで納竿とした。
「梅雨の長雨で水量が多く、攻められる場所が限られた釣行でしたが、なんとか狙いのニジマスが釣れてよかったです。本流釣りというと少しでも遠くの筋を狙いたくなるものですが、今回のような増水時は、手前の流れが緩い場所に魚が避難していることも多いんです。犀川の規模から見てスーパーゲームベイシスHH80-85Zはやや短いように思えるかもしれませんが、手前のポイントを丁寧に狙いたいときはこの長さがちょうどいいんですよ」
また、竿は短いほど感度面で有利であるし、強風対策としても有効。そんな意味で、今回の釣行はスーパーゲームベイシスの80-85というレングスがピタリとはまったといえるだろう。