2017/01/30
コラム
グレのフカセ釣り入門
ウキフカセ釣りの人気ターゲットとして、まず思い浮かぶのがグレ(メジナ)。海の色を映したかのような青い眼と魚体。強く鋭い引き。そして食味も満点。しかし、グレ釣り最大の魅力といえば、ゲーム性の高さだろう。グレはコマセへの反応がよく、水温などの海況変化にも敏感。刻々と変化する状況に合わせ、コマセでグレとエサトリの動きをコントロールしながら喰わせる楽しみは、ほかの釣りでは味わえない醍醐味だ。
INDEX
グレのフカセ釣りとは
グレには近海に棲む口太グレと、外海を棲息域とする尾長グレ、南海域に分布するオキナメジナの3種類がいる。オキナメジナは個体数が著しく少ないため、釣りの対象となるのは口太グレと尾長グレだ。グレのフカセ釣りは、基本的に磯や堤防など陸から竿を出す釣り。普段は海底の根周りに棲むグレをコマセで釣りやすい距離に寄せ、浮かせてからハリに掛ける。したがって、自分の撒いたコマセと仕掛けをいかに同調させるかが最も重要なテクニックといえる。
ほかの釣りとの決定的な相違点は、ウキフカセ釣りは仕掛けを「水平方向へ流す釣り」であることだ。垂直方向へ仕掛けを下ろす船釣りや、仕掛けを投げて手前に引っ張るルアーや投げ釣りなどに対し、ウキフカセ釣りは仕掛けを潮に乗せて流す過程で魚を喰わせる。磯や堤防など障害物の多い場所が主戦場になることもあり、テクニックはもちろん、使用するタックルも釣りの特性に合わせた独特なものだ。
必要なタックル
ではグレ(メジナ)釣りで必要なタックルを見てみよう。
・磯竿
沈み根やハエ根といった障害物をかわしながら魚を寄せるウキフカセ釣りでは、専用の磯竿を使用する。2ヒロ以上の長いハリスを使うことから、長さは5~5.3mが平均だ。号数は強さ(硬さ)によって振り分けており、使用するハリスの太さによって選択する。1.5~2号のハリスが多用される口太グレでは1~1.5号の竿、2.5~5号の太ハリスを結ぶ尾長グレでは1.7~2.5号の竿が一応の目安。
・リール
リールは軽い仕掛けをキャストしやすいスピニングリールが主流。スピニングリールの中でも、ウキフカセ釣りで多用されるのはレバーブレーキ。指1本で道糸を送り出せるレバーブレーキリールは、ハリスが根に当たった時点でラインテンションを緩めたり、逆に道糸を出さず一気に巻き上げるといったやり取りが可能で、障害物だらけの場所での釣りに向いている。
レバーブレーキはレバーに添えた指1本で道糸を送り出すことができる。
ウキフカセ釣りではレバーブレーキリールが人気。道糸を出すときは出す、巻くときは巻くといったメリハリのあるやり取りが可能だ。
・ライン(道糸&ハリス)
近年はPEラインの台頭が目覚ましいが、軽い仕掛けを自然に流すウキフカセ釣りでは、海面直下に浮かず沈まずで漂うナイロンの道糸が多用される。ハリスはナイロンよりも高比重で沈みがよく、耐摩耗性が高いフロロカーボンラインが主流だ。
・ウキ&小物類
ウキフカセ釣りの仕掛けにはウキ止め糸、シモリ玉、ウキストッパー、サルカン、オモリ、ハリなど多くの小物を用いる。なかでもウキは仕掛けの中枢ともいえる重要なパーツ。使用するオモリに合わせられるよう、浮力の異なるものをいくつか用意しておこう。
コマセ&ツケエサ
コマセとは寄せエサ、マキエとも呼ぶように、海に撒いて魚を寄せるためのエサ。コマセは本命のグレを寄せて釣りやすいタナまで浮かせるだけでなく、エサトリの動きもコントロールできる釣り人の武器といえるものだ。通常は生オキアミ3~6㎏に対し、粉末の配合エサを1袋程度混ぜて使用する。配合エサには集魚力アップ、まとまりをよくして投入性を上げる、比重調整、拡散性の向上など様々な効能がある。
ツケエサはハリに付けて魚が直接口にするエサのこと。グレ釣りでは生オキアミをメインに、ボイルオキアミ、ハリ持ちや集魚力を高めた加工オキアミ、芝エビなどのむき身などが使われる。基本的に、エサトリが多いときほど硬めのエサ、グレの喰いが渋いときほど柔らかく口当たりのよいエサを使う。
コマセは攻めの起点。コントロールよくコマセを打ち込むためにはヒシャクにこだわりたい。
コマセは攻めの起点。コントロールよくコマセを打ち込むためにはヒシャクにこだわりたい。
・ヒシャク
コマセをコントロールよく投入し、ダンゴ状あるいはスジ状など自由に打ち分けるにはヒシャクにもこだわりたいところ。コマセ放れのよいカップに加え、コマセの重さに負けずネジレの少ないシャフトのものを選ぼう。
釣り方一連の流れ
グレ釣りの第一歩はポイント選びから。グレは沈み根周り、潮目、サラシ場などいろんなポイントで喰ってくるが、潮が通す場所や払い出している場所ほど仕掛けを流せる範囲が広く、有利だといえる。ポイントを定めたらそこへコマセが効くように投入し、仕掛けを同調させる。「グレはコマセを釣れ」という格言があるように、仕掛けとコマセの同調は鉄則ともいえる基本。エサトリが多く、ツケエサがすぐに取られるときは仕掛けとコマセの投入点をずらすなどの工夫が必要となるが、まずはコマセと仕掛けの同調を心掛けよう。
ウキ下はグレがエサを喰っているタナに合わせる。ツケエサが取られるときは浅く、ツケエサが残るときは深くするのが基本だ。アタリもなくエサが取られるときはウキ下が深すぎる、エサがまったく取られなかったり、勢いよくウキが消し込むのにハリ掛かりしないのはウキ下が浅すぎるケースが多い。ウキ下がピッタリ合っていれば、ウキは小さくヘッドが押し込まれる前アタリの後、スーッと海中に消し込まれていくはず。
ここが合わせのタイミング。しっかりとグレをハリ掛かりさせたら竿を起こしてやり取りに入る。竿を無理に煽らず弾力を生かすようにすれば、想定外の大物でないかぎりスムーズに浮かせることができるだろう。
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