2020/06/04
コラム
渓流彷徨い日記 オフサイト よもやま話~その7~
そろそろ藤の花が咲く頃ですね。自宅ではそろそろ地植えの桜桃の実が赤くなる頃です。それが終ればマルベリー、ジューンベリー、ブルーベリーと控えています。釣りへは行けずとも、家で何かしらやることがたくさんある季節となりました。
渓流釣り未経験・初心者の方に向けて、渓流釣りの基本的なことのご紹介 第四回目として、もう一度、二次元的な視点に戻って、誰でもわかりやすい魚の着き場所を幾つかご紹介したいと思います。
キーポイント : エサを食べやすい場所、エサを待ちやすい場所、エサが多く流れてきやすい場所に魚はいます!
なんだかんだ言っても、結局はエサを喰うことが渓流魚の生活のほとんどなのです。考えるべきは、どこにエサが流れてきやすいか?どこなら体力を使わずエサを待っていられるか? これに尽きます。
そのような視点で川の流れを観察すれば、ここで紹介せずとも、何となくわかるんではないかな?と思いますが、初めてだと、やっぱり分かり辛いものです。と言うことでいくつか紹介していきます。
まず一つ目は、二つの流れが一つに合わさる点です。Yパターンとよくいわれる誰でもわかりやすい魚の着き場です。絵では、流れの中の岩が二つの流れを形成し、その下流で一つに合わさる格好ですが、川底に堆積した砂利などでも同じような流れを形成することがありますので、あくまで絵は一例です。川の規模によっては、二つの流れを形成している障害物のすぐ後方で合流したり、かなり下流で合流したりしますので、よく流れを観察してみてください。
次の写真は実際の例です。手前の流れは緩いものの、中央の白泡が立つ流れと合流し、Y字を形成しています。
二つの流れが互いにぶつかり合って流速が弱められることで魚が定位しやすく、両方の流れからエサが流下してくるので、多くのエサにありつけます。
ただし、ここで注意していただきたいのは、流れてくるエサ、つまり水生昆虫の発生源が上流側に存在するかどうか?です。いくらY字を形成していても、エサとなる水生昆虫が安定して流れてこないと、ポイントとしては有望ではありません。
写真では、すぐ上流側に多くの石があり、その石に着いていた水生昆虫が何かしらの拍子(打ち付ける流れにもまれて石が動く、転がるなど)に流されやすい場所になっていると推測できます。
次の絵は、流れが直接ぶつかるような石があるポイントです。石は、水面から出ていても、水没していても、話は同じです。
石の正面では流れが左右に分断されるのですが、この正面では流れにブレーキが掛かって、流れが緩やかになるスポットが存在します。流れてきたエサは、そこで流下スピードが落ちますから、渓流魚にとっては、エサを待ちやすく、食べやすい場所になっています。
このような石を「受け石」と言います。水面から頭を出していれば、誰でもわかりやすいですが、水没している状態だと、分かり辛いこともあります。ここもやはり、よく川の流れを観察していると、目が慣れてくると思います。
次の写真は、受け石が水没している例です。さらに言うと、流芯の先には大きな岩盤が立ちはだかって流れの方向を変えています。これも受け石になっています。
一つ前のYパターンの例の写真では、Yパターンであると同時に、底石も確認でき、受け石になっていると推測できます。
次の絵は、このような受け石の後方にも石があって、双方の石の間で流れが反転しているような場所です。受け石の正面近辺もポイントになるのですが、この反転流も有望なポイントです。このような場所で、比較的型の良い魚が良くかかるように思いますが、人が乗ることが出来るくらいの大きい岩で、平水(通常の水位くらいの水量のこと)であれば、水面から出ているような場所になっていることが多いように思います。小さな石が点在ではなく、大きな岩が並んでいる状況をイメージしていただければと思います。
最後は、川岸がえぐれたような形状となって反転流を形成しているような場所です。Cパターンと呼ぶ人もいますが、わたしは洗濯機と呼んでいます。グルグル渦巻くように流れていることが多いので(いまだ我が家はドラム式ではありません)…
水の入ったバケツの中に砂などを入れて水をクルクルと回すと、砂がバケツの中央に集まるように、この反転流の中に引きまれたエサはこのクルクルの中央に溜りがち。また、クルクルの中心ほど流れは緩いのでエサを食べやすいのです。
洗面器程度のポイントの場合もありますので、やはりしっかりと川の観察は行いましょう。
手持ちで、いい写真がないので、説明が分かりにくかったかもしれませんが、魚はエサを食べるために生きている、泳いでいるということを常に考えてください。
彼らが主食にしている水生昆虫がどのような場所にいるか?どこから流れてくるのか?を考えてください。
水生昆虫がどのような場所にいるかを理解するには、エサを自分で採取することが近道です。どんな場所で、どんな水生昆虫が採取できるかを知れば、今、自分が見ている川の流れの中で、どこがポイントとなり得るかも見えていきます。
これが身についた上で、市販のエサを使うのと、そうでないのとでは釣果に大きな差が出てくると思います。
他にも色々と紹介しようと思いますが、今回はここまで。次回の内容は何にしましょうかね???
プロフィール
ちぬ
渓流・本流竿・鮎竿・チヌかかり竿・ワカサギ穂先の開発をおもに担当。渓流・チヌかかり釣りをメインに年間釣行日数は約40~50日。
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